【完結】皇子に迫られて困っています。悪役令嬢ポジとか言われても、私は田舎で暮らしたいので

甘塩ます☆

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24話

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 何事かと驚くリリー。
 マリナの声が大きく、周囲の視線も集めてしまった。

「リリーが僕を裏切る?」
 
 何を言い出すのかとマリナを睨むレオン。

「そうです。リリー様は皇子様と親しくしておきながら、影ではサラス様と親密な関係を持っているんです。これが証拠写真ですわ」

 そう言ってマリナが撒き散らした写真は、リリーとサラスが一緒にお茶会をしたり読書したり、焼き芋をしている時の写真である。
 いつの間に撮ったのかしら。
 綺麗に撮れている。記念に後から頂けたりするかなぁ?
 なんて呑気に写真を見つめるリリー。
 
 他の人もその写真を見ながら、だから何? みたいな顔をしている。

「リリーがそのブ男を侍らせているからと言って何だと言うのだ。ペットの様なものだろう」

 そう冷たく言うレオン。
 この男は何を言っているんだ?? 
 リリーは耳を疑う。

「いえ、皇子。サラスさんは大事な友人です。酷い言葉で侮辱なさらないでください」

 いくら皇子でもぶん殴ってしまいそうになりましたわ。

「そうか。だ、そうだ。友人だと言っている。何なんだこんな写真を撮ったりして。君はリリーのストーリーか何かか。そっちの方が犯罪だがな。名誉毀損で訴えるぞ」

 そうマリナを睨むレオン。

「雨の日に二人っきりでコテージに居られましたわ。男女が二人っきりになるなんて。皇子様が有りながら、これは裏切り行為です!」
「雨が強くてどうしようも無かったんだろう。何も無い。ただお茶をしていただけだ。あのコテージには防犯カメラもついているんだぞ。なにか出来るわけないだろう!」

 声を荒げるマリナに、更に声を荒げるレオン。

「落ち着いて下さいお二人共」

 ヒートアップしているマリナとレオンを止めようと声を上げるリリー。

「何故こんな話になってしまったのですか? マリナさん、何か誤解がある様です。私は皇子の婚約者候補では有りますが、婚約してはいませんし、する気も有りません」

 そう、つい本音で喋ってしまうリリー。
 皇子の婚約者候補筆頭が堂々とその気が無いと宣言してしまい、辺りはザワつく。
 リリーがサラスと仲良くしているのは既に周知されており、交友関係としてレオンも認知していた。
 リリー本人はサラスが好きなのを隠す気も無く、レオンも友人として見守ってくれていると勝手に思っていた。
 だが、その実、周囲もレオンもリリーはペットを可愛がっている感覚であると勘違いしていた。
 リリーが優しい為に、いつも一人でいるサラスを放っておけず、一緒に居てあげているのだと思われていた。
 
「リリー…… 僕と婚約してくれ……」

 何を思ったのか、レオンはビックリしてしまい、こんな場面で跪き、リリーに指輪を差し出す。

 周りは余計にザワザワしだした。
 リリーも固まってしまう。

「え……」

 まさかプロポーズされるとは思っていなかった。
 レオンが自分に好意を寄せてくれいるのは知っていたが、それも自分と同じ様な家族的な感覚であり、最終的にお互い良い人が居なければ結婚すると言う話だと思っていたのだ。

 困ったリリーはどうしようと、無意識にサラスの方を見る。
 サラスも此方を見ていた。
 そして奏でだした。
 それは結婚式の時に流す定番曲。

 フラれたと思った。
    
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