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すごいらしいな? ツイッター
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僕はこのどうしようもないモジャ頭を、そう、頭ともども中身もどうしようもないモジャお(男でも夫でもなんでもいい。モジャお、だ……いや、夫は、何だかイラっとするな……)をどうしてやろうかと思ったが、今、僕の手を汚すのは得策でないとの結論に達した。
モジャお、桜さんと僕の理性に死んでも感謝しろよ。
「本当に、IT企業で働いていた人間とは思えませんね」
「IT関連に勤めてるからって、SNSに詳しいとは限らん。だいたいITでひとまとめにしすぎなんだ。農家、でひっくるめて、お米作ってる人に、ぶどう農林21号(シャインマスカット)の美味しい育て方訊いてるようなもんだぞ」
「まず、ツイッターから始めましょう」
聞けよ!俺の話!!
「ツイッターの宣伝、集客効果は強力です。無名がコミケで壁を勝ち取る可能性を持つツールです。これを使わずして、稼ぎへの道はありません」
壁? 何の壁だって? ははぁ。コミケ、な。知ってるよ。聞いたことある。そんな気がする。そうか。そこの壁か。……? 宇宙の壁、かな? グレートウォール的な? 5億光年以上の長さがあるんだぞ。
おいおい。すげぇな。ツイッター。あれだろ、鳥のマーク。
よし、青い鳥。シャーリー・テンプルとともに俺にも幸福を運んでくれ。
綺羅は、目の前の男の目が泳ぐたび、そのモジャモジャの中で繰り広げられているであろう思考は “小説家になる!” と言い始めてる辺りから、すでに地球圏外に飛び出している。ツイッターへの理解もほど遠いところ――2億光年ほど離れた先にあるんじゃないか、と感じだが、無視した。理性と面倒くささの折衷案は、適度な無視だ。
「とにかく。ツイッターの力は絶大だと考えてください。この力を得るため、どのように利用されているのかをリサーチし、学んでください」
「おう! まかしとけ!」
テーブルの隅に落ちていたモジャおの視線は綺羅の方へと向いたが、その目玉は「よくわかりませんが」と雄弁に語っていた。
……次に進もう。何を任されているのかも知らないが。ツイッターの名前ぐらいはそのモジャモジャ――おあつらえ向きに巣のようじゃないか――の、中に入っただろう。いっそそこを巣にしてもらえ。
「それから。投稿先は、色々あると思いますが、どこらへんを考えていますか?」
「投稿先は鷲治良に聞いたら、【だぶあーる】ってとこと、【ベコメ】【述(ノ)ベル】ってとこが有名らしいな。あいつが知ってるぐらいだし」
鷲治良君……きっと君、苦労しているね。
「大手3大サイト。まぁ妥当でしょうね」
おお! 初めて誉められたぞ! ありがとう、鷲治良! おやつは、お前の大好きなスイートポテトだ!
先日、友人から突然送られてきたダンボール(大)。なかには『今年は秋の恒例イベントのキャンセルが相次いで、山のようにあるから送るね~』と、墨と毛筆で書かれた一枚紙と、それは立派なさつまいもが詰まっていた。
なるほど。芋ほり行事もキャンセルなのか。
世情を考えれば仕方ないとは言え、大変なことだろう。しばし、モジャおは大量のさつまいもの前で憂えていたが、次に、この大量のさつまいもをどうしようかと頭を悩ませ始めた。
水分に弱いさつまいもを一本ずつ新聞紙――新聞は取っていないので――地域情報誌にくるんで、手ごろなサイズのダンボールに入れ替える。20℃を超えると発芽してしまうから、そのダンボールを抱え、涼しい場所を探しながら、子供の頃、兄弟で芋ほり遠足が続くと、毎食毎晩さつまいもの天ぷらとふかし芋、米にも芋が混ざって、芋ご飯になっていたのを思い出した。
せっかくもらった芋を、なんとなく最終的に少々げんなりしながら食べるようなことにはしたくなかったので、日々、姿を変えて食卓に出すことにした。今日もこの店に来る前、マッシャーでつぶしたさつまいもに、バターと砂糖、塩を加え、しっかりと混ぜたあと牛乳を加えてなめらかに。成型して耐熱カップにものせてある。あとは、つや出し用の卵黄をぬって焼くだけだ。
モジャお、桜さんと僕の理性に死んでも感謝しろよ。
「本当に、IT企業で働いていた人間とは思えませんね」
「IT関連に勤めてるからって、SNSに詳しいとは限らん。だいたいITでひとまとめにしすぎなんだ。農家、でひっくるめて、お米作ってる人に、ぶどう農林21号(シャインマスカット)の美味しい育て方訊いてるようなもんだぞ」
「まず、ツイッターから始めましょう」
聞けよ!俺の話!!
