異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

文字の大きさ
231 / 264
4章

230 優香と青い塔

しおりを挟む
 夕食は何の波乱も無く、無事に進んだ。
 状況だけ見れば、三角関係ととれなくもないんだが・・・。

 事情は既に話されているにに、優香と美鈴に険悪な雰囲気など一切ない。
 微妙にもやっとしてしまい、そのせいで軽く自己嫌悪だ。


「飛鳥さんって、本当に料理がお上手なんですね・・・!」

「ふふーん!凄いでしょっ!」

「何故美鈴が自慢げなんだよ。包丁を持たせれば剣みたいに持つくせに・・・」

「お兄ちゃんっ!それを言わないでっ!!」


 言うに決まっているだろう。
 地味に怖かったんだぞ、あれ。

 笑顔のまま包丁を向けてくる美鈴・・・今になって思うが、洒落になってない。
 僕としては、いつ美鈴に後ろから刺されてもおかしくない状態なんだからな。

 美鈴にヤンデレの気が無かったことに感謝。


「こう言っては何ですが、私の家で頂くのと同じか、それより美味しいかもしれません。家の料理人も超一流だと聞かされているのですけど・・・美鈴が羨ましいです」

「えへへっ!お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんだもんねっ!」

「そっ、それを言うなら、飛鳥さんは私だけの恋っ、いえっ、まだ違います!今のは何でもありませんっ!!忘れてくださいっ!!」


 いま優香が何かを言いかけたが、何を言いかけたんだろうか。
 僕は何も聞いていないので分からないな、うん。

 カーッと赤くなった優香をまじまじと眺めておく。
 うん。実に眼福だ。


「飛鳥さんっ、恥ずかしいのであまり見ないでくださいっ!?」

「善処しよう」

「善処して頂けるのでしたら顔を背けるくらいはしてほしいですっ・・・!!」


 それは意地でもお断りしよう。

 それにしても、料理人か・・・。
 やっぱりいいとこのお嬢様なんだろうか?



 〇〇〇



 夕食を終えてから少しして、優香と一緒に家を出た。
 出発時に美鈴から、「私はお兄ちゃんの部屋で少しだけ泣いてるねっ!」と言われてしまったので、少しだけ気分がブルーだ。

