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アパートにつくと、早速メジャーを用意し、貴臣さんには背筋を伸ばして立ってもらう。
もともと姿勢が良いのに背筋を伸ばしてなんて言わなければ良かったかもしれない。
貴臣さんは緊張してしまってガチガチだ。
そもそも忍び装束なので、そこまで正確に測る必要もないのだが、一応である。
「ごめんなさい貴臣さん。肩の力を抜いてもらって良いですか? やっぱり普通にしててください」
流石にガチガチ過ぎで測りにくい。
「す、すまん。何んか緊張するな」
「スーツを作る時とかに採寸しませんでしたか?」
「いや、されるが、その時は何も考えずに出来たんだが……」
何故か僕が採寸するのは緊張すると?
不意に血を吸われるんではないかと警戒してしまうのだろうか。
お腹は全然減ってないから今は要らないが。
飲ませてくれると言うなら喜んで飲んでしまいそうではある。
貴臣さん、普通にそこに居るだけで良い匂いがするのである。
これは何だろう。
「貴臣さん良い匂いしますよね。香水ですか?」
「香水は使ってないが」
「じゃあ柔軟剤かなぁ」
「さぁ、どうだろう。Yシャツは下ろしたてだクリーニング屋の匂いだろう」
「クリーニングの後の匂いと違う気がするんですけどねぇ」
結局何の匂いかは解らないが、採寸を進める。
まだガチガチであるが、おおよその長さが解かれば問題ないので良しとしよう。
「はい、終わりましたよ」
「大丈夫だろうか?」
「問題ないです。あとは明日布を調達して作るだけですよ」
「布ならウチに余ってるのが沢山あると思うがな。使うか?」
「ああ……」
ウチの会社は紳士服専門だ。
余ってる布は有るだろうが、忍び装束にそんな良い布を使うのは違和感だろう。
「いえ、普通の何処にでも有るような安い布が良いので……」
「そうか」
「また味噌汁でも飲んで行きます?」
今日もまた昨日と同じような時間だ。
夕食を食べるには遅すぎるだろう。
それにちゃんと夕食は職場で簡単に食べた。
貴臣さんの指示で牛丼をテイクアウトしたのだ。
社長さんなのにチェーン店の牛丼を食べてるのが面白かった。
しかし、テイクアウトだけでは栄養が偏りそうで心配である。
許されるなら僕が夕食ぐらい給湯室で作るのだけど。
「有難う。薫くんの作る味噌汁は美味しくて飲貰えるなら嬉しいよ」
「僕も貴臣さんの血が美味しいので、飲ませて貰えれば嬉しいです」
貴臣さんが褒めてくれたのが嬉しくて、僕も褒め返してみたが、なんか言ってからサイコパスみたいな発言だったと笑顔で青ざめる。
僕の口ってこんな軽かったっけ。
貴臣さんには思ったことを直ぐに言ってしまう。
良く無い。
貴臣さんもビックリした顔している。
何も言わなかった事にしよう。
僕は直ぐに踵を返して「じゃあ座って待ってて下さいねー」とか言いながらキッチンに向うのだった。
取り敢えず簡単に卵と豆腐、玉ねぎを入れて味噌汁を作り、貴臣さんと一緒に飲む。
「やっぱり薫くんの味噌汁は美味しいな」
貴臣さんは満足してくれたみたいだ。
「良かったら残業の時は僕が夕食を作りますよ。そう僕に指示を下さい」
「良いのだろうか?」
「サービスではなく残業代を貰うので大丈夫ですよ。その夕食は僕も食べるし」
「そうか。じゃあ、お願いしようかな」
「喜んで」
貴臣さんの夕食を作れるのは結構嬉しい。
だって、味噌汁だけでも本当に美味しそうに飲んでくれるのだ。
僕の手料理を食べてくれるのは貴臣さんとコウモリさんだけだ。
コウモリさんは表情が解らないので喜んでくれているかは微妙であるが、貴臣さんは優しく微笑んでくれる。
本当に可愛い人だなぁ。
「じゃあ今度は俺の番か。どうぞ飲んでくれ」
「はぇっ!?」
飲み終わったお椀を片付けて戻ると手を差し出された。
「いいです、貰ったばかりでお腹いっぱいですよ」
「そうなのか? 残念だ」
ざ、残念ってどういう事だ!?