「ツイッターの宣伝、集客効果は強力です。無名がコミケで壁を勝ち取る可能性を持つツールです。これを使わずして、稼ぎへの道はありません」
壁? 何の壁だって? ははぁ。コミケ、な。知ってるよ。聞いたことある。そんな気がする。そうか。そこの壁か。……? 宇宙の壁、かな? グレートウォール的な? 5億光年以上の長さがあるんだぞ。
おいおい。すげぇな。ツイッター。あれだろ、鳥のマーク。
よし、青い鳥。シャーリー・テンプルとともに俺にも幸福を運んでくれ。
綺羅は、目の前の男の目が泳ぐたび、そのモジャモジャの中で繰り広げられているであろう思考は “小説家になる!” と言い始めてる辺りから、すでに地球圏外に飛び出している。ツイッターへの理解もほど遠いところ――2億光年ほど離れた先にあるんじゃないか、と感じだが、無視した。理性と面倒くささの折衷案は、適度な無視だ。
「とにかく。ツイッターの力は絶大だと考えてください。この力を得るため、どのように利用されているのかをリサーチし、学んでください」
「おう! まかしとけ!」
テーブルの隅に落ちていたモジャおの視線は綺羅の方へと向いたが、その目玉は「よくわかりませんが」と雄弁に語っていた。
……次に進もう。何を任されているのかも知らないが。ツイッターの名前ぐらいはそのモジャモジャ――おあつらえ向きに巣のようじゃないか――の、中に入っただろう。いっそそこを巣にしてもらえ。
「それから。投稿先は、色々あると思いますが、どこらへんを考えていますか?」
「投稿先は鷲治良に聞いたら、【だぶあーる】ってとこと、【ベコメ】【述(ノ)ベル】ってとこが有名らしいな。あいつが知ってるぐらいだし」
鷲治良君……きっと君、苦労しているね。
「大手3大サイト。まぁ妥当でしょうね」
おお! 初めて誉められたぞ! ありがとう、鷲治良! おやつは、お前の大好きなスイートポテトだ!
先日、友人から突然送られてきたダンボール(大)。なかには『今年は秋の恒例イベントのキャンセルが相次いで、山のようにあるから送るね~』と、墨と毛筆で書かれた一枚紙と、それは立派なさつまいもが詰まっていた。
なるほど。芋ほり行事もキャンセルなのか。
世情を考えれば仕方ないとは言え、大変なことだろう。しばし、モジャおは大量のさつまいもの前で憂えていたが、次に、この大量のさつまいもをどうしようかと頭を悩ませ始めた。
水分に弱いさつまいもを一本ずつ新聞紙――新聞は取っていないので――地域情報誌にくるんで、手ごろなサイズのダンボールに入れ替える。20℃を超えると発芽してしまうから、そのダンボールを抱え、涼しい場所を探しながら、子供の頃、兄弟で芋ほり遠足が続くと、毎食毎晩さつまいもの天ぷらとふかし芋、米にも芋が混ざって、芋ご飯になっていたのを思い出した。
せっかくもらった芋を、なんとなく最終的に少々げんなりしながら食べるようなことにはしたくなかったので、日々、姿を変えて食卓に出すことにした。今日もこの店に来る前、マッシャーでつぶしたさつまいもに、バターと砂糖、塩を加え、しっかりと混ぜたあと牛乳を加えてなめらかに。成型して耐熱カップにものせてある。あとは、つや出し用の卵黄をぬって焼くだけだ。
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