俺の妹がVTuberかもしれない

じゃん

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第七話

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有澤裕也、28歳 独身

--昨日から桃奈咲良が頭から離れません。


◎◎◎


桃奈咲良の配信に出会った翌日、
俺は仕事中も桃奈咲良のことが頭からはなれなかった。

ーといっても、当たり前だと思う。
だって、桃奈咲良は妹にとても…というか本人だろうという声をしていた。
おまけに、アバター越しに妹特有の癖をいくつかみつけてしまったもんだ。
これで、次の日にはさっぱり忘れることができる兄なんて、もしいるのであれば教えてほしい。

「配信をみている感じ、嫌がっている感じはしなかったから大丈夫だと思うけどな…」

幼い頃の妹は、嫌なことがあるとわかりやすく声に出てしまう子だった事を思いだし、クスリと笑う。
まあ、社会人となった今ではなおっている可能性もあるから、それだけで嫌々やっているわけではない、と判断するのは早合点だ。

…って、いかんいかん。さっきから妹の事を考えているせいで仕事が手につかん!

とりあえず俺は気持ちを切り替えようと、コーヒーをがぶ飲みして、再びパソコンとにらめっこをはじめた。


-----



「そうか…もうプレゼン大会の時期か」

仕事中、目についたメールを見て思わず呟いた。

そう、俺の勤めている会社では、一年に一度全社員の中からランダムで選ばれた社員による、自社商品CMのプレゼン大会がある。

…といっても、あくまでプレゼン大会。
過去にはそのプレゼンから実際にCMの放映までいったものがあるらしいが、ここ数年は優秀賞は決められるものの、実現したものはない。

一部の社員からは意味がない、面倒だ、選ばれたくないといったネガティブな意見が囁かれているが、
社長曰く、定期的に自社商品と向き合える大切な機会だからやめるつもりはない、と言っていた。

まあ、でも対象者はランダムということもあって、選ばれるのは相当運が悪い人だ。
ちなみに俺は今まで選ばれたことはない。のだが…

「げ、俺の名前あるじゃん。」

メールの下の方に書かれていた、今年度の対象者欄に自分の名前があるのを見つけてしまい、思わず嫌そうな声が出てしまった。

「でも、そうと決まれば準備しないといけないよな…」

さっきは嫌な声を出してしまったが、決まってしまったものは仕方がない。
諦めて準備にとりかかるのが一番だ。 

俺は過去のプレゼンがまとまっている資料を確認することにした。
といっても、そのプレゼン大会は全社員参加のテレビ会議で行われているため、ある程度は知っているのだが。

「そうそう。芸能人とか、動画サイトで活躍している人とかそういうのを使ったプレゼンしている人が多いんだよな~。」

ーここ数年は、どうせ実際にCMにならないだろう、といった気持ちの社員が多いのか、自分の好きな芸能人などを使ったプレゼンをしている人が多く見られる。
まあ、どうせやるなら楽しい方がいいもんな。気持ちはわかる。

「俺も桃奈咲良をつかって作ろうかな~」

社内プレゼンだし、実際にCMになることはないだろうから、妹にばれることだってない。
それに、今はどうしても桃奈咲良が頭から離れない。仕事と称して桃奈咲良の事を考えられるのは悪いことではないはずだ。

「よし、決まりだ。」

俺は、桃奈咲良をつかったプレゼンを作成することにした。

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