ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき

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ハッピーエンド

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圭太は祐樹の告白を粛々と受け止めていた。冗談で言ったことが本当になってしまった。しかも、今までの祐樹からは想像できないほど甘い雰囲気が流れていた。おそらく本人は無自覚なのだろう。
昌磨は、祐樹を膝の上に座らせていた。祐樹は、おそらくテレビ電話でその全身が映っていることに気が付いていないのだろう。普通に話している。後ろの昌磨は、この上ないほどの笑顔でこちら側を見ているから、全身がテレビ電話に映るように設定したのはこいつで間違いないだろう。
祐樹は、夏休みを利用して昌磨とバカンスに訪れていた。その旅先で、圭太から連絡があった。出てもいいが、かけた方の圭太に携帯電話料金が多く加算されると考えて、こちらからかけなおすことにした。そこに、昌磨の勝手な提案でテレビ電話をすることになった。
「祐樹、こんなこと言いたくないが、お前昌磨君と付き合い始めたんだな。冗談が本当になるとは思わなかったけど、おめでとう。健一たちに言うかどうかは、お前が決めろ。」
祐樹は驚いて叫んだ。
「何で知ってんだよ!」
「知ってるっていうか、今知った感じ。だって、昌磨君の膝に乗ってさ、そんな雰囲気出されたら誰だって嫌でも気が付くよ。全身映ってんぞ。」圭太が言い終わる前にテレビ電話が切れた。そのあと、二人がどうなったか圭太は知らない。

祐樹は、部屋に閉じこもっていた。昌磨の奴信じられない。あの後、問い詰めたらあっさりわざとだと白状した。理由を聞けば、牽制のためだそうだ。そんな、くだらないことのために圭太にばれてしまうなんて。

昌磨は、予想よりひどい結果に慌てた。怒られることは多少覚悟していたが、まさか部屋から一切出てこなくなってしまうとは思わなかった。無理に入ったら、嫌いになると言われたから強行突破できない。
しかし、昌磨は今の状況を楽しんでいた。どうしたら、祐樹さんが出てきてくれるかあらゆる方法を考え、実践することにした。
第一の方法。楽し気な外の雰囲気で誘い出す。
昌磨は使用人に頼んで、街の花火職人をよんでもらい外で花火を放った。人を呼び込んで、パーティを主催した。
祐樹さんがベランダにでて、花火を眺めるというところまでは計画通りでよかったが、ベランダ下のプール会場で昌磨が女性に絡まれるところを見られて、カーテンを閉め切られてしまって、逆効果だった。もちろん、これは大きな誤解でテレビ電話の件より深刻になるので、急いで弁明したが厚い扉は開かなかった。
ここにきて、ようやく事態の重大さに気が付いた。このままでは、本当に嫌われてしまう。

昌磨の奴、きれいな女性に囲まれたからってデレデレしやがって。俺がこんなに怒っているのに、パーティに参加するっていうのはどういう了見だ。
もしかして、俺に興味をなくしたのかな。祐樹は急に不安に襲われた。自分よりも、あのきれいなお姉さんたちの方が魅力なのかもしれない。それに、テレビ電話でばらされたからって怒りすぎたかもしれない。いつかは、圭太たちに言うつもりだった。それがはやくなってしまっただけだ。明日は扉を開けて謝りに行こう。

昌磨は、次の案を実行するために明日の朝まで待てなかった。待っていたとしても、眠りにつくことはできないので結果は同じだ。ならば、第二の案を実行するべきだ。
第二の案。塔の上のラプンツェル。
昌磨は使用人に指示を出して、かなり長い梯子を持ってこさせた。それを、ベランダにかけて昇り、手に持っていた小さなボールで、ガラスをたたいた。
しばらくして、祐樹が現れた。
「祐樹さん。これなら、部屋に入った内に入りませんよね。直接目をみて話したかったんです。」
「危ないだろ。」
「祐樹さんに誤解されたままでいることに比べたら、なんてことありません。」
祐樹はベランダに出て昌磨の腕をつかんだ。
「許してくれますか?」
祐樹がうなずくと、昌磨はようやく安心したように祐樹を抱き寄せた。
しかし、その拍子にバランスを崩して、後ろの体が傾く。祐樹は昌磨を掴み戻そうとしたが、体が軽いせいで昌磨に引っ張られそのまま抱きしめられる形でプールの中に落ちた。
祐樹は痛みを覚悟したが、水面に体の大部分を打ち付けたのは昌磨で、祐樹には被害がなかった。
「昌磨、大丈夫か?」
「平気です。」
祐樹は、自分のせいだと思った。きっと、背中が痛かっただろう。祐樹は昌磨の体が赤くなっていないか確かめるために、シャツを脱がそうと襟に手をかけたとき、きれいな口紅の跡が残っていることに気が付いた。
「昌磨。」
呼ばれて、昌磨は下をむく。その瞬間祐樹の大声が響いた。
「これはなんだあ!!」
平手打ちが、頬にとびラプンツェルは再び塔の上に戻った。今度は、ベランダの戸を閉めてより厳重になって。
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感想 3

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みんなの感想(3件)

紅月
2019.10.13 紅月

とても続きが気になる終わりでした!
ぜひ見させてください!

解除
gd19880818
2018.05.16 gd19880818

ハッピーエンドで良かったです!
ストーカー行為も、好きすぎての可愛い行動にしか見えなかった(o^-^)
また読みたい作品でした☆オススメです!

解除
シスター・オン・ザ・ブロック

 面白い始まり方で、今後の展開が楽しみです。 ぜひ、更新して欲しいです。
 まだまだ、まだ、読みたいです!

解除

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