異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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4章

233 完全なる決別の証

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「馬鹿っ!馬鹿ッ!!こんなに好きにさせといてっ・・・どうしてっ!?」

「・・・済まない」

「私がどんな思いで今まで過ごしてきたかっ、何も知らないくせにっ!! お兄ちゃんを好きになってっ、どれだけ思い悩んだかっ、欠片も分からないくせにっ!!」


 美鈴は僕の胸に拳を叩きつけながら、思いの丈を語った。
 僕はそれを、黙って受け止めつつ抱き締める。

 ・・・僕は一体何様のつもりなんだ。
 愛する妹をこんな風に泣かせておいて、どの面下げてなぐさめているんだ。

 自分で自分を殺してやりたい気分だ。


「どうして私じゃダメなのっ!?血は繋がってないんだからいいでしょっ!?」

「・・・・・・」

「私だってお兄ちゃんと幸せになりたいのにっ!!優香と同じようにキスだってしたいのにっ!!どうして私のことを拒絶するのっ!?」


 美鈴が涙で濡れた顔を上げて正直な思いをぶつけてくる。
 
 僕は・・・何も答えられなかった。

 美鈴のことは優香と同じくらいに愛しているが、方向性は決定的に違う。
 僕は美鈴のことを、妹としてしか見ることが出来ない。
 一人の女性として見ることができないんだ。


「そんなに優香がいいのっ!?確かにいい子だし文句の付けどころなんてないけどっ、私だって負けてるつもりはないっ!!なのにどうして私はダメなのっ!?」

「・・・・・・」

「ねえ答えてよっ!!どうしてっ!? やっぱり私が化け物だから―――」

「違うっ!!」


 確かに美鈴は人並み外れた能力があるさっ!

 だが、そのことを悪く思ったことなんて一度もないっ!!
 その言い方では、まるで僕が美鈴を化け物扱いしているみたいじゃないかっ!!

 そんなことはあり得ないっ!!


「あ・・・御免、なさい・・・!私、酷いこと言ってっ・・・!」

「いい。いいんだ。美鈴は悪くない。全部僕が悪いに決まってる」


 関係を壊したくないからという理由で中途半端な対応をとり続けた僕が悪い。
 誰がどう見たって僕が悪い。

 だから、美鈴が謝る必要なんて無いんだ。

 そのことを言い聞かせるように、美鈴を抱き締めながら伝える。

 ・・・本当に何様だよ、僕は。


「済まない・・・僕は美鈴を、女性としては見れないんだ・・・」

「うん・・・分かってたよ。あれだけアピールしても、何の反応も無いんだもん」


 ・・・む?


「アピールって何だ・・・?」

「えええっ!?気づいてなかったのっ!?」

「・・・ゴメン。全く心当たりが無い」


 そんなものがあったか・・・?
 いつも通り兄に懐いてくれる可愛い妹だったぞ?

 いや、少し露骨なところはあったし、そのおかげで気づけたわけだが・・・。


「ほらっ、ベッドに入り込んだりっ!足を絡ませたりっ!」

「・・・別に兄妹ならそこまでおかしくないと思うが?」

「嘘っ!?」


 確かに一般的にはブラコン扱いされると思うが、おかしいという程ではないはず。
 いや待て、美鈴のこの反応からして、やはりおかしいのかもしれない。

 ・・・今度優香に相談するか?


「大体、それは兄妹のスキンシップだと美鈴自身が言ったじゃないか」

「あれは言い訳だよっ!!そういう建前でイチャつきたかったのっ!」

「何だって!?」


 じゃあ何か、あれで優香の機嫌を損ねた恐れもあるのか!?
 いかん、今すぐに謝らなければ・・・!


「あ、起きた時も言ったけど、優香の許可はとったよ?私がお兄ちゃんを好きだってことも、言ってある」

「・・・前半は思い出したが、後半は初耳だ」

「うん・・・諦めがつくまで、って条件だけどね? 優香はそんな条件つけなかったけど、そこまで甘える訳にはいかないから・・・」


 僕はつくづく駄目な男らしい。
 優香の想いを少しも理解出来ていなかった。

 クラリアパレスで物足りなさそうにしていたのも、その件による不安を紛らわせたかったのかもしれない。
 そんなことにも気づけないなんて・・・恋人失格だ。

 ・・・いつの間にか美鈴が泣き止んでいる。
 結局何もしてやれなかったな・・・・・・兄としても失格だ。


「・・・お兄ちゃん、ありがと」

「えっ?」

「苦しいことも辛いこともあったけど・・・私、お兄ちゃんのことを好きになれて、本当に良かった・・・!」

「美鈴・・・」


 酷いことをしたというのに、それでもそう言ってくれるのか・・・。


「だからっ・・・今まで、ありがとっ!!」

「っ、美鈴っ!!」


 美鈴は僕が止める間もなく、自分の部屋へ駆けていった。
 二階からドアの閉まる音が聴こえてきた。

 最後のはもしかしなくとも、リアルでの決別の証、だよな・・・。



 僕が自分の部屋に戻ると、そこにはベッドが一つしかなかった。

 FSOを始めてから半月の間、ここには二つのベッドがあったが、今では元通りに一つだけ。僕が帰ってくるまえに美鈴が運んだのだろう。

 腕力は人並みしかないのに、無理をしやがって・・・。


 久しぶりに一人で過ごした夜は、酷く寂しいものだった。
 僕はいつの間にか、美鈴が隣に居ることが当たり前のようになっていたらしい。

 風の音が聴こえる中、僕は一人寂しく眠りについた。

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