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鼻をかすめる良い匂いと、調理の物音で目を覚ます。
はて、自分はどうしたんだったか。
たしか昨日は薫くんと紫雨の主催するハロウィンパーティーに参加したのだ。
それから……
俺は色々思い出して顔が熱くなるのを感じた。
ガバっと起き上がる。
服は着ていた。
これは、浴衣?
「おはようございます貴臣さん」
「あ、ああ、おはよう」
ガラーっと襖が開き、顔を見せるのは薫くん。
隣はキッチンとダイニングだ。
俺は薫くんが敷いてくれたであろう布団で寝ていた。
浴衣も薫くんが着せてくれたのだろう。
「僕の寝間着を着せちゃってすみません」
「いや…… 有難う」
「貴臣さんの服は此処に有るので、着て下さいね。朝食は出来ているので」
「ああ…… すまんな」
薫くんは俺の服を持ってきてくれた。
昨日、着替えた時に脱いだ服である。
どうせ薫くんを送り届ける予定であったので脱いだ服は置いていったのだ。
薫くんは再びダイニングの方へ消えて行った。
いつもは開けっ放しのそちらの襖が閉められる。
薫くん、怒っているだろうか。
俺の事、気持ち悪いと思っただろうか。
もう、いままで通りの関係には戻れないのかも知れない。
そう思うと不安で血の気が引くようだった。
俺は何とか服を着て、隣に向かう。
謝って、何とか許して貰えないだろうか。
夢だと思って忘れてくれないだろうか。
無理だろうなぁ……
気が重い。
「どうぞ座ってくださ…… 顔色が悪いですね」
「わっ!」
後ろめたくて俯いてしまっていたからか、薫くんは心配してくれたらしく俺の頬に手を添えた。
俺は驚いて声を上げてしまった。
「あ、すみません。体調悪いです?」
「いや、大丈夫だ」
「なら良いのですが。食欲が無くても少しは食べてくださいね」
「はい……」
薫くんは敷いた座布団に座るようにと促す。
俺は大人しくそこに腰を下ろした。
思わず敬語になってしまい、薫くんは首を傾げていた。
料理は既に並んでいる。
和食だ。
味噌汁と、ご飯、焼き魚と卵焼き。
薫くんは納豆を混ぜている。
「貴臣さんも納豆は食べられますか?」
「ああ、好きだよ」
「良かった。半分こしましょう」
薫くんは微笑んで俺に納豆をくれた。
見た感じ普段と変わらない。
薫くんは割り切ってくれた感じだろうか。
それとも優しい彼の事だから顔には出さずに対応してくれているのだろうか。
本当は俺の顔も見たくないと思っているのだろうか。
「いたたきます」
「いたたきます」
薫くんが手を合わせたので、俺も手を合わせて薫くんの食事に手を付けた。
薫くんの手料理はやはり美味しい。
食事を終え、薫くんは片付けをはじめた。
今日は休日ではないが、有給にした。
勿論、俺から話したら構わないと言うので薫くんも有給にしてある。
彼の有給は溜まりに溜まっているので、問題はない。
逆に使ってもらいたい。
「薫くん、あの……」
「珈琲でも飲みます? 新聞は此処ですよ」
「あ、うん、有難う……」
薫くんは珈琲を用意してくれた上に新聞までくれる。
反射的に受け取った。
「いや、そうじゃなくて……」
「手伝いは結構ですよ。のんびりしてて下さいね。それとも、もう帰る用事が有ります?」
「いや、今日は暇だが」
「じゃあのんびりしててください」
「うん……」
確かに。
洗い物をしている薫くんの手伝いを申し出る所だったかもしれない。
何故、彼は俺にのんびりしていろと言ってくれるのだろうか。
もしかして、本当に些細な事で気にしていない?
大の男に抱いてくれとせがまれ、抱かせられたのに?
彼はもしかして経験豊富なのだろうか。
男も抱けるタイプなのか?
それとも男を抱くタイプ?
俺以外の男とも?
彼氏が居たり?
もしかしてセフレが居たりするのか?
昨夜、彼はどんな風に俺を抱いてくれたのだっけ。
クソ、何も思い出せない。
彼が足の付け根を噛んでくれて凄く気持ち良くて堪らなかった記憶しかない!!
