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「ここからが本題ですよ」
僕は容疑者に語りかけるように言う。
「2回目に訪れた時、道は混雑していましたか?」
「だから、行っていないもんは知らない」
「知らない。まぁそうですね。そうしましょう。犯人は混雑をするのを避ける為、自転車で向かった。路地に自転車を停めても、この住宅地の狭い路地だと怪しまれない。車なら別ですが」
「だから?」
「レンタカーや、車ならバレると踏んだんですね」
「ハッ、話にならない」
「あなた、最後に一つ誤算がありました」
「?」
†
「あのじゃがいもが、ヒントくれよったんや」
アルタイルが眠ると、優歌さんは続けた。
「和牛に限りますねって。わかりもせえへんのに」
「…ふっ」
「そこでピンときたんや。六車はトドロキ名義でハガキのリクエストをする時、こだわりがあったんやろ?覚えてる?」
「確か、カバーはリクエストしないって…」
「せや。あの晩に流したアレサ•フランクリンも原曲や。その次にリクエストしたん、何か覚えてる?」
「…僕、あんまり音楽詳しくはないですけど」
「【君の瞳に恋してる】やったやろ?」
優歌さんはこっちをじっと見ながら言った。
「誰の?」
「すいません、分からないです」
「ボーイズタウンギャングやろ?」
「確か、そんな名前だったような…」
「あれ、カバーやねんで」
「え?」
優歌さんはにやりと笑った。
「原曲はフランキー・ヴァリや。あの時や、東郷雛子が紅茶飲みながら首を傾げてはったん。あれは違和感を感じてたんや。あんなにカバーを好まないのに、カバーの曲をリクエストするなんて、らしくないなって」
「!」
「勿論、六車はそれを知ってたに決まってんねんけどな。音楽評論家やから。でも、ただ一人、【君の瞳に恋してる】の原曲が、フランキー・ヴァリやて知らんかったのがおったやん…」
†
「そうですよね?須藤あきらさん」
須藤は参ったな。と一言だけ告げると、パーマがかった髪をわしゃわしゃと掻き始めた。
「あれ、カバーだったのか」
「須藤さんが仰ったんですよ。六車さんは原曲しか認めないポリシーがあるんだって」
「まさか、こんな僕の勘違いに足をすくわれちゃうなんてね」
「…なぜ、殺した?」
須藤ははははっと笑った。何か吹っ切れたような笑い方だ。
「まさか、僕が東郷雛子と不倫してるなんて、まだ思ってるんじゃなくて?」
「いや…」
「僕はね、だらしないのが心底嫌いなんだよ。正直、殺してやりたいくらいにね」
ぞっとするような声色で須藤は言った。
「だって、東郷雛子という妻がいながら、羽生みずほと不倫をした。あまつさえ、それだけでも充分罪深い。なのに羽生みずほに妊娠させ、その子供を中絶させた。ハッ、まだ生まれてもいない子供を自分勝手な欲求と保身の為に殺したんだぞ?そんな奴、人間じゃないね」
小杉は調書を取りながら、ちらりと須藤を見た。
「我慢できなくて、僕はあいつに問い詰めた。そしたら悪びれる様子もなく、金魚に餌を落としながら言った。【お前だって、雛子を狙ってんだろ?】ってね。用意はしてたけど、決定打に欠けていた僕のタガは完全に外れたよ」
「それで、殺したと?」
「そうさ」
「殺人は、殺人だ。正当化はできない。罰を受けるべきだ」
須藤は肩を竦めて言った。
「あんた、東郷雛子を…」
「…女性は尊敬する象徴だ。僕のような奴が手を出すにはあまりに神聖すぎる。僕は、彼女らの騎士で良い」
須藤の腕に手錠がかけられた。須藤はすっと立ち上がり、こちらを見ながら言った。
「俺、間違ってる?」
僕は容疑者に語りかけるように言う。
「2回目に訪れた時、道は混雑していましたか?」
「だから、行っていないもんは知らない」
「知らない。まぁそうですね。そうしましょう。犯人は混雑をするのを避ける為、自転車で向かった。路地に自転車を停めても、この住宅地の狭い路地だと怪しまれない。車なら別ですが」
「だから?」
「レンタカーや、車ならバレると踏んだんですね」
「ハッ、話にならない」
「あなた、最後に一つ誤算がありました」
「?」
†
「あのじゃがいもが、ヒントくれよったんや」
アルタイルが眠ると、優歌さんは続けた。
「和牛に限りますねって。わかりもせえへんのに」
「…ふっ」
「そこでピンときたんや。六車はトドロキ名義でハガキのリクエストをする時、こだわりがあったんやろ?覚えてる?」
「確か、カバーはリクエストしないって…」
「せや。あの晩に流したアレサ•フランクリンも原曲や。その次にリクエストしたん、何か覚えてる?」
「…僕、あんまり音楽詳しくはないですけど」
「【君の瞳に恋してる】やったやろ?」
優歌さんはこっちをじっと見ながら言った。
「誰の?」
「すいません、分からないです」
「ボーイズタウンギャングやろ?」
「確か、そんな名前だったような…」
「あれ、カバーやねんで」
「え?」
優歌さんはにやりと笑った。
「原曲はフランキー・ヴァリや。あの時や、東郷雛子が紅茶飲みながら首を傾げてはったん。あれは違和感を感じてたんや。あんなにカバーを好まないのに、カバーの曲をリクエストするなんて、らしくないなって」
「!」
「勿論、六車はそれを知ってたに決まってんねんけどな。音楽評論家やから。でも、ただ一人、【君の瞳に恋してる】の原曲が、フランキー・ヴァリやて知らんかったのがおったやん…」
†
「そうですよね?須藤あきらさん」
須藤は参ったな。と一言だけ告げると、パーマがかった髪をわしゃわしゃと掻き始めた。
「あれ、カバーだったのか」
「須藤さんが仰ったんですよ。六車さんは原曲しか認めないポリシーがあるんだって」
「まさか、こんな僕の勘違いに足をすくわれちゃうなんてね」
「…なぜ、殺した?」
須藤ははははっと笑った。何か吹っ切れたような笑い方だ。
「まさか、僕が東郷雛子と不倫してるなんて、まだ思ってるんじゃなくて?」
「いや…」
「僕はね、だらしないのが心底嫌いなんだよ。正直、殺してやりたいくらいにね」
ぞっとするような声色で須藤は言った。
「だって、東郷雛子という妻がいながら、羽生みずほと不倫をした。あまつさえ、それだけでも充分罪深い。なのに羽生みずほに妊娠させ、その子供を中絶させた。ハッ、まだ生まれてもいない子供を自分勝手な欲求と保身の為に殺したんだぞ?そんな奴、人間じゃないね」
小杉は調書を取りながら、ちらりと須藤を見た。
「我慢できなくて、僕はあいつに問い詰めた。そしたら悪びれる様子もなく、金魚に餌を落としながら言った。【お前だって、雛子を狙ってんだろ?】ってね。用意はしてたけど、決定打に欠けていた僕のタガは完全に外れたよ」
「それで、殺したと?」
「そうさ」
「殺人は、殺人だ。正当化はできない。罰を受けるべきだ」
須藤は肩を竦めて言った。
「あんた、東郷雛子を…」
「…女性は尊敬する象徴だ。僕のような奴が手を出すにはあまりに神聖すぎる。僕は、彼女らの騎士で良い」
須藤の腕に手錠がかけられた。須藤はすっと立ち上がり、こちらを見ながら言った。
「俺、間違ってる?」
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