異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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4章

223 レインの想いと決意

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 光速を超えるって・・・しかも物理法則超越とな?
 意味不明というか何というか・・・。

 ん・・・ああ、そうか。
 サクラとの戦い終盤で音とことができたのは、これのおかげか。
 思い返してみればとんでもないことをしていたよなぁ・・・。

 自分のAPを確認してみると、見事にスッカラカンになっていた。
 そんなことにも気づけないくらいに疲れていたようだ。

 それで、だ。
 この進化条件というのはどういうことなんだ。

 まず第一に、スキルポイント48(50)て何だし。
 どんだけぼったくるつもりだよ・・・。

 そして、進化させたら恐ろしいことになりそうだ。

 第二に、「???」というのが三つもある。
 これでは進化させようにも無理ではないか。
 何故スキルポイントのように条件を表示してくれないのだろうか。

 最後に、【加速】のスキルがマスタースキルに移動していない。
 理由は不明だが、そういう仕様なのだと納得するしかないか。


 さて、ウィンドウを閉じてもう一休みするかね・・・。




《プレイヤースキルの条件達成を確認しました》
《取得可能スキルに【筋力強化】が追加されました》
《取得可能スキルに【敏捷強化】が追加されました》
《取得可能スキルに【魔力強化】が追加されました》


 何だ何だ何だっ!?
 ゆっくり休もうとしたところでアナウンスだと!?

 うつらうつらとしていたせいでよく聴こえなかったのでログを確認した。
 しかし、なんだってこのタイミングでこれらのスキルが・・・?

 ・・・考えられるとすれば、レベルか35が一つの条件になっていたとか?

 ま、考えても分からんのでもう一度休もう。
 おやすみなさい。



《プレイヤースキルの条件達成を確認しました》
《取得可能スキルに【瞑想】が追加されました》


 うがああああああっ!!

 何なんだ一体!?
 運営は僕を休ませないつもりかっ!?

 それに、スキルポイントを溜め込まなければならないタイミングでこれとは!
 新しいスキルでも【敏捷強化】あたりは凄く欲しい!

 現在、空いているスキルスロットは7つ。
 ここは、前々から取得を検討していた【気配遮断】と【魔力遮断】を取得しておくことにする。それから【敏捷強化】もだ。
 スキルポイントを合計5消費した。

 では、改めて一休み。



 ドタバタドタバタ・・・ガチャン!!


「中々戻ってこないからどうしたのかと思ったら、こんなところで寝てるしっ!」

「帰れっ!!」

「ええっ!?」


 控室に入ってきたシエラを追い返して、鍵を掛けた。
 ちょっと悪いことしたとは思うが、こちらもあまり余裕がないのでな。

 さっきから頭がクラクラと・・・。


「アストっ!レインも一緒に来て『入っていいぞ!』・・・って、反応速っ!?」


 大至急鍵を開けた。
 そして、レインの少し困ったような顔が目に飛び込んでくる。

 何だか、これだけで疲れが吹き飛ぶ気がするから不思議だ・・・。



 レインが控室に入ると、シエラは帰っていった。
 何でも、ただの付き添いなのだとか。

 つまり、レインと密室で二人きりという状況になっている。
 これがリアルだったら緊張するなんてものでは済まなかっただろうな。


「あー、僕は横になって休むから、レインは適当に・・・」

「あの、アストさん。よろしければ、なんですが・・・」

「ん、どうした?」


 レインが頬を染めて服装を整えながら、何かを言おうとしている。


「その・・・膝枕を、してもいいでしょうか・・・?」


 ・・・・・・何ですと?









 現在、レインに膝枕をされている。

 疲れ?そんなものは一瞬で消えてなくなった。
 冗談ではなく、本当に。

 だがその代わり、さっきから心臓がバクバク跳ねて仕方がない。
 というか、ゲームの中だというのに理性が危ない。

 それもこれも、レインが満更ではなさそうなのがいけないのだ。
 どうしてそんなに幸せそうなのか、まるで分からないのだが・・・。


「―――アストさん。私、嫉妬してしまったんです」

「・・・は?」


 レインが突然語りだしたかと思えば・・・嫉妬、とな?
 いつ、どのタイミングでレインを誤解させるようなことをしてしまったのだろう。


「先程の試合で、アストさんとサクラさん、とても通じ合っているように見えました。そのことがとても、悲しくて、悔しくて。気づいたら・・・嫉妬してました」

「・・・・・・。」

「それで、アリアさんや皆に控室へ行くよう勧められて・・・二人っきりになった途端、こんな風にアストさんを求めてしまいました・・・」


 僕を求める・・・膝枕のことか。


「私の思い上がりでなければ、アストさんの心は、一人の女性にしか向いていないと思います・・・」

「・・・そうだな。そのことは僕が保証する」


 言うまでもなく、レインのことだな。
 敢えて明言はしていないが、レインも僕の好意には気づいてるのだから。

 他にも魅力的な女性は沢山居る。
 アリアさんやフラン、フレグランス、ヨミ、サクラ。
 ミアやシエラだってそうだ。

 だが、不思議とレイン以外には、心が動かされないのだ。
 どんだけベタ惚れなのか、という感じだよな、ははは。


「とても大事にされているのは、分かるんです。そのことは、本当にどうしようもないくらいに嬉しくて、おかげでいつだって私は幸せな気分に浸れています・・・」

「・・・・・・。」

「ですが・・・私はとっても浅ましい女なんです。これだけ愛されておきながら、もっと愛されたいと思ってしまうんです・・・!今の関係に我慢できなくなりつつあって、更に先へ進みたいと思ってしまうんですっ・・・!」

「レイン・・・・・・」


 レインは、自分の欲と罪悪感の板挟みにあって、とても辛そうだ。
 今にも泣きだしそうで、それでいて僕に何かを期待する眼差し。

 はぁ・・・。
 何だってこんな思いをさせているんだろうかね、僕は。
 大事にしたいという理由を言い訳に逃げて、彼女を悲しませたら本末転倒だ。


 ・・・そろそろ、色々なものに蹴りをつけるべきなんだろうな。


 ・・・コンコン!


「アスト様、決勝戦開始まで残り十分となりました。舞台脇で回復を済ませて準備をお願いいたします!」

「ん、時間か。幸せな時間は過ぎるのが早いな・・・」

「あっ・・・・・・」


 名残惜しいが、レインの膝枕から起き上がる。
 そんな悲しそうな声を出されたら、また堪能したくなるからやめてほしいな。


「レイン・・・今日この後、リアルで会えるか?大事な話がある」

「っ・・・はい。時間は大丈夫です」

「そうか。じゃあ、この前のところに十八時でいいか?よければ、夕食も一緒に」

「はいっ・・・是非っ!」


 色よい返事をもらえたので、控室を出て舞台へ向かうとしよう。




 さて・・・兄妹喧嘩といこうか。

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