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4章
230 優香と青い塔
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夕食は何の波乱も無く、無事に進んだ。
状況だけ見れば、三角関係ととれなくもないんだが・・・。
事情は既に話されているにに、優香と美鈴に険悪な雰囲気など一切ない。
微妙にもやっとしてしまい、そのせいで軽く自己嫌悪だ。
「飛鳥さんって、本当に料理がお上手なんですね・・・!」
「ふふーん!凄いでしょっ!」
「何故美鈴が自慢げなんだよ。包丁を持たせれば剣みたいに持つくせに・・・」
「お兄ちゃんっ!それを言わないでっ!!」
言うに決まっているだろう。
地味に怖かったんだぞ、あれ。
笑顔のまま包丁を向けてくる美鈴・・・今になって思うが、洒落になってない。
僕としては、いつ美鈴に後ろから刺されてもおかしくない状態なんだからな。
美鈴にヤンデレの気が無かったことに感謝。
「こう言っては何ですが、私の家で頂くのと同じか、それより美味しいかもしれません。家の料理人も超一流だと聞かされているのですけど・・・美鈴が羨ましいです」
「えへへっ!お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんだもんねっ!」
「そっ、それを言うなら、飛鳥さんは私だけの恋っ、いえっ、まだ違います!今のは何でもありませんっ!!忘れてくださいっ!!」
いま優香が何かを言いかけたが、何を言いかけたんだろうか。
僕は何も聞いていないので分からないな、うん。
カーッと赤くなった優香をまじまじと眺めておく。
うん。実に眼福だ。
「飛鳥さんっ、恥ずかしいのであまり見ないでくださいっ!?」
「善処しよう」
「善処して頂けるのでしたら顔を背けるくらいはしてほしいですっ・・・!!」
それは意地でもお断りしよう。
それにしても、料理人か・・・。
やっぱりいいとこのお嬢様なんだろうか?
〇〇〇
夕食を終えてから少しして、優香と一緒に家を出た。
出発時に美鈴から、「私はお兄ちゃんの部屋で少しだけ泣いてるねっ!」と言われてしまったので、少しだけ気分がブルーだ。
あれはあれで僕を気遣った発言なんだろう。
後から気づいたら更に気分が落ちそうだし。
「飛鳥さん、車の免許を持っていたんですね?」
「まあ、一応な。あって困るものでもないし」
助手席に座る優香の問いに答えながら安全運転。
向かう先は・・・まあ、そこそこ有名な場所というか何というか。
割と最近に・・・去年完成した建造物だ。
「あの・・・どこに向かっているのかお聞きしても?」
「ああ、構わないが・・・どのみちそろそろ分かるんじゃないか?」
「へ・・・?」
角を一つ曲がると、少し先に現れたのは・・・青白く高い塔。
東京タワーや東京スカイツリーの上を行く、高さ999メートルの塔だ。
名前は、クラリアパレス。
どこが宮殿なんだという名前だが・・・それにもちゃんと理由があるのだ。
僕も両親に連れられて行ってみて、ようやく分かったんだけども。
予め言っておくと、電波塔の役割もちゃんと果たしている。
辿り着いた駐車場に車を停めて外に降りる。
「・・・手、繋いでもいいか?」
「っ、はい・・・!」
差し出された優香の手を取り、入口から塔の中へ入る。
エレベーターに乗って、666Fまで直行だ。
何故666Fなのかというと、一般公開されているのがここまでだからだ。
それ故に、ここまではそこそこ人が居る。
中には恋人らしき男女の姿も。
・・・別に羨ましくなんてない。
多少観光を楽しみながら、一般公開されていない区画へ。
「申し訳ありませんが、ここから先は一般公開されていませんので・・・」
見張りの者に止められたが・・・初めて見る顔だ。
「これ、身分証。確認を頼む」
「はい・・・?身分証と言われても・・・・・・っ、失礼いたしましたっ!!」
「気にするな。お勤めご苦労様」
「はっ!」
難なくチェックをスルー。
親の七光りみたいで嫌だが、一応僕もそこそこの立場なので良しとしよう。
それに、僕の安いプライドくらい、今はドブにでも捨てておけばいいさ。
という訳で、その先にあった専用エレベーターで998Fまで向かう。
何故998Fなのかというと、ここまでが一部の者だけが立ち入れるエリアになっているからだ。
つまりこの先は、その一部の者さえ入れない場所になる。
総理大臣や天皇、その他諸々も、度合いは違えどここまでだ。
999Fに単独で立ち入れるのは、この世界で両手の指に収まるくらいだとか。
僕も父から聞いた話なので、その辺りは詳しくないのだが。
・・・首相や天皇が駄目なのに入れる人が居るって、なんかおかしくないか?
