ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

文字の大きさ
90 / 111
日本初イベント大会

潜水ウツボ

しおりを挟む
 親方の遺言《ゆいごん》通り、教えていただいた池を探すと、数分茂みをかき分けた先で見つけることができた。
 その場所はクリケット球場ほどの広さがあり、膝上程度の浅い水深という変わった池だった。
 さらに覗き込んでみると、腕ほどの大きさをした穴が池の水底全体から無数に見つけられる。

 誰かしら居ても良いはずだが、無人の池なら今のうちに釣ってしまおう。そう思って、いそいそと釣りの準備を始め、釣り針を垂らして待つ。
 いるとしたら穴の中だろうと穴に落としたり、その縁《へり》に寄せたりしてるが、一向に出てくる気配は無い。

「親方はどうやって釣ったんだ?」

 池の外からほとんどの穴を試してみたが、時折感じる重みは全て地面に引っかかった時の重みだけ。
 俗に言う『地球釣り』ですな。

 外からはダメだと見切りをつけて、水に入り込む。5mほど入り込み、気持ち大きめの穴に糸を垂らしていると、ピクピクと竿にこれまでと違う感触を感じ始める。

「そうだそうだ。もうちょっと、来い。食いつけ」

 ハラハラしつつ穴を見つめていると、後ろから水の弾ける音がする。
 振り向くと魚体の後ろ半分しか見えないが、にょろにょろした体とわかった時には尻に痛みが走る。

「いってぇぇぇぇ!」

 空いてる手で何度も叩くが離れず、釣竿を引き上げ竿でも叩きつつ地上を目指して歩いた。
 ジリジリと減っていくHPに危機感を感じつつもなかなか離れない。
 ヤケクソになってメッタメタ竿で叩いていると、運良く針が魚体に引っ掛かった。

「おっしゃ。これで引き剥がしてやる。ぬおぉぉぉぉ」

 釣竿を引っ張りつつ拳を当てていると徐々に噛む力が弱くなり、とうとう尻から口を離してくれた。

《釣りが0.5上昇》
《糸術が0.5上昇》

「はぁはぁ……やっと離れたか。めっちゃスキルも上がったな。どれどれ、その主の顔を拝んでやろう」

 逆さ吊りの魚体を目の前に持ってくると、予想以上に凶暴な顔でびびる。
 尖った小さな歯を大量に並べ、噛みちぎるというより噛み付いたら離さないという形状に見える。

「ウツボか。これってもしかして……尻が水中にあったらデスロールで千切ら」

 自分で言ってて怖くなってきた。
 いくらアバターとは言え、尻穴が2つになるとか笑えない。
 未だに地上でにょろにょろ動き続ける魚体は、まだまだ攻撃性を持っている。たしかウツボは皮膚呼吸もできたんだっけ?
 だとすると、このまま待ってても時間の無駄だよな。
 意を決して棒を打ちおろすが、うねった体に当たってばかりで、肝心の頭にヒットしない。
 ようやく頭に当てた時には、魚体にたくさんの傷がついていた。

「ボッロボロにしてしまった。こんなことになるなら、魚用の鉄挟みでも作れば良かったなぁ」

 傷だらけの魚をインベントリに放り込むと、こいつの正体がわかる。

 _______________

 学名:Dive moray eel、潜水ウツボ
 別名:Hole eater、穴喰らい

 暗い穴蔵を好み生息するウナギの仲間。胴長の体にすっぽりとはまる隠れ家を常に探している。
 肉食性で小型の生物を捕食しているが、時折自身の何倍もある巨大な獲物も相手にする。
 タンパクな味で筋肉質なブリブリとした食感が特徴的。獣人(ワニ種)の好む食材だが、滑《ぬめ》る体を捌《さば》くのに高い料理技術を必要とする。

《捕獲時の注意点》
 警戒心が強く目が良いため、人影が映るとあまり顔を出さない。
 しかし、水中に入った場合は獲物と認識する。穴喰らいは常に背後から襲いかかり、穴を探している。尻穴を死守しろ。
 _______________


 先程の魚と良い、こいつを考えた製作者はプレイヤーに嫌がらせをしたいのか?
 何にしてもまともな精神構造をしているとは思えないな。

「撮影完了っと。これもブログに上げておきますか。いや、もしかしたら制限が入るかもしれないな」

 そうなっても良いかと考えつつ、再び餌を投げ入れる。
 今度はしっかりと身を伏せてね。
 3匹目の潜水ウツボを釣ったところでアナウンスが流れた。

<これより休憩を挟みます。休憩時間中の釣果は、大会規定により計量できませんのでご注意ください。>
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

【完結】異世界先生 〜異世界で死んだ和風皇子は日本で先生となり平和へと導きます〜

雪村
ファンタジー
ある日カムイ王都の皇子、シンリンは宮殿に入った賊によって殺されてしまう。しかし彼が次に目覚めたのは故郷である国ではなく機械化が進んでいる国『日本』だった。初めて見る物体に胸を躍らせながらも人が全く居ないことに気付くシンリン。 そんな時、あたりに悲鳴が響き渡り黒く体を染められたような人間が人を襲おうとしていた。そこに登場したのは『討伐アカデミーA部隊』と名乗る3人。 しかし黒い人間を倒す3人は1体だけ取り逃してしまう。そんな3人をカバーするようにシンリンは持っていた刀で黒い人間を討伐して見せた。 シンリンの力を見た3人は自分達が所属する『討伐アカデミー』の本拠地へと強制的に連行する。わけのわからないシンリンだったが、アカデミーで言われた言葉は意外なものだった……。

処理中です...