す、据え膳なのだろうか。
食わずは男の恥だろうか。
「じゃあ、帰るよ」
「ま、待って下さい。じゃあ一口だけ……」
折角飲ませてくれると言うのだ。
飲ませて貰おう。
僕は遠慮がちに貴臣さんの手を取ると、薬指の指先からチュッと軽く噛み付いて少しけ吸う。
うん?
今日はちょっと甘い匂いがする。
これは良く貴臣さんから微かに香ってくる良い匂い。
貴臣さんの体臭だったのか。
ずっと嗅いでたくなる匂いだ。
チュパチュパと指先を噛み噛みする。
香る匂いを楽しんだ。
「んっ、薫くん……」
「あ、すみません……」
「いや……」
貴臣さんが甘い声を漏らすものだから慌てて離す。
貴臣さんの顔は真っ赤だ。
本当に可愛い人だ。
食べてしまいたくなる。
「えっと、じゃあ俺はこれで、また明日宜しく頼むよ」
貴臣さんはイソイソと玄関に向かってしまった。
「はい、此方こそ。気をつけて帰って下さいね」
「ああ、こうみえて空手の有段者だ。心配しないでくれ」
「すごい……」
貴臣さんの方こそ何でも出来る頼もし男性だな。
貴臣さんを見送り、部屋に戻る。
食べたくなるって何なんだ。
自分の思考が解らない。
吸血鬼って人間食べちゃうのかな。
怖い。
貴臣さん、やっぱり吸血されるのちょっと嫌がってるよな。
貴臣さんは好きだし、美味しいけど、無理やり血をもらうのは良く無い。
嫌われたくない。
やっぱりコウモリさんにもう一度頼もう。
いや、コウモリさんにも嫌われたくない。
僕は誰から血を貰えば良いんだぁ!!
一ヶ月に一回ぐらいはやっぱり許して貰おう。
コウモリさんに。
貴臣さんは食べちゃいたくなるかもしれないから怖すぎる。
もともと姿勢が良いのに背筋を伸ばしてなんて言わなければ良かったかもしれない。
貴臣さんは緊張してしまってガチガチだ。
そもそも忍び装束なので、そこまで正確に測る必要もないのだが、一応である。
「ごめんなさい貴臣さん。肩の力を抜いてもらって良いですか? やっぱり普通にしててください」
流石にガチガチ過ぎで測りにくい。
「す、すまん。何んか緊張するな」
「スーツを作る時とかに採寸しませんでしたか?」
「いや、されるが、その時は何も考えずに出来たんだが……」
何故か僕が採寸するのは緊張すると?
不意に血を吸われるんではないかと警戒してしまうのだろうか。
お腹は全然減ってないから今は要らないが。
飲ませてくれると言うなら喜んで飲んでしまいそうではある。
貴臣さん、普通にそこに居るだけで良い匂いがするのである。
これは何だろう。
「貴臣さん良い匂いしますよね。香水ですか?」
「香水は使ってないが」
「じゃあ柔軟剤かなぁ」
「さぁ、どうだろう。Yシャツは下ろしたてだクリーニング屋の匂いだろう」
「クリーニングの後の匂いと違う気がするんですけどねぇ」
結局何の匂いかは解らないが、採寸を進める。
まだガチガチであるが、おおよその長さが解かれば問題ないので良しとしよう。
「はい、終わりましたよ」
「大丈夫だろうか?」
「問題ないです。あとは明日布を調達して作るだけですよ」
「布ならウチに余ってるのが沢山あると思うがな。使うか?」
「ああ……」
ウチの会社は紳士服専門だ。
余ってる布は有るだろうが、忍び装束にそんな良い布を使うのは違和感だろう。
「いえ、普通の何処にでも有るような安い布が良いので……」
「そうか」
「また味噌汁でも飲んで行きます?」
今日もまた昨日と同じような時間だ。
夕食を食べるには遅すぎるだろう。
それにちゃんと夕食は職場で簡単に食べた。
貴臣さんの指示で牛丼をテイクアウトしたのだ。
