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40.突然のお知らせ

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 掃除や洗濯だが、いつもよりやりやすかった。
 王子の使用人が色々やってくれていて、有り難い。
 ただ口煩く、ツンケンしていたらしく、メイド二人は精神的に疲れたらしい。
 急に主人から他の人の世話を言付けられ、その他の人があまりにもあれな人でメイド達が可哀想になり、イライラしていた様だ。
「こんな所辞めたら?」「環境が酷すぎるわ」「私の主人、まぁ王子なのだけど王子は素晴らしい方で」
 なんたらかんたらと、向こうは親切心で言っていた様だが、二人は疲れてしまったらしい。
 メイドの二人は父に拾われた行き場の無い者達で、父に恩があるし、ここしか居場所が無いのである。
 そんな二人の話を聞きながら、姉がくれたお下がりを仕立て直すユリアだ。
 もう既に流行りを過ぎたと言うか、流行りそうで流行らなかった変な形で変な柄のドレスだ。
 こんなの浮きそうで嫌だわ。
 笑い者にされる事が目に見えていて、ユリアは気が重くなるのだった。


 翌朝、ユリアは眠いのを堪え、ハディと約束したお弁当を作った。
 ちょっと手の込んだお弁当にしてしまった。
 公子に褒められたのが嬉しかったからかも知れない。
 朝の仕事卒なくこなし、ユリア学園に向かうのだった。



 お昼休み。

 今日もユリアはいつも通りにハディとお昼を共にした。
 手の込んだお弁当にも気づいてくれて

「いつも豪華だけど、今日はより豪華だね。誕生日なの?」

 そう訪ねられた。
 フフッと笑ってしまうユリア。

「いえ、誕生日はまだなんですけど…… 公子の誕生日はいつ何ですか?」
「今日なんだ」
「そうなんですか、今日…… 今日!!??」

 突然の事で驚く。
 よりによって今日!!??

「ごめんなさい。何のプレゼントも用意出来なくて……」
「豪華なお弁当を作ってくれたよ。それに君が一緒に過ごしてくれる。最高のプレゼンだよ。あとは笑顔かな? 今日は少し浮かない顔をしているね?」

 ハディは心配そうにユリアを見つめた。
 ユリアは無自覚であり、自分は元気が無かったかな? と、首を傾げる。

「どうしたのかな? 悩みがあるの? 私には話せない事なのかな?」 

 そう問いかけてくるハディ。
 私、そんなに浮かない顔をしていたのね。
 気づかなかった。
 ハディ公子に心配をかけてしまったわ。

「今日、社交界デビューなんです」
「そう…… 随分と遅いデビューなんだね」

 こんな歳で社交界デビューなど、引かれてもおかしくは無かったかった。
 普通は遅くても十歳~十二歳ぐらいまでには済ませてるものなのだ。

「そうなんです。それにドレスが姉の変なお下がりで、きっと私、笑い者だわと思ったら、何だか気分が重くて……」
「そうなんだぁ。じゃあ私と緒に行こう」

 ハディは笑顔でユリアの手を握る。
 怖くないよと、励ますように。

 嬉しいけど、

「ハディ公子、でも公子が私のせいで笑い者に……」

 公子まで私のせいで指を指されて笑われ者になってしまう。
 それは嫌だ。

「私も貧乏人だからね。大した正装は持ってないよ。それでも良いかい? 君は私のせいで笑い者にされてしまうけど……」

 フフっと穏やか微笑むハディ。
 ユリアは本当に優しい人だなぁと、もう聖母か何がなのかと思えて、思わず手を合わさてしまう。

「お供物はお弁当だね」

 フフっと更に笑う公子は可愛かった。

「やっとユリア嬢のいつもの笑顔が見れた。今年は本当に良い誕生日だ」

 ハディが嬉しそうに言うので、ユリアも嬉しくなるのだった。

 優しい公子のお言葉に甘えてしまうのだった。
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