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「……あちらに見えますのは今建設中の劇場でして、またあちらにあるのは聖堂の拡張工事ですね。どちらも名だたる建築家や芸術家の方々が関わっておりまして…、エルイース様、退屈ですか」
王宮に向かう大通りの馬車の車中、同乗しているローレンスが、通りにあるウィルナの有名な建物や、目下建設中のものまで詳しく解説をしてくれているのだが、私は落ち着かずモゾモゾしていた。
「…うん?ああ、どれも素晴らしいな、日が落ちてもあんなに灯りをつけて工事は行われているのか、壮観だな」
「ええ、さすがに深夜まで工事はしませんが、人員を入れ替えて工事を行っています。このままなら来年には完成するかと」
「凄いな…」
ウィルナの街は街灯に赤々と照らされ、大通りに並んだ店先からは明るい光が漏れている。
通りには沢山の人が行きかっていて、夜だということを忘れそうだ。
「しかし、さっきから通りの人たちに注目されてるような気がするのだが…」
「まあ、これは大公の所有する馬車ですから。皆さんが気になって見ても仕方がないかもしれませんね」
「大公の馬車?!通りで立派だと…。いや私などにこんな馬車を使って良いのだろうか…」
これでは迎賓扱いだ。余計尻の座りが悪い。
「大公の馬車にうら若き美女の貴女が乗っていたら、一体何事かと思うでしょうね。とうとう大公閣下も妻を娶るのかと話題になるかもしれません。先程から新聞社の馬車が2、3台後をついてきますし」
「んなっ?!」
思わず馬車の中で立ち上がってしまって頭を天井にぶつけてしまった。
「…っいっ!…ロ、ローレンス殿、聞き捨てならない事を…、わ、私はレオル二世から託された物を渡しにアンリ大公に会うのであって…」
「うーん、そんなドレスを着ていては説得力がないですね」
「誰がこれを着せたと思っているんだ!ここ、この下着もローレンス殿の差し金か!」
「は?下着??」
「こ、こんな紐のような物を履かせてハレンチな!まさかすべて大公の指示ではないのだろうな」
先程から布面積の少ない下着を履いていて見えないとはいえ、どうも落ち着かなかったのだ。
ローレンスはゴホンと咳払いをした。
「エルイース様、さすがの私でも下着の指示まではしないですよ。それはおおかた、あれです、下着の線がドレスに出ないようにするためのものではないのでは?いや私も詳しくは知らないんですが」
「む、」
そういえば紐状の下着を前にして固まった私に、あのドレスデザイナーのジルがそんな説明をしていたような気がする。
「どちらにしても私としては不本意な格好なのに…」
私は不機嫌にドスンと馬車の座席に腰を下ろした。
「まあまあ、エルイース様落ち着いてください。さあ、これでも一杯いかがです?さっぱりして落ち着きますよ」
「まったく、こんな物で私は黙ったりしないぞ。……以外と美味いな」
ローレンスが取り出したシュワシュワ泡のはじけた一杯のドリンクは、中々の美味だった。
「ね?以外といけるでしょう。さて、大公がおわす王宮はもうすぐですね」
馬車の速度が徐々に遅くなってくると、ひときわ明るく照らされた建物が見えてきた。
不慣れなヒールと高い靴でローレンスの手を借りながら降りると、目の前はオルドアの王宮だ。
「こちらも目下改修中なのでお見苦しいですが、中は工事は終わっています、どうぞこちらへ」
エスコートしようとするローレンスの手を断って、ヒールの靴を一歩一歩踏みしめる。部屋で練習したとはいえ、もう少し足に慣らしておきたい。
王宮の入口で直立不動で立って居る衛兵の間を入っていく。その様を観察すると、やはりいい兵だ。
中へ入ると、王宮内の装飾は、オルドアで採れる大理石がふんだんに使われた豪華な作りだ。
珍しい調度品が並ぶ廊下を抜けて、ある扉の前にたどり着く。
「失礼いたします、大公閣下。エルイース・エルラント様をお連れしました」
「うむ、入れ」