「薫くん!!」
「何ですか?」
思わず大きな声で彼を呼んでしまった。
振り向く薫くんは手を拭いて此方に来る。
丁度お片付けは終わった様子だ。
「昨夜の事なんだが」
「え、ああ、すみません。僕も興奮しちゃって」
「それは良いんだ。俺もすまなかった。ところで君は男も平気なタイプなのか?」
「え?」
「誰か付き合っている人が居るのか?」
「いえ、居ませんけど……」
「じゃあ、良かったら俺と付き合ってくれ!」
「え? 何ですか? どういう事ですか?」
「君は俺を抱けるのだろう、俺は君とセックスしたい! 君は俺の血が飲みたい、俺はセックス出来るウィンウィンじゃないか!」
「えっ、待って下さい、待って。話しが飛躍しすぎです」
「だめなのか?」
俺のはシュンと項垂れる。
俺自身も俺は何を言っているんだろうと思っている。
居るかも知れない薫くんのセフレや過去の男に嫉妬してしまっている。
俺に興奮して抱けるなら、俺でも良いじゃないかと思ってしまった。
あの時、薫くんも媚薬の影響が有ったとか、考えられる頭じゃ無かった。
「駄目じゃないです……」
「え?」
幻聴が聞こえているのか?
「良いですよ。付き合いましょう」
「本当に?」
「ええ」
絶対に断られると思った。
薫くんが頷いてくれた。
俺は嬉しくて飛び上がりそうになったが、そこは落ち着いて彼の手を握った。
「これから君は俺の恋人だ。良いな?」
「ええ、貴方は僕の恋人です」
もしかしたら居るかも知れないセフレとは縁を切って欲しい。
そんな思いで恋人と念をおす。
薫くんも頷いてくれた。
彼からも恋人だと言ってくれて嬉しい。
「じゃあ、これから指輪でも買いに行こうか」
「気が早いですね」
ちょうど有給だし、デートがてら彼に指輪を付けてしまおう。
薫くんは苦笑しているが、俺はもう止まる気は無かった。
こうなったら押して押して押しまくろう。
はて、自分はどうしたんだったか。
たしか昨日は薫くんと紫雨の主催するハロウィンパーティーに参加したのだ。
それから……
俺は色々思い出して顔が熱くなるのを感じた。
ガバっと起き上がる。
服は着ていた。
これは、浴衣?
「おはようございます貴臣さん」
「あ、ああ、おはよう」
ガラーっと襖が開き、顔を見せるのは薫くん。
隣はキッチンとダイニングだ。
俺は薫くんが敷いてくれたであろう布団で寝ていた。
浴衣も薫くんが着せてくれたのだろう。
「僕の寝間着を着せちゃってすみません」
「いや…… 有難う」
「貴臣さんの服は此処に有るので、着て下さいね。朝食は出来ているので」
「ああ…… すまんな」
薫くんは俺の服を持ってきてくれた。
昨日、着替えた時に脱いだ服である。
どうせ薫くんを送り届ける予定であったので脱いだ服は置いていったのだ。
薫くんは再びダイニングの方へ消えて行った。
いつもは開けっ放しのそちらの襖が閉められる。
薫くん、怒っているだろうか。
俺の事、気持ち悪いと思っただろうか。
もう、いままで通りの関係には戻れないのかも知れない。
そう思うと不安で血の気が引くようだった。
俺は何とか服を着て、隣に向かう。
謝って、何とか許して貰えないだろうか。
夢だと思って忘れてくれないだろうか。
無理だろうなぁ……
気が重い。
「どうぞ座ってくださ…… 顔色が悪いですね」
「わっ!」
後ろめたくて俯いてしまっていたからか、薫くんは心配してくれたらしく俺の頬に手を添えた。
俺は驚いて声を上げてしまった。
「あ、すみません。体調悪いです?」
「いや、大丈夫だ」
「なら良いのですが。食欲が無くても少しは食べてくださいね」
「はい……」
薫くんは敷いた座布団に座るようにと促す。
俺は大人しくそこに腰を下ろした。
思わず敬語になってしまい、薫くんは首を傾げていた。
料理は既に並んでいる。
和食だ。
味噌汁と、ご飯、焼き魚と卵焼き。
薫くんは納豆を混ぜている。
