ハロウィンの吸血鬼

甘塩ます☆

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 病院からそのまま直ぐに出社して、遅刻を上司に謝罪し、仕事した。
 薬を飲んだおかげか、体調はだいぶマシになった。
 仕事は半休で昼からになったのだが、僕の仕事は減らないし、なんなら皆いつもの様に面倒な仕事は僕に押し付ける。
 なので結局残業である。
 一人で残業するのは苦ではない。
 みんな僕を頼ってくれるのも嬉しい。
 薬のおかげて体調も悪くない。
 ここは天国である。

「経理課は今夜、飲み会だった筈だが……」

 不意に誰かが入ってきた。

「電気の消し忘れだと思ったんだがな」

 困った様に僕を見つめてくる男性に見覚えは無いが、声に聴き覚えがある。
 今朝の人?
 同じ会社の人だったのか。

「仕事を押し付けられたのか?」
「あの、今朝はどうも有難うございました!」
「ん?」

 頭を下げる僕に、彼は良く解らないといった表情になる。
 そうか、コレじゃあ解らないか。
 僕は黒縁眼鏡を外す。
 
「ああ、君、無事だったんだな! と、言うか何故出社した!? そして、何故残業を!?」

 顔を見て思い出してくれたらしいが、焦った様子で肩を掴まれる。

「ただの栄養失調でした。薬が効いているので大丈夫です」

 すこぶる元気ですと、拳を握って腕を上げ下げして見せる。

「いや、そういう問題じゃない。君、今朝倒れたんだぞ。家で休みなさい。有給はどうなっているんだ? 使い果たしたのか?」
 
 元気アピールのかいはなく、余計に心配そうな表情にさせてしまった。 

「有給は使ってないので有ると思います」
「じゃあ使いなさい、今使わずに何処で使うと言うんだ。大体、何で一人で残業なんて…… 飲み会はどうした?」
「僕、お酒弱いので」
「ソフトドリンクでも飲んでいれば良いだろう」
 
 なんだかイライラさせてしまってる様子で、どんどん声が大きくなる。
 僕は飲み会に行くより一人で残業の方が好きなのに。

「僕が行っても場が白けるでしょう」

 こういう空気にさせるから、やっぱり僕って人付き合い無理なんだよな。
 
「わかった、経理課は君をハブしたと。いい大人がして良い事ではないな。これは大問題だ。早急に手を打とう」
 
 フムと、頷き、腕を組んで難しい表情をしてしまう男に、僕は焦る。
 そんな大きいな問題みたいに話を荒らげないで欲しい。
 経理課の皆だって、もしかして僕が残業大好き人間だと知っていて仕事を置いて行ってくれてるのかも知れない。
 そして、飲み会は苦手なのを見越して敢えて誘わなかったのかも知れないじゃないか。

「そんな、僕、いいんです。一人で残業するの大好きだし。飲み会行きたく無いし、寧ろ有り難いと言うか。ウィンウィンですね!」
「こんなウィンウィンが有ってたまるか。とにかく、君はもう帰りなさい!」
「でもまだ仕事が……」
「仕事なんてどうでもいい!」
「よく有りません!」
 
 なんかやたら一報的な事を言う人だ。
 僕もだんだんイライラしてきた。
 貴方には関係ない話だろう。
 命令してくるのは止めてほしい。
 何様のつもりだ。
 だいたい、よく考えればこの人だってこの時間まで残業していたから居るんだろう。
 何故僕だけ責められているんだ。

「良い、俺が良いと言うんだか良いんだ! 来なさい!」
「ええ、あ、ちょっと荷物が…… パソコンのデータを…… あのあの……」

 あああーー。
 ものすごい力が強い人だ。
 腕を掴まれ引っ張られるとどうしようも無い。
 僕は非力だ。
 
「解りました。もう帰ります。だからせめて閉めの作業をさせてください!!」

 そう懇願して、やっと手を離して貰えた。
 泣く泣く仕事を途中にせざるおえなかった。
 ここで止めても明日の僕の仕事が増えるだけてである。
 仕事が増えて残業になるのは良いとして、期日を守れないのは僕の落ち度になってしまう。
 残業は好きだが、怒られる事は好きでは無いのだけど……
 仕方ない、明日上司に怒られよう。
 変な強引男に無理やり止めさせられたんです!
 なんて言っても理由にはならないだろうし。
 良い人だと思ったのだが、傍迷惑な強引男だっらたしい。
 困ったなぁ。
 今も威圧的に腕を組んでこっちを睨んでいるし。
 正直、ちょっと怖い。
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