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月さんが入れてくれた珈琲を飲みながら、集中して作業が出来た。
良いところ終わり、フゥーと息を抜く。
このペースなら間に合いそうだ。
気づけば外は薄暗くなり、小雨が降っている事に気づいた。
時計を確かめる。
「雪那さん、何時に帰る予定なんですか?」
「ん? そうだね……」
月さんも仕事をしていたらしい。
眼鏡を外す。
月さんも仕事中はたまに眼鏡をするのだが、しない時もある。
眼鏡の月さんもセクシーでカッコいい。
「連絡は来てないな。帰りが遅くなるなら連絡して欲しいものだよ」
スマホを確かめて溜息をつく月さん。
「今日は、ドラマの撮影でしたね」
「うん」
雪那さんにはドラマの話が入り、受けたのだ。
当馬役だ。
雪那さんほどの人を当馬にするのはどういう事なんだと、聞いたときは反対しそうになったが、雪那さんは何でも挑戦したいと乗り気だったので応援する事にした。
ミステリーにラブコメ要素のある脚本だ。
今日は山荘のロッジのシーンだと言っていた。
割と近場なはず。
今日中に取り終えると言う話だったが、撮影が押しているのだろうか。
「夕食は家でしましょう」
月さんは今日、人を家に返してしまっている様なので、大変だろう。
俺は家に電話をかける。
「なんか、申し訳ないな」
「構いませんよ」
どうせ沢山作っているだろう。
家に電話すると、もう作っていた様で、早く帰って来いと言われてしまった。
そんなに怒らなくても……
俺の付き人は態度が悪い気がする。
「なんか怒られちゃいました。もう夕食は用意したから帰って来いと言ってました」
「そうだよね。僕も気が付かなくて申し訳ないよ」
「でも、雪那さんはまだですよ」
まだ仕事中の雪那さんを差し置いて先に夕食を食べてしまうのは、申し訳ない。
「夕食時に帰ってこない雪那が悪いよ。先に食べちゃお。連絡もないし」
「はい……」
月さんは気にするなと、手を引く。
俺はあまり気が進まなかったが、月さんが手を引くので着いていく。
夜は暗いが、歩いやすい用に灯りを足元に置いてあるので、問題なく歩ける。
結構雨が降ってきてしまっていたので、傘をさした。
すぐそこまでだが、相合い傘にドキドキしてしまった。
「濡れちゃうよ」
そう月さんが優しく俺の肩を抱くので、本当に心臓に悪かった。
「坊っちゃんお帰りなさいませ。遅くなるなら連絡を頂きませんと、私は心配します」
玄関で出迎える俺の付き人が怒っている。
菅原とも昔馴染みでではある。
父親が俺の父の付き人だった。
その流れで菅原もたまに家に着ていたし、遊んだりした。
なんだか自然な流れで俺の付き人になっている。
「隣に行くと言ったじゃないですか」
ちゃんと月さんの所に行くと言って家を出た。
心配するも何も無い。
そもそも心配したなら隣まで様子を見に来たら良いだけである。
「隣は隣とはいえ、されど隣です」
何を言っているんだろう。
そもそも隣は元は家の敷地であった。
殆ど俺の家である。
何をそんなに不機嫌になっているのか解らない。
夕食を家で食べるか他所で食べるか言わなかったからだろうか。
月さんも連れてきちゃたからか?
「夕食が冷めてしまいますよ」
菅原は、そう言うとスタスタと居間に向かう。
俺は首を傾げた。
月さんは苦笑している。
「彼はタマを深渕に押し込めたいみたいだね」
「困ります」
ただ小さい頃からの知り合いだからって、歳だって菅原の方が二つぐらい下である。
どっちかと言えば俺の方がお兄さんだ。
良いところ終わり、フゥーと息を抜く。
このペースなら間に合いそうだ。
気づけば外は薄暗くなり、小雨が降っている事に気づいた。
時計を確かめる。
「雪那さん、何時に帰る予定なんですか?」
「ん? そうだね……」
月さんも仕事をしていたらしい。
眼鏡を外す。
月さんも仕事中はたまに眼鏡をするのだが、しない時もある。
眼鏡の月さんもセクシーでカッコいい。
「連絡は来てないな。帰りが遅くなるなら連絡して欲しいものだよ」
スマホを確かめて溜息をつく月さん。
「今日は、ドラマの撮影でしたね」
「うん」
雪那さんにはドラマの話が入り、受けたのだ。
当馬役だ。
雪那さんほどの人を当馬にするのはどういう事なんだと、聞いたときは反対しそうになったが、雪那さんは何でも挑戦したいと乗り気だったので応援する事にした。
ミステリーにラブコメ要素のある脚本だ。
今日は山荘のロッジのシーンだと言っていた。
割と近場なはず。
今日中に取り終えると言う話だったが、撮影が押しているのだろうか。
「夕食は家でしましょう」
月さんは今日、人を家に返してしまっている様なので、大変だろう。
俺は家に電話をかける。
「なんか、申し訳ないな」
「構いませんよ」
どうせ沢山作っているだろう。
家に電話すると、もう作っていた様で、早く帰って来いと言われてしまった。
そんなに怒らなくても……
俺の付き人は態度が悪い気がする。
「なんか怒られちゃいました。もう夕食は用意したから帰って来いと言ってました」
「そうだよね。僕も気が付かなくて申し訳ないよ」
「でも、雪那さんはまだですよ」
まだ仕事中の雪那さんを差し置いて先に夕食を食べてしまうのは、申し訳ない。
「夕食時に帰ってこない雪那が悪いよ。先に食べちゃお。連絡もないし」
「はい……」
月さんは気にするなと、手を引く。
俺はあまり気が進まなかったが、月さんが手を引くので着いていく。
夜は暗いが、歩いやすい用に灯りを足元に置いてあるので、問題なく歩ける。
結構雨が降ってきてしまっていたので、傘をさした。
すぐそこまでだが、相合い傘にドキドキしてしまった。
「濡れちゃうよ」
そう月さんが優しく俺の肩を抱くので、本当に心臓に悪かった。
「坊っちゃんお帰りなさいませ。遅くなるなら連絡を頂きませんと、私は心配します」
玄関で出迎える俺の付き人が怒っている。
菅原とも昔馴染みでではある。
父親が俺の父の付き人だった。
その流れで菅原もたまに家に着ていたし、遊んだりした。
なんだか自然な流れで俺の付き人になっている。
「隣に行くと言ったじゃないですか」
ちゃんと月さんの所に行くと言って家を出た。
心配するも何も無い。
そもそも心配したなら隣まで様子を見に来たら良いだけである。
「隣は隣とはいえ、されど隣です」
何を言っているんだろう。
そもそも隣は元は家の敷地であった。
殆ど俺の家である。
何をそんなに不機嫌になっているのか解らない。
夕食を家で食べるか他所で食べるか言わなかったからだろうか。
月さんも連れてきちゃたからか?
「夕食が冷めてしまいますよ」
菅原は、そう言うとスタスタと居間に向かう。
俺は首を傾げた。
月さんは苦笑している。
「彼はタマを深渕に押し込めたいみたいだね」
「困ります」
ただ小さい頃からの知り合いだからって、歳だって菅原の方が二つぐらい下である。
どっちかと言えば俺の方がお兄さんだ。
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