朧月楼の殺人

回転焼き。

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「なんなんだよ全く…」

 がたがたと震える手を押さえるようにして、ファイロは声を震わせながら言った。上擦った声がつい漏れてしまう。

「誰が、一体デュパンを…」
「そんなの、決まってるじゃねぇかよ。おい!」

 ファイロは執事風の使用人に詰め寄った。

「何の為にデュパンを殺しやがったんだ!?」
「わっ、私ではありませんっ!」
「嘘吐くんじゃねぇよ!この建物に前々からいたお前以外誰がやるんだよ!」
「まぁ待てよファイロ」

 ホームズはファイロに言った。

「彼がデュパンを殺したとしよう。動機は?」
「んなもん知るかよ?」
「彼が鍵を持っていた。確かに彼には殺害は可能かもしれない。しかしながらあの部屋に踏み込んだ時、デュパンは黒いジャケットを羽織って椅子に座っていた。見たところ、然程硬直も始まってはいなかった。ということは、殺害及び遺体の切断は僕らがこの朧月楼に訪れた後じゃないかと考える」
「執事さんはずっと、下のロビーにいらっしゃいましたわ」
「だろ?」
「だったら、誰が…」
「あぁ、しかも僕の見立てからすると、あの部屋は密室だったと思われる」

 ホームズは淡々と話す。ポワロとマープルは頷き、フェルはひっきりなしに爪を噛んでいる。

「僕らの誰にも、犯行は不可能だったかと」
「だったら…おい勘弁してくださいよ…」

 頭をもしゃもしゃと掻きむしりながら、ファイロは言った。

「まさか、本当にこの館がデュパンを食ったとでも…」
「…」
「だからあいつの首は見当たらないんだな」

 狂ったようにファイロは笑い出した。

「ファイロ、落ちつけよ!」
「はぁ?これで落ち着いていられるか?デュパンは確かに死んだんだぜ?この館に食われたんだっていうなら、俺らは餌じゃねぇかよ!」
「まぁ待て」
「はぁ?」
「建物が人を喰うなんて、あり得ないにも程がある」
「なら…」
「誰かに殺されたとしたなら、ここにもう一人、闖入者がいるかもしれない」
「ははっ、まさかそれはかつて人喰いの嫌疑がかかったまま死んだ額賀氏だとでも?」
「…」
「馬鹿言うなよ…畜生、どいつもこいつも…!」
「黙って聞いてりゃさぁ…ファイロ」

 フェルがむっつりしたような顔をして言う。

「何でそんなびびってんだよ」
「何だこのデブ。何言いたいんだ?」
「殺される心当たりでも、あるんじゃないの?」
「なんだと!」
「やめて!」

 耳を塞いでマープルは叫ぶ。

「もうやめて!」
「とにかく、この状況を打破するには、やはり謎を解かなければいけないな」
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