異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

文字の大きさ
233 / 264
4章

232 愛する恋人と愛する妹

しおりを挟む
 何度も何度も、優香と口づけを交わした。
 今まで我慢してきた欲求を全てぶつけるように、繰り返し、繰り返し。

 脳がとろけるような甘美な感覚が続き、途中から意識があやふやに。
 ただ本能のままに、優香の唇を貪った。

 我に返ったのは、部屋の使用時間が終了する間際。
 この部屋は外と隔絶されていて、外からは一切様子を窺えないが、最大使用時間の一時間が過ぎる五分前になると、機械音で知らせてくれるのだ。

 その音で我に返ったのだが、もう一時間か・・・。


「優香、そろそろ帰ろうか。家まで送っていくから」

「飛鳥、さんっ・・・!」

「っ・・・」


 そんな物足りなさそうな目をしないでくれ・・・!
 正直、僕だってもっと一緒に居たいが、我慢するのが大変なんだからさ・・・!

 優香の潤んだ瞳と艶のある唇を見ていると、いつの間にか体が吸い寄せられる。

 だが、ここは我慢だ。
 こういう時に年上の僕が、節度を持ってリードしなければ。

 涙を飲んで、優香の体を少し押す。


「もう時間だから、な? また次の機会を待ってくれないか・・・?」

「っ・・・はい。ごめんなさい・・・私っ、抑えがきかなくて・・・!」

「散々待たせた僕が悪いんだから、謝る必要はないぞ? 僕だって正直名残惜しいし、場所と状況が許せば、溺れ切ってしまっていたと思うから・・・」

「飛鳥さん・・・っ!」


 最後にもう一度抱き締めて、席から立ち上がった。
 星を見る時間はあまり取れなかったが、また来ればいい。

 ここからようやく、二人の時間が始まるんだからな。

 ・・・今の心の声はちょっと恥ずかしかったかもしれない。



 〇〇〇



 優香を車で家まで送ったところ、分かったことが一つ。


「・・・やっぱり優香ってお嬢様だったんだな」

「そ、そんなことはっ・・・・・・あるかもしれません、けど・・・」


 多少は自覚があったようだ。
 そりゃあ、今目の前にある豪邸に住んでいれば、自覚も生まれるよな・・・。

 大きさは・・・うちの何倍くらいだ?
 いや、もしかしたら何十倍かもしれないけど。

 だが、雨宮なんて家は聞いたことが無い。
 僕もそんなに詳しい訳ではないが、クラリアパレスの980Fまで立ち入れるとなると相当な名家でもおかしくないし、名前くらいは知っていてもいいような。


「優香の名字って雨宮、だったよな?」

「ええ、そうです。これは母方の姓なんですけどね?」


 なるほど。
 そういうことなら納得だ。

 それと同時に新たな疑問が噴き出したが、まあそれはいいだろう。

 優香の話し方が少しだけ砕けたものになっている気がするが、これが恋人効果か。
 これだけで幸せな気分になる僕は末期かもしれない。


「本当はご両親にご挨拶したいところだが、もう夜遅い。それはまたの機会にさせてもらうな?」

「は、はいっ・・・!私もまだ心の準備が出来ていないのでっ・・・!」


 ヤバい。
 恥じらう優香が一段と可愛く見える。

 明日から大変そうだなぁ・・・。
 
 顔を見るたびに心臓の鼓動が跳ねて、まともに会話できるかさえ微妙だ。
 FSOでも普通に顔を合わせる訳だし、周囲の反応も気になるところ。

 リアルの方でも一緒に居ることが増えると思うが、どうやって楽しませようか。
 色々な考えは浮かぶが、本当に喜んでもらえるのか不安で仕方ない。
 こういう時に自分の恋愛経験の無さが恨めしい・・・!


「じゃあ・・・また明日」

「はい!また明日、ですっ!」


 優香を見送った後で、車に乗り込んで帰宅する。
 こうして、僕と優香の関係性が変化し、一つの節目を迎えた。

 さて、ここまでは楽しい時間だったが、ここからは気持ちを切り替えねば。

 これからのことは、僕にとっての罰であり、罪を贖う時間だ。
 たとえ美鈴にどう罵倒されようとも、それを受け入れなくてはならない。

 ・・・その程度で詰みが減るとも思えないので、ただの自己満足。
 いや、自己満足ですらない、自分勝手で我が儘な好意だ。



 〇〇〇



 家に帰ると、美鈴に根掘り葉掘り聞かれた。
 隠す理由も無いので正直に答えたところ、正式に付き合い始めたと告げたところで少し辛そうな顔をされた。

 美鈴は上手く隠したつもりなのだろうが、隠し切れていない。
 普段は物凄くそういうのが上手いのに失敗したってことは、それだけショックが大きいのだろうな。

 ・・・ここは指摘しないのが正解なのだろうな。


「美鈴、泣きたいなら胸を貸すぞ?」

「えっ?別に大丈夫だよ?もう九割方持ち直してるからねっ!」

「・・・僕にこんなことを言う資格がないのは重々承知しているが・・・無理はするな。その内潰れてしまう。僕は、兄としての役目まで放り出したつもりはない」

「・・・・・・っ、お兄ちゃんのっ、馬鹿ああああああっ!!!!」


 美鈴は自らの叫びにより堤防が決壊し、ボロボロと涙を流し始めた。

しおりを挟む
感想 715

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
15歳になり成人を迎えたリュカは、念願の冒険者ギルドに登録して冒険者になった。 そこで、そこそこ名の知れた冒険者Dランクのチームの【烈火の羽ばたき】に誘われる。 そこでの生活は主に雑用ばかりで、冒険に行く時でも荷物持ちと管理しかさせて貰えなかった。 それに雑用だけならと給料も安く、何度申請しても値段が上がる事はなかった。 ある時、お前より役に立つ奴が加入すると言われて、チームを追い出される事になった。 散々こき使われたにも関わらず、退職金さえ貰えなかった。 そしてリュカは、ギルドの依頼をこなして行き… 【烈火の羽ばたき】より早くランクを上げる事になるのだが…? このリュカという少年は、チームで戦わせてもらえなかったけど… 魔女の祖母から魔法を習っていて、全属性の魔法が使え… 剣聖の祖父から剣術を習い、同時に鍛治を学んで武具が作れ… 研究者の父親から錬金術を学び、薬学や回復薬など自作出来て… 元料理人の母親から、全ての料理のレシピを叩き込まれ… 更に、母方の祖父がトレジャーハンターでダンジョンの知識を習い… 母方の祖母が魔道具製作者で魔道具製作を伝授された。 努力の先に掴んだチート能力… リュカは自らのに能力を駆使して冒険に旅立つ! リュカの活躍を乞うご期待! HOTランキングで1位になりました! 更に【ファンタジー・SF】でも1位です! 皆様の応援のお陰です! 本当にありがとうございます! HOTランキングに入った作品は幾つか有りましたが、いつも2桁で1桁は今回初です。 しかも…1位になれるなんて…夢じゃ無いかな?…と信じられない気持ちでいっぱいです。

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

処理中です...