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目を開けると直ぐに白衣姿が目に入った。
どうやらここは病院らしい。
「気が付きましたか。貴方、吸血鬼族の血筋ですね」
「はい?」
吸血鬼族?
「まさかご存知でない? 御両親には何と言われてますか?」
「両親は僕が幼い時に事故で……」
「吸血鬼族は珍しいので、解らなくなる事は無いと思うのですが……」
「???」
困惑した様子の白衣の先生。
僕も困惑してしまう。
吸血鬼族って何だ?
空想の化け物の話し?
ハロウィンだから?
俺の頭の中は混乱でグルグルしていた。
「お名前は?」
「山田薫(やまだかおり)です」
「山田薫さんですね。今は誰と住んでいるんですか?」
「今は一人です。祖母が居たのですが5年前に亡くなってしまって、それからは天涯孤独です」
「解りました。吸血鬼会にはこちらから連絡しておきます」
「吸血鬼会?」
話についていけない。
やっぱり吸血鬼って言っているよな?
キュウケツキって別のキュウケツキが有るのか?
僕が知らないだけで。
キュウケツキカイ?
「山田さんは吸血鬼族の血がながれている為、普通の食事だけでは得られない栄養素が有るんです。それを補わないと餓死してしまいます」
「僕、餓死しそうになってたんですか!?」
「そうです。普通なら貴方もう死んでますよ」
「そうなんですか!?」
「吸血鬼の血が薄いのでしょう。良かったですね」
「はぁ……」
良くはない。
と、いうか、意味も解らない。
だからキュウケツキって何なんだ。
もしかして僕、血を飲まなきゃいけないって事!?
やっぱり吸血鬼じゃないか!
「コレを毎日飲んでください」
「コレは?」
「模造血錠です」
「模造血錠?」
よく見る丸い玉薬である。
血が出てこなくて良かった。
「本当は人の血を飲むのが良いのですが、ちょくちょく飲める物でもないので誤魔化しですね」
「なるほど」
やっぱり血なんだぁ……
「気休めです」
「そんなはっきりと」
例え気休めだとしても言わないで欲しいよ先生。
「とにかく、吸血鬼族の事は吸血鬼族に聞いてください。まぁ、吸血鬼族は高貴な一族で優秀な人物も多く、目見も良いので損する事は無いですよ。宝くじにでも当たったと思って下さい。人生勝ち組間違い無しです」
励ましてるつもりなのだろうか、笑顔で肩を叩く先生。
この先生は大丈夫なのだろうか。
デリカシーが無さすぎないか?
血を飲まなきゃ生きていけないなんて、どんなに優秀で目見も良くても負け組だろう。
吸血鬼って言ったら何かカッコいいけど、言い方かえれば蚊みたいなもんだ。
無理、嫌だ辛い。
人生ガチャ失敗してる。
「栄養失調なだけで、病気とかでは無いので直ぐに退院出来ますよ」
「はぁ、どうもお世話になっておりました」
病気の方が良かったな。
僕は先生から気休めの薬を受け取る。
もう帰って良いらしい。
「あの、僕と一緒に居た男性は?」
「さぁ、救急車に同乗はされてなかったので……」
「そうですか」
せめてお礼が言いたいが、名前も解らない。
毎朝同じ時刻に同じ道を歩いているし、いつか会えるだろうか。
どうやらここは病院らしい。
「気が付きましたか。貴方、吸血鬼族の血筋ですね」
「はい?」
吸血鬼族?
「まさかご存知でない? 御両親には何と言われてますか?」
「両親は僕が幼い時に事故で……」
「吸血鬼族は珍しいので、解らなくなる事は無いと思うのですが……」
「???」
困惑した様子の白衣の先生。
僕も困惑してしまう。
吸血鬼族って何だ?
空想の化け物の話し?
ハロウィンだから?
俺の頭の中は混乱でグルグルしていた。
「お名前は?」
「山田薫(やまだかおり)です」
「山田薫さんですね。今は誰と住んでいるんですか?」
「今は一人です。祖母が居たのですが5年前に亡くなってしまって、それからは天涯孤独です」
「解りました。吸血鬼会にはこちらから連絡しておきます」
「吸血鬼会?」
話についていけない。
やっぱり吸血鬼って言っているよな?
キュウケツキって別のキュウケツキが有るのか?
僕が知らないだけで。
キュウケツキカイ?
「山田さんは吸血鬼族の血がながれている為、普通の食事だけでは得られない栄養素が有るんです。それを補わないと餓死してしまいます」
「僕、餓死しそうになってたんですか!?」
「そうです。普通なら貴方もう死んでますよ」
「そうなんですか!?」
「吸血鬼の血が薄いのでしょう。良かったですね」
「はぁ……」
良くはない。
と、いうか、意味も解らない。
だからキュウケツキって何なんだ。
もしかして僕、血を飲まなきゃいけないって事!?
やっぱり吸血鬼じゃないか!
「コレを毎日飲んでください」
「コレは?」
「模造血錠です」
「模造血錠?」
よく見る丸い玉薬である。
血が出てこなくて良かった。
「本当は人の血を飲むのが良いのですが、ちょくちょく飲める物でもないので誤魔化しですね」
「なるほど」
やっぱり血なんだぁ……
「気休めです」
「そんなはっきりと」
例え気休めだとしても言わないで欲しいよ先生。
「とにかく、吸血鬼族の事は吸血鬼族に聞いてください。まぁ、吸血鬼族は高貴な一族で優秀な人物も多く、目見も良いので損する事は無いですよ。宝くじにでも当たったと思って下さい。人生勝ち組間違い無しです」
励ましてるつもりなのだろうか、笑顔で肩を叩く先生。
この先生は大丈夫なのだろうか。
デリカシーが無さすぎないか?
血を飲まなきゃ生きていけないなんて、どんなに優秀で目見も良くても負け組だろう。
吸血鬼って言ったら何かカッコいいけど、言い方かえれば蚊みたいなもんだ。
無理、嫌だ辛い。
人生ガチャ失敗してる。
「栄養失調なだけで、病気とかでは無いので直ぐに退院出来ますよ」
「はぁ、どうもお世話になっておりました」
病気の方が良かったな。
僕は先生から気休めの薬を受け取る。
もう帰って良いらしい。
「あの、僕と一緒に居た男性は?」
「さぁ、救急車に同乗はされてなかったので……」
「そうですか」
せめてお礼が言いたいが、名前も解らない。
毎朝同じ時刻に同じ道を歩いているし、いつか会えるだろうか。
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