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3章
156 痛覚設定と取引
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家に帰ってきてから暫くの間、余韻を噛み締めつつ反省と評価を行う。
まず、デートそのものは成功したと考えていい。
優香も悪い気はしていないように見えたし、喜んでもらえたはず。
しかし、面倒な輩に絡まれたのは問題だ。
優香が人の目を引くことを分かっていながら人目の多い場所で待ち合わせしようとしたのがいけなかったのだろう。分かりやすさを重視したことによる失敗だ。
次回があるならば、もう少し工夫が必要だ。
・・・・・・よし。反省終了。
もうしばらく幸せな気分に浸っていることにしよう。
「それでお兄ちゃん、デートはどうだったの?」
「うおおっ!?美鈴、いつからそこに居た!?」
「え?お兄ちゃんがテーブルに突っ伏して顔を赤くし始めた時からだよ?」
見られたくない部分の最初っからじゃないか!
何で声を掛けてくれなかったんだ・・・・・・いや、わざと声を掛けずに観察してやがったのか!
なんて奴だ!
「このっ・・・外道!」
「お兄ちゃん、鏡を見て言うと良いよ?」
「・・・・・・誰が外道みたいな見た目だ!」
〇〇〇
余韻などきれいさっぱりなくなってしまったので、そこに浸ることを諦めて幾つか掲示板情報などを受け取った後でFSOにログイン。
美鈴には散々揶揄われた挙句、今度自分も同じようにされたい、と言われた。
それくらい、いい彼氏でも見つけてそっちに頼めばいいのに・・・。
では、昨日に引き続き南の探索を進めよう。
残念ながら、今回は一人だけども。
《熟練度が一定に達し【中級投擲術】スキルがLv17になりました》
《熟練度が一定に達し【闘気】スキルがLv9になりました》
《熟練度が一定に達し【鷲の目】スキルがLv17になりました》
スライムたちを撃破しながら昨日と同じ道を進み、境界地帯に到着。
するとそこには、残りHP的に満身創痍っぽい人影があった。
見覚えがある女性だけど、一応解析。
名前 ヨミ
種族 人間 Lv22
第一職業 中級剣士 Lv11
第二職業 中級短剣士 Lv14
第三職業 中級投擲士 Lv5
相変わらず名前が赤いが、以前襲撃してきた暗殺者(?)だな。
多少装備は変わっているが、ダークブルーの軽防具とロングコートは変わっていない。ローブの方は身に着けていないが、装備変更はよくあることだ。暗闇での暗殺が目的でないなら必要性の薄い物であるし。
以前は無かった第三職業は・・・投擲士か。いい選択だな。
以前より投擲のキレが増したのだとしたら、大きな戦闘力向上になったはず。
「火傷のスリップダメージで今にも死に戻りそうだな・・・」
「っ!?」
壁に背中を預けた状態で座っているヨミがこちらに気づいたようだが、ダメージのせいで動けない模様。
痛覚設定次第で色々変わるのだが、HPが減るごとに痛みが発生し、残りHPが少なくなる程痛みが強くなるという仕掛けがある。僕も一応それに近い設定なのだが、あまり痛みを味わってはいない。滅多にHPなんて減らないし、すぐに回復できるからな。それに、耐えられない程痛くはない。
恐らくとしか言えないが、ヨミはその設定をしているようだ。
残りHPが風前の灯で、なおかつ火傷のスリップダメージを喰らっている今の状態は、きっと拷問のようになっていることだろう。
もちろん、設定はいつでも変えられるはずなのだが・・・。
「なあ、痛覚設定を変えないのか?」
「ええ・・・これは私の意地ですので、変えませんよ・・・」
ふーん・・・?
ま、何か理由でもあるんだろう。
多分PK行為と関りがあるんだろうけど、深く詮索はすまい。
「じゃあ、ポーションで回復は?」
「見て分かりませんか?・・・っ、既に使い切っていますよ」
顔を顰めながら呆れたように言われてしまった。
言われてみればその通りだ。ポーションがあるならとっくに回復しているはず。
その睨みつけるように気丈な表情は痛みのせいか、それとも下らないことを尋ねた僕への呆れと怒りのせいか。
両方だと思うが、だとしたらわざわざ回答してくれたことに感謝。
喋るのも億劫なくらいに痛くて怠いだろうに、根が優しい人間なのだろう。多分。
「そうかそうか。それで、なんだけど・・・これが何か分かるか?」
「ぐっ・・・・・・何のつもりですか?」
痛みで呻きながらも真意を問いただすかのように鋭い視線を向けてくる。
HPポーションを見せただけなのにその反応とは。
何か嫌われるようなことでもしただろうか?
ん・・・死に戻らせたことか?
あれは襲撃してくる以上納得ずくだと思うのだが・・・。
「そうだな・・・どうしてそこまで追い詰められたのかについて教えてくれるなら、このポーションをやってもいい。前向きな回答がもらえるのなら、先払いで使うことも考慮する」
「っ・・・」
何やら驚きつつも安堵した表情を浮かべている。
僅かに頬が染まっているのは・・・なるほどな。
「何だ?卑猥な要求でもされると思ってたのか?色々と無理があるぞ?」
「なっ・・・!?黙れっ・・・!!」
そんな真っ赤になりながら睨まれても全然怖くない。
というか、真っ先にそんな想像をするって、どうなんだ?
「それで?応じるのか、応じないのか、どっちなんだ?そろそろHPが無くなるよ?」
「くっ・・・・・・取引に応じる。そのポーションを、ください・・・っ」
ま、そうなるよな。レッドプレイヤーはデスペナルティが一段と厳しいし。
だが、後半部分は言わなくとも良かったんだぞ?
