異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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4章

253 準決勝&決勝

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 準決勝の開始時間が訪れ、席へ着くようシステマに促された。

 左から順に、クレア、僕、壮年男性、美形男性だ。


「最初に、ここまで勝ち抜いてきた皆様に賛辞を。おめでとうございます。
 ベスト十六が出揃いましたので、皆様の空き陣地の獲得が確定しています。
 準決勝と決勝は、空き陣地の選択順を決める戦いとなることを御承知ください」


 物音一つない室内で、四人全員がシステマに注目している。
 彼女は浅く頭を下げたのち、続きの説明をするべく口を開く。


「ゲームはこれまで同様、五回。
 総得点により、一位グループ~四位グループへ。
 進んだ先の決勝戦、一位グループの三位は全体でも三位。
 三位グループの一位であるならば、全体では九位となります」


 なるほどな。
 全体順位一位のプレイヤーから、欲しい空き陣地を選べるわけだ。
 負けても陣地は得られるが、後の方に選べば戦術的に役に立たない場所になる恐れもある、と。


「準決勝以降、ゲームを棄権された方は、次ゲームで貧民となります。また、HPが全損した方に限りましては、規定通りに転送措置を取らせていただきます」


 つまり、HPがなくなっての敗北は、決勝戦へ駒を進められなくなる。ゲームでの負けはまだしも、これだけは是が非でも避けなくてはいけない末路だろう。

 ふむふむと頷いていると、四人のHPMPAPが全快した。

 ディーラーの役が様になっているシステマは、慣れた手つきでカードを配り始める。

 参加者が四人だと……カードが十三枚になるのか。
 今までよりも余計に頭を使いそうだ。


「――それでは、準決勝第一ゲームを開始いたします」 



 ○○○



 ――第一ゲーム――


 一位 壮年男性 二位 僕 三位 クレア 四位 美形男性

 僕は『アクセラレーション』をフルに使い、ノータイムでカードを切り続けた。

 HP残量は八十%オーバー。
 このペースでいけば、一度も棄権せずに済むだろう。

 ただ、その分APの負担が大きく、こちらは八割を割り込んでいる。
 最後まで持たないだろうな。


「ディーラーよ。彼のAPが減っているが、不正には当たらないのか?」 


 壮年男性がシステマに確認を取った。
 彼だけでなく、クレアや美形男性も気づいていたと思う。ゲーム中にチラチラとこちらを窺っていたからな。

 APバーの減りをしっかりと把握してくるあたり、実に目敏い。準決勝まで勝ち上がってきただけあって、並じゃない観察力だ。
 HPならともかく、戦ってもいない相手のAPバーを、わざわざ表示したりはしないだろうに。


「はい。アスト様はスキルを使用されておりますが、今回のルールに置いて不正にはあたらないと判断します」

「……失礼した。ゲームを続けてくれ」

「かしこまりました」


 明確に不正ではないと宣言され、僕はホッと一息ついた。
 


 ――第二ゲーム――

 一位 僕 二位 クレア 三位 美形男性 棄権 壮年男性

 2が二枚とジョーカーという良札を駆使して一着であがった。
 HP残量 六十五% AP残量 五十五% 獲得ポイント 3


 ――第三・第四ゲーム――

 一位 僕 二位 美形男性 三位 壮年男性 棄権 クレア
 一位 クレア 二位 壮年男性 三位 僕 棄権 美形男性

 HP残量 二十九% AP残量 七% 獲得ポイント 5


 ――第五ゲーム――

 一位 クレア 二位 僕 三位 壮年男性 四位 美形男性


 ▼▼▼


『総合順位』
 一位 アスト 6ポイント ギルド《ウェザリア》 メンバー
 二位 クレア 5ポイント ギルド《虹色独奏レインボー・ブレス》 ギルドマスター
 二位 壮年男性 3ポイント ギルド《老人の酒場》 ギルドマスター
 四位 美形男性 1ポイント ギルド《森の民エルフィナー》 サブマスター


 ▲▲▲


 第五ゲームは『アクセラレーション』なしの地力だ。クレアがAのペアで一抜けしてくれたおかげもあり、壮年男性に競り勝つことができた。

 多分、このあたりが僕の限界点なんだろうな。
 加速なしで運に見放されれば、最下位になっていて然るべき実力なのだと思う。
 まともに戦ったんじゃ、次の決勝戦は勝てないだろうなぁ……。


「準決勝、ゲームセットです。お疲れ様でした。
 続けて決勝戦も行いますので、各自会場へお向かいください」


 システマが指を鳴らし、床から青く輝く光のゲートが湧き上がった。
 壮年男性と美形男性が立ち上がり、それぞれ3と4の数字が書かれた門へ足を踏み入れた。


「アストさん、私も行きます。ご武運をっ!」

「おう。クレアも頑張れよ」


 眩しい笑顔を浮かべるクレアも、こちらに手を振ったのち会場を後にした。

 残されたのは、僕とシステマだけだ。


「それで、だ。システマ、買収交渉……してもいいか?」


 一回戦終了後、彼女は言っていた。
 褒めただけでは買収されないし、買収に失敗すれば不正扱いで失格だ、と。
 これは純然たる事実なのだろう。

 だが、逆に言えば、褒め殺し以外でなら彼女を抱き込む手段は存在しているし、それが成功すれば不正にはならない、ということではないだろうか。


「……」


 表情を変えないシステマは、目を細めただけで黙したまま。

 しかし、確かな動きで――コクリと頷いた。



 ▼▼▼


 ――二十五分後。


「――以上を持ちまして、第一回ランダムバトルマッチを終了いたします。
 最終結果につきましては、こちらをご覧ください。皆様、大変お疲れ様でした」


『第一回ランダムバトルマッチ・最終順位』

 第一位 アスト 15P ギルド《ウェザリア》 メンバー
 第二位 マギナマギア 0P ギルド《魔法士の館ソーサラーズ・マンション》 サブマスター
 第二位 ルノア・ヴァイス 0P ギルド《桜花絢爛》 サブマスター
 第二位 レイヴン 0P ギルド《花鳥風月》 サブマスター

 第五位 クレア・フランベル 5P ギルド《虹色の独奏レインボー・ブレス》 ギルドマスター
 第六位 ヨミ 4P ギルド《死神の刃》 メンバー
 第六位 ラヴィア・レムナント 4P ギルド《慈愛の蒼月》 ギルドマスター 
 第八位 エルヴィット 3P ギルド《輝きの彗星》メンバー

 第九位 シャーロット 8P ギルド《妖精魔女》 ギルドマスター
 第十位 オールダイン 6P ギルド《老人の酒場》 ギルドマスター
 第十一位 ワンダース 1P ギルド《フレンド・ランド》 サブマスター
 第十二位 ハンタロー 0P ギルド《忍者戦隊》 サブマスター

 第十三位 ハンマゲドン 7P ギルド《匠の鍛冶》 サブマスター 
 第十四位 ウィルリッター 4P ギルド《森の民エルフィナ―》 メンバー
 第十五位 フルメタル金肉 3P ギルド《金色の翼》 サブマスター
 第十六位 フィリス 1P ギルド《精霊愛好会》 ギルドマスター


 ▲▲▲


「――いや、絶対おかしいっすよね!?」


 僕が清々しい気分で赤い転移門をくぐろうとしたところで、黒髪ショートの女性から待ったが掛かった。

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