そのことについては、まあいい。
僕も998Fから先は単独では入れない。
あくまでも、僕の身分証では、なのだが。
「一応決まりですので、身分証のご提示を」
そういう訳で、999Fへ上がる階段の前に待ち構えている厳つい警備員に、父から預かった身分証を見せる。
「―――確認致しました。藤堂飛鳥様ですね。そちらはお連れの方ですか?」
「ええ、そうです。とても大事な人でして・・・」
「それでしたら構いません。どうぞごゆっくり」
以前も会ったことのある警備員の男性が、顔に似合わない丁寧な口調で話す。
僕もこの人相手にタメ口で話す気にはならんよ。
以前、どこぞの国のトップとその護衛十人くらいが無理矢理押し通ろうとして、ボコボコにされているのを目撃しているのだ。
あの恐ろしい顔で弾丸の雨あられをひょいひょい回避しながら迫ってくるので、もう怖いなんてものじゃない。
なお、その様子をうちの母親は楽しそうに笑いながら観戦してた。
「―――少し見ない間にお強くなられましたな」
「へ?今何か言いましたか?」
「いえ、なんでもございませんよ。さ、どうぞ」
「?」
どうにも腑に落ちないが、ここは素直に先へ進もう。
優香の手を引きつつ、青白い内階段をゆっくり上っていく。
以前とは少しデザインが違う、ドレスに近い青が基調の服装が良く似合っている。
さて、終点はもうすぐだ。
状況だけ見れば、三角関係ととれなくもないんだが・・・。
事情は既に話されているにに、優香と美鈴に険悪な雰囲気など一切ない。
微妙にもやっとしてしまい、そのせいで軽く自己嫌悪だ。
「飛鳥さんって、本当に料理がお上手なんですね・・・!」
「ふふーん!凄いでしょっ!」
「何故美鈴が自慢げなんだよ。包丁を持たせれば剣みたいに持つくせに・・・」
「お兄ちゃんっ!それを言わないでっ!!」
言うに決まっているだろう。
地味に怖かったんだぞ、あれ。
笑顔のまま包丁を向けてくる美鈴・・・今になって思うが、洒落になってない。
僕としては、いつ美鈴に後ろから刺されてもおかしくない状態なんだからな。
美鈴にヤンデレの気が無かったことに感謝。
「こう言っては何ですが、私の家で頂くのと同じか、それより美味しいかもしれません。家の料理人も超一流だと聞かされているのですけど・・・美鈴が羨ましいです」
「えへへっ!お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんだもんねっ!」
「そっ、それを言うなら、飛鳥さんは私だけの恋っ、いえっ、まだ違います!今のは何でもありませんっ!!忘れてくださいっ!!」
いま優香が何かを言いかけたが、何を言いかけたんだろうか。
僕は何も聞いていないので分からないな、うん。
カーッと赤くなった優香をまじまじと眺めておく。
うん。実に眼福だ。
「飛鳥さんっ、恥ずかしいのであまり見ないでくださいっ!?」
「善処しよう」
「善処して頂けるのでしたら顔を背けるくらいはしてほしいですっ・・・!!」
それは意地でもお断りしよう。
それにしても、料理人か・・・。
やっぱりいいとこのお嬢様なんだろうか?