そんな如何にも、「屈辱的なことを言わされた・・・!」みたいな反応をしなくともいいじゃないか。
全く、酷い話だ。
まず、デートそのものは成功したと考えていい。
優香も悪い気はしていないように見えたし、喜んでもらえたはず。
しかし、面倒な輩に絡まれたのは問題だ。
優香が人の目を引くことを分かっていながら人目の多い場所で待ち合わせしようとしたのがいけなかったのだろう。分かりやすさを重視したことによる失敗だ。
次回があるならば、もう少し工夫が必要だ。
・・・・・・よし。反省終了。
もうしばらく幸せな気分に浸っていることにしよう。
「それでお兄ちゃん、デートはどうだったの?」
「うおおっ!?美鈴、いつからそこに居た!?」
「え?お兄ちゃんがテーブルに突っ伏して顔を赤くし始めた時からだよ?」
見られたくない部分の最初っからじゃないか!
何で声を掛けてくれなかったんだ・・・・・・いや、わざと声を掛けずに観察してやがったのか!
なんて奴だ!
「このっ・・・外道!」
「お兄ちゃん、鏡を見て言うと良いよ?」
「・・・・・・誰が外道みたいな見た目だ!」
〇〇〇
余韻などきれいさっぱりなくなってしまったので、そこに浸ることを諦めて幾つか掲示板情報などを受け取った後でFSOにログイン。
美鈴には散々揶揄われた挙句、今度自分も同じようにされたい、と言われた。
それくらい、いい彼氏でも見つけてそっちに頼めばいいのに・・・。
では、昨日に引き続き南の探索を進めよう。
残念ながら、今回は一人だけども。
《熟練度が一定に達し【中級投擲術】スキルがLv17になりました》
《熟練度が一定に達し【闘気】スキルがLv9になりました》
《熟練度が一定に達し【鷲の目】スキルがLv17になりました》
スライムたちを撃破しながら昨日と同じ道を進み、境界地帯に到着。
するとそこには、残りHP的に満身創痍っぽい人影があった。
見覚えがある女性だけど、一応解析。
名前 ヨミ
種族 人間 Lv22
第一職業 中級剣士 Lv11
第二職業 中級短剣士 Lv14
第三職業 中級投擲士 Lv5
相変わらず名前が赤いが、以前襲撃してきた暗殺者(?)だな。
多少装備は変わっているが、ダークブルーの軽防具とロングコートは変わっていない。ローブの方は身に着けていないが、装備変更はよくあることだ。暗闇での暗殺が目的でないなら必要性の薄い物であるし。
以前は無かった第三職業は・・・投擲士か。いい選択だな。
以前より投擲のキレが増したのだとしたら、大きな戦闘力向上になったはず。
「火傷のスリップダメージで今にも死に戻りそうだな・・・」
「っ!?」
壁に背中を預けた状態で座っているヨミがこちらに気づいたようだが、ダメージのせいで動けない模様。
痛覚設定次第で色々変わるのだが、HPが減るごとに痛みが発生し、残りHPが少なくなる程痛みが強くなるという仕掛けがある。僕も一応それに近い設定なのだが、あまり痛みを味わってはいない。滅多にHPなんて減らないし、すぐに回復できるからな。それに、耐えられない程痛くはない。
恐らくとしか言えないが、ヨミはその設定をしているようだ。
残りHPが風前の灯で、なおかつ火傷のスリップダメージを喰らっている今の状態は、きっと拷問のようになっていることだろう。
もちろん、設定はいつでも変えられるはずなのだが・・・。
「なあ、痛覚設定を変えないのか?」
「ええ・・・これは私の意地ですので、変えませんよ・・・」
ふーん・・・?
ま、何か理由でもあるんだろう。
多分PK行為と関りがあるんだろうけど、深く詮索はすまい。
「じゃあ、ポーションで回復は?」
「見て分かりませんか?・・・っ、既に使い切っていますよ」
顔を顰めながら呆れたように言われてしまった。
言われてみればその通りだ。ポーションがあるならとっくに回復しているはず。
その睨みつけるように気丈な表情は痛みのせいか、それとも下らないことを尋ねた僕への呆れと怒りのせいか。
両方だと思うが、だとしたらわざわざ回答してくれたことに感謝。
喋るのも億劫なくらいに痛くて怠いだろうに、根が優しい人間なのだろう。多分。
「そうかそうか。それで、なんだけど・・・これが何か分かるか?」
「ぐっ・・・・・・何のつもりですか?」
痛みで呻きながらも真意を問いただすかのように鋭い視線を向けてくる。
HPポーションを見せただけなのにその反応とは。
何か嫌われるようなことでもしただろうか?
ん・・・死に戻らせたことか?
あれは襲撃してくる以上納得ずくだと思うのだが・・・。
「そうだな・・・どうしてそこまで追い詰められたのかについて教えてくれるなら、このポーションをやってもいい。前向きな回答がもらえるのなら、先払いで使うことも考慮する」
「っ・・・」
何やら驚きつつも安堵した表情を浮かべている。
僅かに頬が染まっているのは・・・なるほどな。
「何だ?卑猥な要求でもされると思ってたのか?色々と無理があるぞ?」
「なっ・・・!?黙れっ・・・!!」
そんな真っ赤になりながら睨まれても全然怖くない。
というか、真っ先にそんな想像をするって、どうなんだ?
「それで?応じるのか、応じないのか、どっちなんだ?そろそろHPが無くなるよ?」
「くっ・・・・・・取引に応じる。そのポーションを、ください・・・っ」
ま、そうなるよな。レッドプレイヤーはデスペナルティが一段と厳しいし。
だが、後半部分は言わなくとも良かったんだぞ?
そんな如何にも、「屈辱的なことを言わされた・・・!」みたいな反応をしなくともいいじゃないか。
全く、酷い話だ。
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