大公の声を聞くのは始めてだな、高鳴る胸を抑えつつ、待っていると扉が開いた。
「よく来たな、エルイース・エルラント!」
王宮に向かう大通りの馬車の車中、同乗しているローレンスが、通りにあるウィルナの有名な建物や、目下建設中のものまで詳しく解説をしてくれているのだが、私は落ち着かずモゾモゾしていた。
「…うん?ああ、どれも素晴らしいな、日が落ちてもあんなに灯りをつけて工事は行われているのか、壮観だな」
「ええ、さすがに深夜まで工事はしませんが、人員を入れ替えて工事を行っています。このままなら来年には完成するかと」
「凄いな…」
ウィルナの街は街灯に赤々と照らされ、大通りに並んだ店先からは明るい光が漏れている。
通りには沢山の人が行きかっていて、夜だということを忘れそうだ。
「しかし、さっきから通りの人たちに注目されてるような気がするのだが…」
「まあ、これは大公の所有する馬車ですから。皆さんが気になって見ても仕方がないかもしれませんね」
「大公の馬車?!通りで立派だと…。いや私などにこんな馬車を使って良いのだろうか…」
これでは迎賓扱いだ。余計尻の座りが悪い。
「大公の馬車にうら若き美女の貴女が乗っていたら、一体何事かと思うでしょうね。とうとう大公閣下も妻を娶るのかと話題になるかもしれません。先程から新聞社の馬車が2、3台後をついてきますし」
「んなっ?!」
思わず馬車の中で立ち上がってしまって頭を天井にぶつけてしまった。
「…っいっ!…ロ、ローレンス殿、聞き捨てならない事を…、わ、私はレオル二世から託された物を渡しにアンリ大公に会うのであって…」
「うーん、そんなドレスを着ていては説得力がないですね」
「誰がこれを着せたと思っているんだ!ここ、この下着もローレンス殿の差し金か!」
「は?下着??」
「こ、こんな紐のような物を履かせてハレンチな!まさかすべて大公の指示ではないのだろうな」
先程から布面積の少ない下着を履いていて見えないとはいえ、どうも落ち着かなかったのだ。
ローレンスはゴホンと咳払いをした。
「エルイース様、さすがの私でも下着の指示まではしないですよ。それはおおかた、あれです、下着の線がドレスに出ないようにするためのものではないのでは?いや私も詳しくは知らないんですが」
「む、」
そういえば紐状の下着を前にして固まった私に、あのドレスデザイナーのジルがそんな説明をしていたような気がする。
「どちらにしても私としては不本意な格好なのに…」
私は不機嫌にドスンと馬車の座席に腰を下ろした。
「まあまあ、エルイース様落ち着いてください。さあ、これでも一杯いかがです?さっぱりして落ち着きますよ」
「まったく、こんな物で私は黙ったりしないぞ。……以外と美味いな」
ローレンスが取り出したシュワシュワ泡のはじけた一杯のドリンクは、中々の美味だった。
「ね?以外といけるでしょう。さて、大公がおわす王宮はもうすぐですね」
馬車の速度が徐々に遅くなってくると、ひときわ明るく照らされた建物が見えてきた。
不慣れなヒールと高い靴でローレンスの手を借りながら降りると、目の前はオルドアの王宮だ。
「こちらも目下改修中なのでお見苦しいですが、中は工事は終わっています、どうぞこちらへ」
エスコートしようとするローレンスの手を断って、ヒールの靴を一歩一歩踏みしめる。部屋で練習したとはいえ、もう少し足に慣らしておきたい。
王宮の入口で直立不動で立って居る衛兵の間を入っていく。その様を観察すると、やはりいい兵だ。
中へ入ると、王宮内の装飾は、オルドアで採れる大理石がふんだんに使われた豪華な作りだ。
珍しい調度品が並ぶ廊下を抜けて、ある扉の前にたどり着く。
「失礼いたします、大公閣下。エルイース・エルラント様をお連れしました」
「うむ、入れ」
大公の声を聞くのは始めてだな、高鳴る胸を抑えつつ、待っていると扉が開いた。
「よく来たな、エルイース・エルラント!」
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