妖符師少女の封印絵巻

リュース

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二章 高校入学編

41 万年彼岸花と川渡り

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 凛はもう三十分ほど走ってから帰るそうなので、それまでに探し物を探します。目的物である<万年彼岸花>は、地図によるとこの先にあるはずなのですが・・・。


「この先、なのですが・・・道がありませんね・・・」


 はい。目の前には川があります。
 迂回路を探したのですが、そんなものはありませんでした。

 そもそも、地図に記された道順ではこの川の真上を通っているので、ここを進めということなのでしょう。

 父と母は私を何だと思っているのでしょうか。
 もしかして、河童かなにかと勘違いしていませんか?
 私はれっきとした泳ぎの苦手な人間です・・・!

 ・・・あ、渡り方が次のページに書いてありました。

 曰く、妖力を靴の裏に集中させて渡るべし。

 書いてある通りに、靴の裏に妖力を集中させます。
 そして、川の上に足を踏み出すと・・・。


「・・・川の上に立ってますね」


 自分でやっておきながらとても不思議な感覚です。
 気分は水上のスケートみたいな感じでしょうかね?

 滑るようにして川を渡り、向こう岸へ到着。
 そこから道なき道を進んで行くと・・・洞穴のような場所がありました。


 ・・・と、ありましたね、<万年彼岸花>が。

 何故洞穴の中に咲いているのかは知りませんが、これで目的達成です。
 必要なだけ摘んで専用の容器にしまっておきましょう。

 そろそろ約束の時間ですので戻らなければ。





「あ、若葉。探し物は見つかったの?」

「うん。ちょっと大変だったけど、見つかったよ?」

「そっか、良かったね」


 凛がいい笑顔で一緒に喜んでくれています。
 やはり、持つべきものは友達ですね。


「でも、大変だったって・・・何があったのさ?」

「えっとね・・・私は河童じゃないと思い知らされたの」

「何の話っ!?どこから河童が出てきたのっ!?」

「さて、凛のお家、楽しみだなぁ・・・」

「自分から言っといて聞いてないし!!」


 あ、結局手土産は適当な消え物を見繕いました。
 鞄に良さげな物が入っていてよかったです。








「あの凛がお友達をっ!? どうぞ上がってくださいませ・・・!」

「あ、はい。お邪魔します。と、こちらはつまならいものですが・・・」

「あっ、これはどうもご丁寧に・・・!」


 凛のお宅にお邪魔したところ、痛く喜ばれてしまいました。
 理由は・・・まあ、大体分かります。


「母さん、大げさだってば」

「だって、貴女が友達を連れてくるなんて初めてだし。それにそもそも、お友達ができること自体初めてじゃないかしら・・・?」


 やはりそういう理由ですか。凛は・・・頬が赤いですね。


「幾ら何でもそんなことはないって!友達くらいいるから!」

「例えば?」

「・・・・・・若葉とか」

「やっぱり他にいないじゃないの」

「ぐっ・・・!」


 軍配は凛のお母さんに上がったようで。
 端から勝ち目のない負け戦だったような気がしてなりません。


「若葉ちゃん!この子は走ってばかりで他に取柄も無いけど、どうか仲良くしてあげてくださいな・・・!」

「はい、勿論です。あ、凛のいいところは沢山ありますよ?例えば――――」

「はいはいそこまでにして!若葉、私の部屋はこっちだから!」

「あ、ちょっ、凛!まだ話が!凛のいいところをせめて十個くらい・・・!」

「言わなくていいから!いくよっ!」


 凛に手を引っ張られて部屋に連行されてしまいました。
 凛のお母さんに会釈しておきます。

 凛のいいところを言い合う古今東西ゲームはまたの機会にでも・・・!


「―――年の割にしっかりした子だったわねぇ。本当に家の子と同い年かしら?」


 ごめんなさい、小声ですけど聞こえています・・・!
 そして、最近同じことをよく言われる気がします・・・!


 かくして、凛のお部屋にお邪魔することになりました。


「無理矢理部屋に連れ込まれちゃった・・・」

「言い方っ! それだと、その、変な意味に聞こえるってば・・・!!」

「変な意味・・・? どういうことですか・・・?」

「えっ、あっ、それは、えっと・・・」


 何故そこでモジモジするのでしょう。
 何か言い辛いことでもあるのでしょうか?

 お手洗い・・・という訳でもなさそうですし・・・。


「ううっ・・・・・・ああもうっ!何でもないっ! それより若葉っ、何か飲み物でも持ってくるから少しだけ待ってて!」

「はい。いつまででもお待ちしてますよ?」

「・・・ねぇ若葉、人誑しって言われない?」

「言われたことありま・・・いえ、凪沙さんに言われましたね」


 ですが。まだこれで人生二度目です。
 きっと二人の思い違いでしょう。

 ・・・百人くらいに言われたら認めてもいいですけどね。


「凛と凪沙さんって気が合うんだねっ・・・!」

「そういう結論になるの!?おかしいおかしい!!」

「ところで、先程お母さんに凪沙さんの名前を挙げなかったのは・・・言うのが恥ずかしかったからですね?」

「ああああっ!? 飲み物取ってくるっ!!」


 凛は顔をボフンと赤くして、すぐさま部屋を出ていきました。
 相変わらず可愛らしいことです・・・。

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