社長さんなのにチェーン店の牛丼を食べてるのが面白かった。
しかし、テイクアウトだけでは栄養が偏りそうで心配である。
許されるなら僕が夕食ぐらい給湯室で作るのだけど。
「有難う。薫くんの作る味噌汁は美味しくて飲貰えるなら嬉しいよ」
「僕も貴臣さんの血が美味しいので、飲ませて貰えれば嬉しいです」
貴臣さんが褒めてくれたのが嬉しくて、僕も褒め返してみたが、なんか言ってからサイコパスみたいな発言だったと笑顔で青ざめる。
僕の口ってこんな軽かったっけ。
貴臣さんには思ったことを直ぐに言ってしまう。
良く無い。
貴臣さんもビックリした顔している。
何も言わなかった事にしよう。
僕は直ぐに踵を返して「じゃあ座って待ってて下さいねー」とか言いながらキッチンに向うのだった。
取り敢えず簡単に卵と豆腐、玉ねぎを入れて味噌汁を作り、貴臣さんと一緒に飲む。
「やっぱり薫くんの味噌汁は美味しいな」
貴臣さんは満足してくれたみたいだ。
「良かったら残業の時は僕が夕食を作りますよ。そう僕に指示を下さい」
「良いのだろうか?」
「サービスではなく残業代を貰うので大丈夫ですよ。その夕食は僕も食べるし」
「そうか。じゃあ、お願いしようかな」
「喜んで」
貴臣さんの夕食を作れるのは結構嬉しい。
だって、味噌汁だけでも本当に美味しそうに飲んでくれるのだ。
僕の手料理を食べてくれるのは貴臣さんとコウモリさんだけだ。
コウモリさんは表情が解らないので喜んでくれているかは微妙であるが、貴臣さんは優しく微笑んでくれる。
本当に可愛い人だなぁ。
「じゃあ今度は俺の番か。どうぞ飲んでくれ」
「はぇっ!?」
飲み終わったお椀を片付けて戻ると手を差し出された。
「いいです、貰ったばかりでお腹いっぱいですよ」
「そうなのか? 残念だ」
ざ、残念ってどういう事だ!?
す、据え膳なのだろうか。
食わずは男の恥だろうか。
「じゃあ、帰るよ」
「ま、待って下さい。じゃあ一口だけ……」
折角飲ませてくれると言うのだ。
飲ませて貰おう。
僕は遠慮がちに貴臣さんの手を取ると、薬指の指先からチュッと軽く噛み付いて少しけ吸う。
うん?
今日はちょっと甘い匂いがする。
これは良く貴臣さんから微かに香ってくる良い匂い。
貴臣さんの体臭だったのか。
ずっと嗅いでたくなる匂いだ。
チュパチュパと指先を噛み噛みする。
香る匂いを楽しんだ。
「んっ、薫くん……」
「あ、すみません……」
「いや……」
貴臣さんが甘い声を漏らすものだから慌てて離す。
貴臣さんの顔は真っ赤だ。
本当に可愛い人だ。
食べてしまいたくなる。
「えっと、じゃあ俺はこれで、また明日宜しく頼むよ」
貴臣さんはイソイソと玄関に向かってしまった。
「はい、此方こそ。気をつけて帰って下さいね」
「ああ、こうみえて空手の有段者だ。心配しないでくれ」
「すごい……」
貴臣さんの方こそ何でも出来る頼もし男性だな。
貴臣さんを見送り、部屋に戻る。
食べたくなるって何なんだ。
自分の思考が解らない。
吸血鬼って人間食べちゃうのかな。
怖い。
貴臣さん、やっぱり吸血されるのちょっと嫌がってるよな。
貴臣さんは好きだし、美味しいけど、無理やり血をもらうのは良く無い。
嫌われたくない。
やっぱりコウモリさんにもう一度頼もう。
いや、コウモリさんにも嫌われたくない。
僕は誰から血を貰えば良いんだぁ!!
一ヶ月に一回ぐらいはやっぱり許して貰おう。
コウモリさんに。
貴臣さんは食べちゃいたくなるかもしれないから怖すぎる。
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