ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

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新しい都市

光の都市アルフヘイム

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 もうすぐアルフヘイムに到着すると言われて、窓から身を乗り出して探してみたけれど、一向に見つからない。

「どこ?」
「わからないな」
「あれですかね? あそこの森とか」

 全員違う方向を見ている。

「いえ、あれですよ」

 モウカさんが指すのは大きな山。
 だけど、どうみてもただの山にしか見えない。

「もうちょっとすると境目になるので、わかりますよ。ほら、あの兵士が立ってるところ」

 それが居るとわかったのも100m程まで近づいてから。曲がりくねった街道を進んで、やっとエルフが2人立っていると気づいた。
 その直前で牛バスが止まると、御者と会話を始める。

「積荷はなんだ?」

「ドワーフ村からの若者3人と戻って来た奴1人だ」

「そういえば、最近来てなかったな。確認するぞ」

「どうぞどうぞ」

 兵士たちがバスへ乗り込んできた。

「お前たち、紹介状はあるな?」

 いきなり紹介状とか言われると緊張するな。
 1人確認しては頷き、また次へ。

「テッケン君は訓練所か。それならコレだな」

 青いリボンをつけられている。

「グスタフ君とハッチ君は魔法工房だな。こっちだ」

 それぞれ緑のリボンをつけられた。

「君は……ふむ。これを渡しておく」

 モウカさんはピンクだな。
 兵士は続けてモウカさんに問いかけている。

「わかっているだろうが、くれぐれも注意してくれよ? 許可した師匠も困るだろう」

「わかっています。気をつけます」

 何の話かわからないが、機密事項だろうか?
 もしかしたら、お使いに関することかもしれない。

 そうそう。
 バスの中で数回だけ『ですわ』調が無かったので、聞いてみたらプレイングということがわかった。
 その後も『ですわ』を続けてることから、ロールプレイを楽しんでるとわかる。
 テッケンさんも見習ったらどうかね?
 なんてね。

 そんなことは関係無しに、ヤマトはくしくしと顔を洗っている。
 今日もヤマトは可愛い。
 エルフたちも見つめているよ。

「機獣持ちは珍しいな。どの系統にするんだ?」

「系統?」

 なんだそれ?

「系統を知らないか。どうせ魔法工房に行くんだし、そこで聞いてみると良いさ」

 それだけ言って、バスを降りていく。
 先ほどの待機場所へ戻ると、風景に同化していって見分けづらくなった。
 さっきはあえて姿を見せたのかな?
 これは初見だとわからないよね。

 それで、モウカさんの言った境目というのがわかった。
 兵士の横を通過すると、一気に景色が変わる。
 ただの長閑《のどか》な街道だったはずが、立ち並ぶ街灯が左右に現れる。
 道の先には家々が立ち並び、山肌には木々と同化した城のようなものが見える。

「あれって……城?」

「城もありますが、山周辺をまるまる都市にしたのですわ」

 麓《ふもと》には巨大な木々が並び、近づくにつれて、ただの木じゃないことがわかる。
 どれもこれも太く高い。
 その中間地点にはツリーハウスがあって、ハシゴが吊るされている。

「うおー! これはすげぇ!」

「ドワーフ村とは段違いですね」

 呆気に取られてしまうな。
 それも、外壁の外側から見えている範囲だけ。
 ようやく入り口へ到着したと思ったら、待ち構えていたのは白塗りの巨大な門だった。

「どんだけの高さがあるんだ!?」

「ハーフドワーフは低めだから……、ざっと見て天辺まで20mくらいですかね?」

「20mってどのくらい?」

「およそ7階くらいですかね」

 でけぇ。
 そろそろ首が疲れそうになった。
 バスがゆっくりと進んでいくと門番が対応を始める。

「中を確認するぞ」

 先ほどと同じように紹介状を確認され、すんなりと通される。

「この馬車はアルフヘイムの認証があるので、信頼があるのです」

 そういうのもあるのか。
 門をくぐって数分進むと、街の手前で降ろされる。

「お疲れさん。そにある程度の地図が描かれているから、ここからは自分で行ってくれな」

「「「「ありがとうございました」」」」

 さっそく地図を確認すると、大まかに4つへ分けられている。


 ———————————————
  立ち入り  |    商業
  禁止  _____  工業
    /  大聖堂  \
   /         \ ●
 _|     山     |_
  |           |
   \    城    /
     \_____/
       森林 
 ———————————————

 ●が入り口で、今いるのは産業区ってところかな?
 森林地区はツリーハウスが見えていたから、居住区も兼ねていそう。
 立ち入り禁止は奥側だし、まだまだ見えない。

「城も大聖堂も、ここからじゃわからないね」

「いずれ行けるかもしれないし、今は目的地を目指そうよ」

 テッケンさんの言う通りだね。

「えっと訓練所と魔法工房は……」

「どっちもここから北側だよ」

 ん?
 知らない声だな。どこからだ?

「こっちだよ」

 地図の後ろから見たことない種族が出てきた。
 若干緑がかっていて、身長は俺たちより少し小さい?
 ポックルくらいかな?

「訓練所も魔法工房もあっち」

「そうですか。ありがとうございます」

「いえいえ。じゃあね!」

 案内NPCかな?

「初めてみる種族でしたね」

「ここにいるってことは妖精種なのかな? モウカさんわかる?」

「……いえ。私も初めて見ましたわ」

 これ以上考えても無駄か。
 とりあえず進みますかねぇ。

「あ! ハッチさんさ」

「はい?」

「配信するんじゃなかった?」

「そうだった! 準備するからちょっと待ってて」

 テッケンさんに言われるまですっかり忘れてた。
 これですっぽかしてたら、どんだけ苦情が来たことか。
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