〇〇〇
夕食を終えてから少しして、優香と一緒に家を出た。
出発時に美鈴から、「私はお兄ちゃんの部屋で少しだけ泣いてるねっ!」と言われてしまったので、少しだけ気分がブルーだ。
あれはあれで僕を気遣った発言なんだろう。
後から気づいたら更に気分が落ちそうだし。
「飛鳥さん、車の免許を持っていたんですね?」
「まあ、一応な。あって困るものでもないし」
助手席に座る優香の問いに答えながら安全運転。
向かう先は・・・まあ、そこそこ有名な場所というか何というか。
割と最近に・・・去年完成した建造物だ。
「あの・・・どこに向かっているのかお聞きしても?」
「ああ、構わないが・・・どのみちそろそろ分かるんじゃないか?」
「へ・・・?」
角を一つ曲がると、少し先に現れたのは・・・青白く高い塔。
東京タワーや東京スカイツリーの上を行く、高さ999メートルの塔だ。
名前は、クラリアパレス。
どこが宮殿なんだという名前だが・・・それにもちゃんと理由があるのだ。
僕も両親に連れられて行ってみて、ようやく分かったんだけども。
予め言っておくと、電波塔の役割もちゃんと果たしている。
辿り着いた駐車場に車を停めて外に降りる。
「・・・手、繋いでもいいか?」
「っ、はい・・・!」
差し出された優香の手を取り、入口から塔の中へ入る。
エレベーターに乗って、666Fまで直行だ。
何故666Fなのかというと、一般公開されているのがここまでだからだ。
それ故に、ここまではそこそこ人が居る。
中には恋人らしき男女の姿も。
・・・別に羨ましくなんてない。
多少観光を楽しみながら、一般公開されていない区画へ。
「申し訳ありませんが、ここから先は一般公開されていませんので・・・」
見張りの者に止められたが・・・初めて見る顔だ。
「これ、身分証。確認を頼む」
「はい・・・?身分証と言われても・・・・・・っ、失礼いたしましたっ!!」
「気にするな。お勤めご苦労様」
「はっ!」
難なくチェックをスルー。
親の七光りみたいで嫌だが、一応僕もそこそこの立場なので良しとしよう。
それに、僕の安いプライドくらい、今はドブにでも捨てておけばいいさ。
という訳で、その先にあった専用エレベーターで998Fまで向かう。
何故998Fなのかというと、ここまでが一部の者だけが立ち入れるエリアになっているからだ。
つまりこの先は、その一部の者さえ入れない場所になる。
総理大臣や天皇、その他諸々も、度合いは違えどここまでだ。
999Fに単独で立ち入れるのは、この世界で両手の指に収まるくらいだとか。
僕も父から聞いた話なので、その辺りは詳しくないのだが。
・・・首相や天皇が駄目なのに入れる人が居るって、なんかおかしくないか?
そのことについては、まあいい。
僕も998Fから先は単独では入れない。
あくまでも、僕の身分証では、なのだが。
「一応決まりですので、身分証のご提示を」
そういう訳で、999Fへ上がる階段の前に待ち構えている厳つい警備員に、父から預かった身分証を見せる。
「―――確認致しました。藤堂飛鳥様ですね。そちらはお連れの方ですか?」
「ええ、そうです。とても大事な人でして・・・」
「それでしたら構いません。どうぞごゆっくり」
以前も会ったことのある警備員の男性が、顔に似合わない丁寧な口調で話す。
僕もこの人相手にタメ口で話す気にはならんよ。
以前、どこぞの国のトップとその護衛十人くらいが無理矢理押し通ろうとして、ボコボコにされているのを目撃しているのだ。
あの恐ろしい顔で弾丸の雨あられをひょいひょい回避しながら迫ってくるので、もう怖いなんてものじゃない。
なお、その様子をうちの母親は楽しそうに笑いながら観戦してた。
「―――少し見ない間にお強くなられましたな」
「へ?今何か言いましたか?」
「いえ、なんでもございませんよ。さ、どうぞ」
「?」
どうにも腑に落ちないが、ここは素直に先へ進もう。
優香の手を引きつつ、青白い内階段をゆっくり上っていく。
以前とは少しデザインが違う、ドレスに近い青が基調の服装が良く似合っている。
さて、終点はもうすぐだ。
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