「貴臣さんも納豆は食べられますか?」
「ああ、好きだよ」
「良かった。半分こしましょう」
薫くんは微笑んで俺に納豆をくれた。
見た感じ普段と変わらない。
薫くんは割り切ってくれた感じだろうか。
それとも優しい彼の事だから顔には出さずに対応してくれているのだろうか。
本当は俺の顔も見たくないと思っているのだろうか。
「いたたきます」
「いたたきます」
薫くんが手を合わせたので、俺も手を合わせて薫くんの食事に手を付けた。
薫くんの手料理はやはり美味しい。
食事を終え、薫くんは片付けをはじめた。
今日は休日ではないが、有給にした。
勿論、俺から話したら構わないと言うので薫くんも有給にしてある。
彼の有給は溜まりに溜まっているので、問題はない。
逆に使ってもらいたい。
「薫くん、あの……」
「珈琲でも飲みます? 新聞は此処ですよ」
「あ、うん、有難う……」
薫くんは珈琲を用意してくれた上に新聞までくれる。
反射的に受け取った。
「いや、そうじゃなくて……」
「手伝いは結構ですよ。のんびりしてて下さいね。それとも、もう帰る用事が有ります?」
「いや、今日は暇だが」
「じゃあのんびりしててください」
「うん……」
確かに。
洗い物をしている薫くんの手伝いを申し出る所だったかもしれない。
何故、彼は俺にのんびりしていろと言ってくれるのだろうか。
もしかして、本当に些細な事で気にしていない?
大の男に抱いてくれとせがまれ、抱かせられたのに?
彼はもしかして経験豊富なのだろうか。
男も抱けるタイプなのか?
それとも男を抱くタイプ?
俺以外の男とも?
彼氏が居たり?
もしかしてセフレが居たりするのか?
昨夜、彼はどんな風に俺を抱いてくれたのだっけ。
クソ、何も思い出せない。
彼が足の付け根を噛んでくれて凄く気持ち良くて堪らなかった記憶しかない!!
「薫くん!!」
「何ですか?」
思わず大きな声で彼を呼んでしまった。
振り向く薫くんは手を拭いて此方に来る。
丁度お片付けは終わった様子だ。
「昨夜の事なんだが」
「え、ああ、すみません。僕も興奮しちゃって」
「それは良いんだ。俺もすまなかった。ところで君は男も平気なタイプなのか?」
「え?」
「誰か付き合っている人が居るのか?」
「いえ、居ませんけど……」
「じゃあ、良かったら俺と付き合ってくれ!」
「え? 何ですか? どういう事ですか?」
「君は俺を抱けるのだろう、俺は君とセックスしたい! 君は俺の血が飲みたい、俺はセックス出来るウィンウィンじゃないか!」
「えっ、待って下さい、待って。話しが飛躍しすぎです」
「だめなのか?」
俺のはシュンと項垂れる。
俺自身も俺は何を言っているんだろうと思っている。
居るかも知れない薫くんのセフレや過去の男に嫉妬してしまっている。
俺に興奮して抱けるなら、俺でも良いじゃないかと思ってしまった。
あの時、薫くんも媚薬の影響が有ったとか、考えられる頭じゃ無かった。
「駄目じゃないです……」
「え?」
幻聴が聞こえているのか?
「良いですよ。付き合いましょう」
「本当に?」
「ええ」
絶対に断られると思った。
薫くんが頷いてくれた。
俺は嬉しくて飛び上がりそうになったが、そこは落ち着いて彼の手を握った。
「これから君は俺の恋人だ。良いな?」
「ええ、貴方は僕の恋人です」
もしかしたら居るかも知れないセフレとは縁を切って欲しい。
そんな思いで恋人と念をおす。
薫くんも頷いてくれた。
彼からも恋人だと言ってくれて嬉しい。
「じゃあ、これから指輪でも買いに行こうか」
「気が早いですね」
ちょうど有給だし、デートがてら彼に指輪を付けてしまおう。
薫くんは苦笑しているが、俺はもう止まる気は無かった。
こうなったら押して押して押しまくろう。
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