 あれはあれで僕を気遣った発言なんだろう。
 後から気づいたら更に気分が落ちそうだし。


「飛鳥さん、車の免許を持っていたんですね?」

「まあ、一応な。あって困るものでもないし」


 助手席に座る優香の問いに答えながら安全運転。

 向かう先は・・・まあ、そこそこ有名な場所というか何というか。
 割と最近に・・・去年完成した建造物だ。


「あの・・・どこに向かっているのかお聞きしても?」

「ああ、構わないが・・・どのみちそろそろ分かるんじゃないか?」

「へ・・・?」


 角を一つ曲がると、少し先に現れたのは・・・青白く高い塔。
 東京タワーや東京スカイツリーの上を行く、高さ999メートルの塔だ。

 名前は、クラリアパレス。

 どこが宮殿なんだという名前だが・・・それにもちゃんと理由があるのだ。
 僕も両親に連れられて行ってみて、ようやく分かったんだけども。

 予め言っておくと、電波塔の役割もちゃんと果たしている。


 辿り着いた駐車場に車を停めて外に降りる。


「・・・手、繋いでもいいか?」

「っ、はい・・・!」


 差し出された優香の手を取り、入口から塔の中へ入る。
 エレベーターに乗って、666Fまで直行だ。

 何故666Fなのかというと、一般公開されているのがここまでだからだ。

 それ故に、ここまではそこそこ人が居る。
 中には恋人らしき男女の姿も。

 ・・・別に羨ましくなんてない。

 多少観光を楽しみながら、一般公開されていない区画へ。


「申し訳ありませんが、ここから先は一般公開されていませんので・・・」


 見張りの者に止められたが・・・初めて見る顔だ。


「これ、身分証。確認を頼む」

「はい・・・?身分証と言われても・・・・・・っ、失礼いたしましたっ!!」

「気にするな。お勤めご苦労様」

「はっ!」


 難なくチェックをスルー。
 親の七光りみたいで嫌だが、一応僕もそこそこの立場なので良しとしよう。

 それに、僕の安いプライドくらい、今はドブにでも捨てておけばいいさ。


 という訳で、その先にあった専用エレベーターで998Fまで向かう。
 何故998Fなのかというと、ここまでが一部の者だけが立ち入れるエリアになっているからだ。

 つまりこの先は、その一部の者さえ入れない場所になる。
 総理大臣や天皇、その他諸々も、度合いは違えどここまでだ。

 999Fに単独で立ち入れるのは、この世界で両手の指に収まるくらいだとか。
 僕も父から聞いた話なので、その辺りは詳しくないのだが。

 ・・・首相や天皇が駄目なのに入れる人が居るって、なんかおかしくないか?

 そのことについては、まあいい。

 僕も998Fから先は単独では入れない。
 あくまでも、僕の身分証では、なのだが。


「一応決まりですので、身分証のご提示を」


 そういう訳で、999Fへ上がる階段の前に待ち構えている厳つい警備員に、父から預かった身分証を見せる。


「―――確認致しました。藤堂飛鳥様ですね。そちらはお連れの方ですか?」

「ええ、そうです。とても大事な人でして・・・」

「それでしたら構いません。どうぞごゆっくり」


 以前も会ったことのある警備員の男性が、顔に似合わない丁寧な口調で話す。
 僕もこの人相手にタメ口で話す気にはならんよ。

 以前、どこぞの国のトップとその護衛十人くらいが無理矢理押し通ろうとして、ボコボコにされているのを目撃しているのだ。
 あの恐ろしい顔で弾丸の雨あられをひょいひょい回避しながら迫ってくるので、もう怖いなんてものじゃない。

 なお、その様子をうちの母親は楽しそうに笑いながら観戦してた。
 

「―――少し見ない間にお強くなられましたな」

「へ?今何か言いましたか?」

「いえ、なんでもございませんよ。さ、どうぞ」

「?」


 どうにも腑に落ちないが、ここは素直に先へ進もう。

 優香の手を引きつつ、青白い内階段をゆっくり上っていく。
 以前とは少しデザインが違う、ドレスに近い青が基調の服装が良く似合っている。


 さて、終点はもうすぐだ。

しおりを挟む
感想 715

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
15歳になり成人を迎えたリュカは、念願の冒険者ギルドに登録して冒険者になった。 そこで、そこそこ名の知れた冒険者Dランクのチームの【烈火の羽ばたき】に誘われる。 そこでの生活は主に雑用ばかりで、冒険に行く時でも荷物持ちと管理しかさせて貰えなかった。 それに雑用だけならと給料も安く、何度申請しても値段が上がる事はなかった。 ある時、お前より役に立つ奴が加入すると言われて、チームを追い出される事になった。 散々こき使われたにも関わらず、退職金さえ貰えなかった。 そしてリュカは、ギルドの依頼をこなして行き… 【烈火の羽ばたき】より早くランクを上げる事になるのだが…? このリュカという少年は、チームで戦わせてもらえなかったけど… 魔女の祖母から魔法を習っていて、全属性の魔法が使え… 剣聖の祖父から剣術を習い、同時に鍛治を学んで武具が作れ… 研究者の父親から錬金術を学び、薬学や回復薬など自作出来て… 元料理人の母親から、全ての料理のレシピを叩き込まれ… 更に、母方の祖父がトレジャーハンターでダンジョンの知識を習い… 母方の祖母が魔道具製作者で魔道具製作を伝授された。 努力の先に掴んだチート能力… リュカは自らのに能力を駆使して冒険に旅立つ! リュカの活躍を乞うご期待! HOTランキングで1位になりました! 更に【ファンタジー・SF】でも1位です! 皆様の応援のお陰です! 本当にありがとうございます! HOTランキングに入った作品は幾つか有りましたが、いつも2桁で1桁は今回初です。 しかも…1位になれるなんて…夢じゃ無いかな?…と信じられない気持ちでいっぱいです。

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

処理中です...