異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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3章

155 デート終了

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「・・・・・・・・・えっ?」


 優香は目の前にある料理を見つめてしばし絶句した後、そんな声を漏らした。

 うん。言いたいことは分かるよ。
 予想していたよりずっと豪華だったんだろうね。
 けど、目の前のそれは『和の海鮮御膳・梅』で間違いないぞ。

 一般的には、松>竹>梅、という感じなのだが、この店ではその逆。
 つまり・・・梅>竹>松、という順序なのだ。
 梅は一番高価なやつということである。
 ちゃんと端っこに書いてあるんだが、優香は見落としたようだ。

 注文した『和の海鮮御膳・梅』には日本産の最高級海鮮素材が使用されている。
 僕の『海老尽くし彩御前・梅』と同じ伊勢海老を始めとして、北海道産のタラバガニやらバフンウニやら、イクラやら、各種魚やら、見ただけで高級だと分かる食材が所狭しと並んでいる。
 活けづくりに刺身、味噌汁、天麩羅、丼もの、などなど。どれもこの上なく食欲をそそる香りであり、一体いくらになるのかは見当もつかないだろう。僕は以前注文したので知ってるけど。

 なお、僕の料理は伊勢海老の他にも海外産の海老がふんだんに使われている。
 前回、これと別の料理とで迷って選ばなかった方なので、これを注文することは早々に決まっていた。


「優香、急かすつもりは無いけど・・・食べないの?」

「はっ、はいっ!勿論頂きますけど、これはっ・・・!」

「一応もう一度言っておくけれど、支払いは僕が持つ。
 優香が思っているよりは安いから、心配せずに味わって」


 この部屋なら緊張で味が分からなくなることはないだろうけど、一応な。

 僕が食べ始めたのもあって、恐る恐る料理に手を付ける優香。
 まずは無難に、鯛の天麩羅を一口。


「・・・ッッ!?」


 それからは非情に早かった。
 どの料理もひたすらに美味しいこともあり、パクパクと食べていく。
 僕も料理には自信があるのだが、到底敵わないと思わされ続けているほどの味。初めて口にする人は大抵一心不乱に食べ続ける。あの美鈴ですらそうだったのだから、やはり優香もその例に漏れなかった。

 途中から観察していたのだが、その食べっぷりは上品さを残しつつもとても幸せそうなものだった。自分以外がこんな顔をさせているのには少々嫉妬してしまうが、こればかりは仕方ない。素直に、幸せそうな顔を見れただけでも十分だと思っておこう。
 料理長のメイティアラには今度お礼を言わないと。
 あ、メイティアラは名前に似合わず日本人だ・・・と思う。
 少なくとも見た目は完全に日本人女性だ。


「・・・・・・っ!?」


 む・・・観察していることに気づかれた模様。少しだけ食べるペースが落ちた。それでも相変わらず一心不乱という言葉が似合う食べっぷりだが。
 そこそこの量があったはずなのだが、三十分程で完食した。
 不思議なことに、いつも腹八分目というところで収まるんだよな、これが。


「ご馳走様でした・・・」


 完食した優香は、どこかにトリップしているように見えた。
 この食後の余韻も素晴らしさに一躍買っているのだ。
 これまでの経験からして二、三分は戻ってこないだろうと思われる。

 僕は・・・流石にある程度慣れているので、ほんの十秒くらいだ。
 これ以上はどれだけ慣れても短くならない。多分。


 数分後。


「・・・とても。とっても美味しかったです。ご馳走様でした、飛鳥さん」

「そうか。気に入ってもらえたようで何よりだ」


 本当に幸せそうな顔でそう言ってきた。
 その顔を見られただけで、連れてきた甲斐があったというものだ。
 ちょっと色っぽくて、ドギマギさせられているのは秘密だ。


「こんないいお店をご存知なんて・・・飛鳥さんって、実は凄い人ですか・・・?」

「言わんとすることは分かるけど、僕自体は普通だよ。この店は父に連れてこられたことがあって、それから時折訪れているだけで。凄いというなら、僕の父じゃないかな」

「ですが、時折訪れられるということは・・・いえ、何でもありません」


 途中で言葉を止めた優香に苦笑を返す。
 恐らく、金銭的な話になりそうなので踏みとどまったのだろう。
 別に聞かれても失礼だとも思わないが、わざわざひけらかすつもりもない。ここは優香の好意に甘えて何も言わないでおこう。

 ちなみに、父さんとこの店の関係はいまいち分からない。
 VIP扱いかと思えば、そうではない一面も垣間見えた。

 というより、父さんには色々と不明なことが多く、正直知らないことだらけだ。そしてそれにまるで疑問を覚えていなかったということに、つい最近思い至った。ますます不思議だ。
 だが、言ってしまえばどうでもいい。
 母さんもそうだが、この上なく愛してくれていることはどうしようもなく理解出来てしまう。だから、その程度のことは些事なのだ。


 少しのんびりした後で、会計を済ませて『セレスティア』を出る。
 支払いは、優香に先に外へ出てもらってから行った。金額を知らない方がいいだろうという配慮からだ。少し気にしていた様子だが、素直に外へ出てくれた。男を立ててくれるいい女性だよな、本当に。

 なお、支払い金額は二十万は超えていないと言っておく。
 味を考えれば途轍もなく安いと思う。


 その後、駅まで手を繋いで歩いた。
 手の握り方や距離感から、好感度が上がっているという手ごたえを感じられた。
 多分きっと恐らく、気のせいでは無い。


 こうして、初デートは成功で終えることができたのだった。

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