【完結】皇子に迫られて困っています。悪役令嬢ポジとか言われても、私は田舎で暮らしたいので

甘塩ます☆

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20話

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 バンと大きな音がして生徒会室の扉が開く。

「アランー、やっと見つけたわー」

 入って来たのはマリナである。
 リリーもロイも驚き、アランは怯えてリリーの後ろに隠れてしまった。

「マリナさん、ここが何処だか解っていますか?」

 リリーはマリナをキツイ目で見る。ここは生徒会室である。生徒会役員しか足を踏み入れてはいけない。いかなる者でも、それこそ許可が無ければ皇子だってこの場所には足を踏み入れてはいけないのだ。

「やだぁ怖い。マリナが何をしたって言うの? アランを隠すなんて酷いわ。アランも泣いているじゃないですか。アランを返して下さい。怯えてるわ」

 涙目になりながら声を荒げるマリナ。アランは他でもないマリナに怯えてる。

「マリナ嬢、悪いんだが、実はコイツ俺の女なんだ。俺の立場上も有って、恥ずかしくて言えなかったんだろうが、返してくれ」

 子犬の様にブルブル震えるアランが可哀想になり、仕方なく助け舟を出したのはロイである。正直に言えばアランが相手なら本当にそう言う関係になっても良いんじゃないかと思うぐらいであるが、そんな事は言えない。 

「会長!?」
「ロイだろ? アラン」
  
 抱き寄せ密着して見せる。
 アランは困惑した様子だが、ロイが助け舟を出してくれたと気付き、何か本当にカッコイイすき!! ってなりそうになった。

「マリナ嬢、申し訳ありせん。そうなんです。僕、ロイさんとあんな事やこんな事までしてしまっていて、もう男になんて戻れないんです」
「俺でしか満足できねぇ体にしちまったんだ。悪ぃな」
「生徒会長と書記がこんなふしだらな関係だなんて知られたら、ロイさんの立場が悪くなると思って言えなかったんです」
「健気な奴」

 見詰め合い、ハートを飛ばしまくる二人。
 傍で見ていたリリーも本当にそうなのでは無いかと若干疑う勢いだ。

「学生の立場でそんな事やあんな事までするなんて! 生徒会としての自覚は無いんですか!!」

 なんて顔真っ赤にして怒ってしまうリリー。
 本当に何もしてないのに、疑われている様で、ロイとアランは恥ずかしくなる。
 早く終わって欲しい。

「う、嘘よ!!! だってアランは私を好きなのよ。婚約して結婚するんだもん!!」

 嘘よ嘘よ!! と、首を振るマリナ。

「僕は貴女を好きでは無いですし、婚約もしません。だから勿論ですが結婚もしません」

 アランはハッキリとマリナを拒絶した。

「そんな筈ないわ、気づいて無いだけ。アランもロイも私を愛しているのよ。皇子も、皆私を好きになるって決まっているの。今ならまだ許してあげるわ。アランを選んであげる。戻って来て」

 マリナの言っている事はリリーにもロイにもアランにも理解出来ない。
 この子、何を言っているんだろう。
 ロイに至っては話した事も無く、顔を合わせたのだって今日が初めてである。

「アラン、こっちに来て」

 アランに手を伸ばすマリナ。
 狂気すら覚え、アランは震えてしまう。
 そんなアランを守るようロイが力強く抱きしめた。
 リリーが二人庇うように前に出る。
「アランに近づかないで下さい。ここは生徒会室ですよ。立ち去りなさい」

 そう厳しく注意する。

「酷い、私を虐めるて楽しいですか? 私がそんなに気に食わないんですか? 妬ましくて仕方ないんですね」
「何を言っているか解らないわ。出て行ってください。貴女は生徒会役員ではないでしょ? 決まりは守りなさい。貴女の為にも言っているんですよ」
「私、リリー様に負けない。絶対許さないんだから。ヒロインは悪役令嬢になんて負けないのよ!」
「解りました。どうぞお引取りを……」

 本当に何を言っているのか解らないが、兎に角アランが怯えているので出て行って欲しい。
 リリーはマリナの手を引くと生徒会室の外に追い出し、普段は掛けない鍵を締める。
 これで一安心だとフーっと溜め息を吐く。

「新学期のあれこれより、マリナ嬢の事について話すべきかもしれないな」
「そうですね」

 ロイの言葉に頷くリリー。
 これ以上、風紀を乱される様なら此方も生徒会として対処を考えなければならないだろう。
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