【完結】皇子に迫られて困っています。悪役令嬢ポジとか言われても、私は田舎で暮らしたいので

甘塩ます☆

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18話

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 翌日、朝起きて愕然となる。
 雨だ。
 凄い土砂降り。
 昨日から楽しみにしてたのに。どうしよう。
 サラスさんは待ってるかも……
 でもこんな雨降りだし。
 最悪である。
 でも約束した。
 自分でも馬鹿みたいだと思いつつ、リリーは傘をさしながら学園に向うのだった。

 居る訳無いと思いつつ、花壇の前まで向った。
 居なくても良い。
 でも、会えたら嬉しいと思った。

「リリーちゃん」
「サラスさん」

 花壇の前で、サラスは傘をさしながら待っていた。

「ごめんね。天気を変えられる魔法を使えれば良かったんだけど。君に鳩を飛ばしたんだけど届かなかった?」
「え? 鳩ですか?」
「あの子ったら何処かで雨宿りしてるんだね。困った子」

 どうやらサラスが飛ばした鳩と入れ違いになったらしい。

「お茶会はまた今度にしようって書いて飛ばしたんだ。でも届かなくて君が来てしまったらと思って。本当に来ちゃったね」
「ごめんなさい」
「こんな雨降りに出てくるなんて、風邪でも引いたらどうするの?」
「ミミズを煎じて飲みます」
「そうだね。じゃあ私の分も煎じて貰うよ」

 フフっと笑うサラスに、リリーもフフっと笑ってしまうのだった。
 二人で、庭の端にあるコテージに向う。
 雨の日にお茶会を開く所だ。
 今日はあまりにも土砂降りだからか、誰も居なかった。

「ここで雨宿りがてらお茶を飲もう」
「はい」

 リリーはお茶会を煎れる。
 コテージにはお茶会用のセットが常備されているのだ。いつでもお茶会出来る。

「あ、私の鳩が今更きたよ。コイツぅ何処で油を売ってたの? え? 恋人のリーちゃんが濡れていたから、僕の羽で庇ってあげながら家まで送ってあげた? 君の恋人は良かったかもしれないけど、君のせいでリリーちゃんが風邪を引いちゃったらどうしてくれるの? え? じゃあ僕のリーちゃんが風邪を引いちゃったらどうするんだ? うーん。確かに。じゃあ、お互い様と言う事にしようか。はい、仲直り~」
 
 サラスは帰って来た鳩とお話が出来るらしく、仲直りしている。鳩とお話ししてる方が饒舌である。

「私の鳩がリリーちゃんにもごめんなさいって。ごめんね。許してあげてね。リーちゃんが濡れてたんだって。リーちゃんて言うのは私の鳩の恋人なんだけどね」 
「なんだか、リーちゃんとリリーちゃんで少し名前が似てて恥ずかしいです」
 
 思わず照れてしまうリリー。僕のリーちゃんは鳩が言った言葉だろうが、自分がサラスに言われた様で照れてしまう。

「鳩さんは濡れないんですか?」
 
 寒くないだろうか。鳩さんこそ風邪を引いてしまいそうである。

「私の鳩は特別でね。雨でも濡れない様になってるから大丈夫」
「そうなんですね」
 
 テーブルに止まってる鳩は確かに濡れていなかった。

「お茶が出来ましたので、入れますね」

 ポットのお茶をカップに注ぐ。

「カモミールティーにしてみました」
「有難う。うん、いい匂いだね」

 一口飲んで美味しいと言ってくれるサラスにホッとし、リリーも自分の分のカモミールティを飲む。
 
「雨、止みそうに有りませんね」
「そうだね。止まなくても家まで送り届けるから心配しないで」
「有難うございます」

 雨音を聞きながら、コテージに置かれている花々を見つつカモミールティーを楽しむ二人であった。
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