だがしかし

帽子屋

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 少年は網を構え、息を殺しながらそろりそろりと蝶へと近付いていく。その緊張が俺にまで伝わるようだ。川の流れは決して緩やかとは言えないのに、慣れた様子で水を縫って歩く様子は、無意識に、流れ行く水に世界に時間に流されまいとする力強さにも思えた。やはり彼を、何か悪いことが待ち構えているらしい少年を、放っておくことは出来ないと俺は思った。
『お前に何が出来る』
 獣の声が響いた。
『声もなく、自分が何ものかも思い出せないお前が』
 俺が何ものでも関係ない。
 俺は、あの子をここから連れ出してやりたい。
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