ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

文字の大きさ
54 / 111
新しい都市

僕らは知らず知らずの内に釣りをしていた。街道でな!

しおりを挟む
 剥ぎ取りが終わって前方に向かうと、こちらも剥ぎ取りをしていた。

「お疲れさまー。そっちもボロボロだね」

 2人の鎧には、引っ掻かれた後や泥がこびりついている。

「見ての通り。初めての敵は対応が難しいね」

「テッケンさんは近接ですからね。私みたいに槍だと少しマシですよ」

「盾に慣れちゃって、もう手放せませんよ」

 盾かぁ。
 あったら肩も無事だったかな?
 いや、慣れるまで返って邪魔になりそうだな。

「ちょっと」

 モウカさんが眉間にシワを寄せている。

「剥ぎ取った後どうしてますの?」

「どうって、あそこで加工してましたよ?」

「そうではなくて、それ」

 指の先には内臓やらが落ちている。

「そのままですね」

「それを狙って、また狼が来ますわ」

「「「あぁ」」」

 今まで気にすることなくても問題なかったけど、言われると納得する。

「エサを撒いてたのか」

「終わったなら私が処理しますけど?」

「そうですね。やり方も教えてもらますか?」

「わかりましたわ」

 剥ぎ取った残骸に向かっていくと、火で燃やし始める。
 火かぁ。
 なかなかの火力だし、火打ち石で代用できるかな?

「グスタフさん。あの火力の道具とか持ってます?」

「アレくらいなら薪使って……」

 モウカさんの方から、ボンっと弾ける音がして振り向く。
 指先から火炎放射ばりの炎を吐き出して、残った血の痕まで焼いていく。

「無理ですね」

「ですね。他の方法を考えましょう」

 前方はモウカさんに任せて、俺たちは後方の残骸処理へ向かう。

「私の考えでは、魔法を使わなくても良いはずです」

「「ほうほう」」

「覚えずに街道を通る人もいるでしょうから……、それよりも処理しましょうか」

 最後まで聞いてないけど、言いたいことはなんとなくわかる。魔法覚えないと旅出来ないってのは考えにくいしね。

「埋めますか」

 そうなるよな。
 掘った穴に埋めてみるが、どうしても臭いは消えないな。
 掘り返して再び取り出す。

「どうしたものか」

 テッケンさんがおもむろに内臓を掴み出し、切り分け始める。

「細かくするんですか?」

「いや、胃は水筒に出来るかと思ってね」

 そっか、部位によっては使えるかもしれないな。

「色合いがまともな奴は街まで持っていってみましょうか」

 内容物は無いので、カバンにぶち込む。

「え? そのままですか?」

「包むもの無いですし」

「はぁ。これ使ってください」

 グスタフさんがバナナの葉っぱみたいのをくれた。
 それに包んで再び収納。
 穴には血の痕などを入れて埋めると、臭いがしない。

「ひとまず様子見ですね。出発したら手早く修理しちゃいましょう」

「「了解」」

 牛バスに戻ると、すでにモウカさんが中で休んでいた。

「お疲れ様ですわ」

「あ、どうも」

「「……」」

 さっきのお礼を言おうと思ったんだけど、何事もなかったように座っているので、うまく返せなかった。
 それは他の2人も同様で、牛バスが出発すると無言で修理を始める。
 だいたい修理が終わったかな。

「そうだ。モウカさんの手甲はまだ大丈夫ですか?」

「え? たぶん大丈夫かと思いますけど」

 ちょっと心配になったのか、手甲を取り出して調べ始めた。

「うーん。かすり傷はありますけど、おそらく大丈夫かと」

 無意識で手甲に近づいて眺めていると、影で暗くなっていることに気づく。
 全員で手甲を囲むように見下ろしているという奇妙な光景だな。

「変わった素材ですね」

「金属か? いや、艶感からすると甲虫系かな?」

 ほうほう。
 確かに金属とは違う質感だよね。

「えぇ。アルフヘイム近辺の虫ですわ」

「だとすると、修理するには素材が必要だな。応急処置用にこれを渡しておくよ」

 テッケンさんが小さなツボを取り出す。

「艶出し用の塗装剤なんだけど、師匠曰く虫系の修理でも多少耐久値が回復するみたい」

「それなら頂いておきますわ」

 それにしても変わった色合いだな。

「生産職をしていると、新素材って気になりますね」

「なんというか、見入っちゃいますね。ただ、これは似たものを見たような気がするんですよね」

「ハッチさんもですか? 私も武具工房で見たような……」

 なんだったか、赤っぽい……。
 ダメだな。
 グスタフさんはどうかな?

「うーん。親方が持ってたような」

 親方が?
 そうだったかな。

「あぁ! 親方が持ってた色付きの剣です」

「へぇ。そんなものがあったんですね」

 ドーイン親方も持ってたっけ?
 というか、親方からできる限りレシピ買っておけば良かった。
 所持金500Gか。
 無理だな!

「お金が……無い!」

「どういう経緯でその話になったの!?」

「話が飛ぶのはいつものことです」

 すまねぇ。
 だけど、金欠だと気づいたら思考が離れなくなってしまったんだ。

「色々考えながら調べてたら、所持金が目に入ってね」

「いくらですか?」

「500G」

「それはまた……」

 グスタフさんも苦笑い。
 そういう顔にもなるわな。

「2人は?」

「4000Gだな」

 テッケンさんはそこそこ。

「私は10000Gです」

 小金持ちのグスタフさん。
 そこでモウカさんが気になってチラ見。
 話に入りませんと離れているので、これはスルー案件だな。

「ハッチさんのためにも、素材集めはしておきましょうか」

「それを売るだけでも、そこそこ金になるかもな」

 確かにそうだ。
 モウカさんの話だとあと5日ある。
 その間に、色々溜め込んでアルフヘイムで放出しますか。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

【完結】異世界先生 〜異世界で死んだ和風皇子は日本で先生となり平和へと導きます〜

雪村
ファンタジー
ある日カムイ王都の皇子、シンリンは宮殿に入った賊によって殺されてしまう。しかし彼が次に目覚めたのは故郷である国ではなく機械化が進んでいる国『日本』だった。初めて見る物体に胸を躍らせながらも人が全く居ないことに気付くシンリン。 そんな時、あたりに悲鳴が響き渡り黒く体を染められたような人間が人を襲おうとしていた。そこに登場したのは『討伐アカデミーA部隊』と名乗る3人。 しかし黒い人間を倒す3人は1体だけ取り逃してしまう。そんな3人をカバーするようにシンリンは持っていた刀で黒い人間を討伐して見せた。 シンリンの力を見た3人は自分達が所属する『討伐アカデミー』の本拠地へと強制的に連行する。わけのわからないシンリンだったが、アカデミーで言われた言葉は意外なものだった……。

処理中です...