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59.幸せを運んでくる鳥

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 応接室で話した後、父は義母と姉にとも話をしなければと、部屋を出ていく。
 代わりに心配した様子の王子が入ってきた。

「大丈夫かいユリア。明日には君のお母様とマリーへの判断が下ると思う。お父様は今日は忙しくなるだろうから君はどうする? 君もここに泊まって貰っても良いのだけど、ハディ公子やアイリスの所の方が落ち着くかな」
「急に何か有るかも知れませんし、私も今夜は此方にお邪魔させて頂きます。あの、もう疲れてしまって…… 休ませて貰っても良いですか?」

 気を使ってくれる王子の気持ちは嬉しいが、ユリアは急にドッと疲れてしまった。
 もう立っているのもやっとである。
 倒れてしまいそうだった。

「顔色が悪いね。すぐに寝室に案内させる」

 王子が人を呼ぶと、侍女が直ぐに来てくれた。

「ごめんなさい。何か有ったら起こして下さい」
「ゆくっくり休んでくれ」

 王子に頭を下げ、応接室を出るユリア。
 侍女達が服を着替えさせてくれ、寝室に連れて来て貰うとユリアはそのままベッドに倒れ込んで、眠ってしまうのだった。




 翌朝

 クルクルッポー、クルクル

 鳥の鳴き声ユリアは目を覚まさた。

「ポー?」

 あれ?
 ここ、何処だっけ??

「何でポーが!?」

 ここ、城じゃ無かった!?
 何処かの隙間から入ってきてしまったのだろうか。
 
 クルクルッポー

 ポーは何かを咥え、ユリアの手元に置いた。

 花?

「スズランね」

 確か、すずらんの花言葉は幸福が訪れるだったか。
 
「ハディ公子、私を元気づけようとしてくれたのね」

 可愛い鈴蘭と、ハディ公子が私を思ってくれていると思えば、心も少しは安まる気がした。

「ポーも持ってきてくれて有難う」

 ポー自身も白い鳩なので、幸せを運んで来てくれそうだ。
 ポーにお礼を言うと、嬉しそうにユリアの周りを飛んでから窓の隙間から出て行った。
 本当に賢い鳥である。


 コンコン

「ユリア、起きてる?」

 ドアがノックされ、王子の声が外から聞こえた。

「はい、起きています」
「君のお母様とマリーの処遇が決まったんだ。君も同席して欲しいそうだから着替えて降りてきて欲しい。侍女を二人部屋に入室させるが構わないかい?」
「あ、はい、どうぞ!」

 王子は気を使って声をかけてくれた様だ。
 返事をすると、侍女二人が入ってくる。
 ユリアは先ずお風呂に連れて行かれるのだ。
 呑気にお風呂なんて入ってて良いのだろうかと思ったが、昨夜入らなかったし寝汗でベトベトなので、入れて良かった。

 城のお風呂は広いが流石にここは温泉では無い普通のお湯だった。
 沢山のバラや花びらが浮いていて綺麗ではあったし、何か良い匂いがする。
 疲れを癒やす何かを入れてくれいるのだろう。
 侍女達がマッサージまでしてくれるものだから、ユリアはまたウトウトしてしまいそうで何度も頭を振ってしまうのだった。
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