妖符師少女の封印絵巻

リュース

文字の大きさ
28 / 91
二章 高校入学編

28 権力濫用?

しおりを挟む
 バスジャック被害に遭っていた皆さんの声が見事に重なりましたね。
 本当に不思議な現象です。

 あ、駆けつけた警官さんの内の一人がこちらに近づいてきます。


「あー、君たちにも事情を伺いたいんだが、署の方までご同行願えますか?」


 事情聴取というやつですね。
 ならば、答えは決まっています。


「はい。当然・・・お断りします!」

「何言ってるの若葉!?」


 凛に仰天されてしまいました。
 警官さんは断られるとは思っていなかったのか、ポカンとしています。


「・・・あの、ですね。できれば同行して頂きたいのですが・・・?他の方から簡単にお話をお聞きしたところ、あなたが犯人確保に協力してくださったとのことですので・・・」

「協力というか、最初から最後まで全部一人でやったけどね・・・」


 凛の指摘に気をとり直していた警官さんは苦笑い。
 人としての範疇は出ていませんでしたので、苦笑いで済んでいます。

 もう二度とバスジャックになど遭わないと思いますが、要注意ですね。


「凛、よく考えて?事情聴取なんてされたら、入学式に間に合わないよ?」

「うっ・・・それは確かに、嫌かも・・・?」

「そして、入学早々遅刻したら、皆に取り残されて友達ができずに・・・」

「あああっ!若葉っ!不吉なこと言わないでっ!」


 どうやら、凛にクリティカルヒットの模様。
 かくいう私も中学の時は、入学早々とある事件で・・・いえ、今は関係ありませんので思い出すのはやめましょう。


「うーん、気持ちは分かるんだけどね?君に来てもらえないと分からないことだらけでね?どうにかお願いできないでしょうか・・・?」

「お断りします・・・!」

「若葉、そんなに力強く即答しなくとも・・・」


 このままでは埒があきませんね。
 仕方が無いので奥の手を使用します。

 先日番号を交換した署長の柴田さんに電話です。


「・・・もしもし、若葉です。実は――――ということでして。はい、はい。ええ、詳細は後でメールしておきますね。はい。ではよろしくお願いします」


 用件を終えたので通話を終了。
 これで問題は解決です。

 ・・・二人とも状況を呑み込めていませんね。


「えっ?えっ?どこに電話してたの、若葉?」

「すぐに分かると思うけど・・・『プルルルルルル!』・・・あ、早いですね」


 目の前に居る警官さんの携帯電話が鳴り始めました。
 署長さん、本当にお仕事が早いです。
 もしかして、私が何かに巻き込まれる可能性を考慮していましたか?

 父と母がご迷惑をお掛けした気がしてならないのですが、同じように問題を起こしたと言えなくもない私ですから、責めることはできませんね。
 これも血の為せる業でしょうか。


「もしもし!・・・えっ、あっ、署長!?はい、はい・・・え?はい、確かに二人居ますが・・・?ええっ!?わ、分かりました!はい、はい。失礼します・・・!」


 どうやら上手くいったみたいですね。
 少なくとも私にはそう聞こえました。


「あー、君たちは来なくともいいそうだから、私はこれで失礼します」

「えっ?」

「はい。お仕事ご苦労様でした」


 警官さんは周囲の人に聞かれないように、小声でそう言ってきました。
 他の皆さんは既にこの場に居ませんが、念の為でしょう。

 私のように五感が鋭い人が居るかもしれませんし、用心に越したことはありません。これも署長さんのいいつけのうちでしょうか。


「それじゃあ凛、私たちは桜台高校に行こう?」

「えっ、う、うん・・・ねぇ、若葉って何者なの・・・?」

「ごく普通の桜台高校新入生ですよ?」

「嘘だっ!」


 さて、早く行きましょう。
 都合のいいことに、桜台高校はすぐそこです。


「ねえ若葉っ!聞いてる!?
 もう何も聞かないから、手を繋ぐのはやめない!?恥ずかしいってば!」








 桜台高校の入口でクラス分け表を貰って、自分のクラスを確認。
 クラスは全部で八つ。
 私のクラスは・・・二組のようです。

 あ、高梨凛という名前が二組にあります。同じクラスですね。
 隣の凛を見ると・・・頬が緩んでいます。


「凛、同じクラスだね?」

「うん、ちょっと安心した・・・!」

「そうですね。頬が緩むくらい安心していたみたいですね」

「えっ!?」


 慌てて口元を抑えましたが、手遅れですよ?

 おっと、まだ敬語が抜けませんね。
 これは時間が解決してくれるのを待ちましょう。


「これはっ、別に喜んでたわけじゃないからねっ!」


 誤魔化すのが下手なのですね。
 私が思っていた通り、素直な人です。

 これが凪沙さんなら少し違った反応をするのですが、どちらも良いと思います。
 凪沙さんは家庭的なタイプで、凛はスポーツマンっぽい印象を受けますね。

 ・・・よく見ると、沢渡凪沙の名前も二組にあります。

 確か一組と二組は成績優秀クラスだったと思うので、偶然の結果とも言えますし、必然とも言えます。

 まだ入学式まで時間がありますが、凪沙さん、どこかに居ませんかね・・・?

しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...