「勝手に手出しするな」と怒る騎士団長ですが、影の彼女は今日も完璧に仕事を終えています

甘塩ます☆

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 お湯を含んだ薄い湯浴み着は、無慈悲にもカゲロウの身体に張り付き、そのしなやかな曲線を赤裸々に描き出していた。
 ゼノスの逞しい太腿の上に乗せられる形になったカゲロウは、下腹部に当たる「大きくて硬い熱」の存在に、ヒッと小さく悲鳴を上げる。
 胸を揉まれ、カゲロウは抵抗しているゼノスの身体を押し返そうとするが、びくともしなかった。

「んアッ…や、やめて……触らないで」

「僕たちは恋人同士なのですから、こういう行為は当たり前ですよ。……ねえ、リリア?」

 耳元で囁くゼノスの唇が、カゲロウの耳たぶを逃がさぬように甘噛みする。

「ンンっ……やだぁ、痛い……っ」

「痛くないでしょう? 嘘をついてはいけません。……ほら、気持ちいいと言ってごらん」

「あっ……ゼノス、様……っ」

(……この男のどこが紳士的なんだ! やっぱりただのケダモノじゃないか!)

 内心で毒づくものの、ゼノスの不埒な指先が、湯浴み着越しに胸の突起をキュッと摘まみ上げると、カゲロウの思考は一瞬で白く染まる。

「見て、リリア。周りの皆もすごいですよ。僕たちだけ何もしないのは不自然だ」

 ゼノスはカゲロウを軽々と抱き上げると、湯煙の向こう側へと移動した。
 そこは、まさに「楽園」を履き違えたような情景だった。縁に女性を座らせ、男がその肢体を文字通り「貪っている」カップルばかりだ。睦み合う声、水音、そしてあられもない結合を繰り返す男女の姿。

「い、いや……あんなの、私にはできない!」

「大浴場に来たいと言い出したのはリリアですよ? 我儘を言わないの」

(周囲と違う動きをすれば怪しまれますよ)

 ゼノスは怯えるカゲロウを、空いている縁に座らせた。

「ほら、お隣をよく見て。真似をするんだ。あの方は、どうされていますか?」

 カゲロウは恐る恐る右隣を見た。そこでは、縁に座った女性が立ち上がった男の「それ」を口に含み、喉を鳴らしていた。

(……な、難易度が高すぎる!)

 カゲロウは顔を真っ赤にして逆側を見る。今度は、激しい衝突音を立てながら男に腰を打ち込まれている女がいた。

「あぁーーん!! あなた、激しすぎるわっ!!」
「ほら、お隣が見てるよ?」
「いやぁん、恥ずかしい……!」

 挑発的な視線まで向けられ、カゲロウは真っ青になって首を振った。

「できない、できない……絶対にできない!」

 必死に首を振るカゲロウを見て、ゼノスはついにクスリと笑ってしまった。百戦錬磨の隠密が、処女のように震える姿が、あまりに可愛らしかったからだ。

「おや、困った人ですね。じゃあ、どうするんですか?」

「……分からないわ、ゼノス様。私、どうしたらいいの……?」

 潤んだ瞳で助けを求めてくるカゲロウ。自分をこんな状況に追い込んでいる張本人に助けを求めるなど、本来なら悪手でしかない。だが、彼女はそれほどまでに追い詰められ、そして純粋だった。

「そうですね……あちらのカップルなら真似できるのでは?」

 ゼノスが指差した先では、女性が足を大きく開き、その間に顔を埋める男性の髪を愛しそうに掻き乱していた。
 耳の良いカゲロウには、「そこ、気持ちいい……」という甘い吐息まで聞こえてくる。

(……あ、あれくらいなら……!)

「リリア。ほら、ちゃんと真似をして」 

「ゼノス様……本当に、しなきゃ駄目ですか?」

「『任務』ですからね。ちゃんとしなきゃ」

 ゼノスに耳元で言われ、カゲロウは唇を噛み、おずおずと足を左右に開いて見せた。
 薄い布地は、彼女の最も秘められた場所を隠す役目を果たしていない。

(……こんなの、拷問だわ……!)

 恥ずかしさで目を瞑ったカゲロウの、ピンと張った一点。
 そこをゼノスの指が潰すように押さえ、執拗にコスコスと弄り始めた。

「あっ……! やぁ……そこ、変です……っ! ぁあぁっ!」

 急激にせり上がった快楽に、カゲロウは身を捩ってゼノスの首にしがみつく。

「ほら、足を閉じない。ちゃんと真似をするんでしょう?」

「ふえっ、ゼノス様……もう、もう許してください。怖い……こんなところ、嫌……っ」

 周囲に満ちる卑猥な音と、ゼノスから与えられる未知の感覚。それに耐えきれず、ついにカゲロウの目から涙がこぼれ落ちた。

「……分かりました。流石に虐めすぎてしまいましたね。反省します」

 ゼノスはカゲロウの濡れた頭をやさしく撫でると、その身体をしっかりと抱き上げた。

「もう出ましょう。ですが、身体は温め直さなければいけません。……続きは、お部屋の浴槽で、二人きりでしましょうね」

 カゲロウは、コクコクと頷くことしかできなかった。
 屈辱と安堵、そして消えない熱を抱えたまま、彼女はゼノスに運ばれるようにして、淫靡な浴場を後にするのだった。
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