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二章 高校入学編
44 高位悪霊と不穏な影
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凛と別れて自宅に帰ってきました。
摘んできた<万年彼岸花>の下処理を済ませ、<白ポプラ>と一緒に加工。
蒸留水も用意して、いざ<白符>作製です。
それにしても、何故この材料で紙ができるのか、本当に不思議です。
その後の作業では<上位符変換>のようなことにはならず、<白符>は無事完成。
儀式のようなものもいらない単純作業ですので、然程難しくはありませんでした。
妖怪用の<白符>となれば話は変わるのですが・・・そちらはまだいいでしょう。
妖怪自体に対処できないのに、そんなに沢山は要りませんから。
時刻は十五時。
そういえば、昼食を食べなくなって久しいですね。
来週から午後授業が始まるのですが、高校では昼食をどうしましょうか。
自分だけ食べないのは明らかにおかしいですよね?
・・・昼食と夜食になりますかね。
お昼の十二時と夜中の巡回後あたりに頂くことにしましょう。
では、残りの時間は扇と妖力操作の練習をしましょうかね。
もうそろそろ<伍ノ舞>が開放される気がします・・・!
「これ・・・悪霊が多すぎるんじゃないかな・・・?」
「うん。どう見ても多いコン。きっとどこかの誰かが強い負の感情をまき散らし続けた結果だコン」
「迷惑な話だけど、文句を言うのもおかしいし、封印していかないと・・・」
随分と悪霊との遭遇が多かった今夜。気になって屋根の上に飛び乗って確認すると、そこかしこに<低位悪霊>がうろついているのでした。
人々に負の感情を抱くな、などとは言えませんし・・・。
元を断つという最終手段も発生元が分からなければ不可能です。
地道にやっていくしかありませんね。
まずは予定通りの巡回を済ませて、その後で残業(?)です。
「っ、<烈破>っ!!」
「%#$%$&%!!」
「はぁぁぁっ!『参ノ舞・大王扇』っ!」
巨大化した扇をギリギリ回避し損ねてダメージを喰らったのは<高位悪霊>。
今回は前回と逆で、高位になりたての個体でした。
目の前で<中位悪霊>が寄り固まって変化するのを見ているしか出来ないというのは、途轍もなく歯がゆかったです。何度も手を出しそうになりました。
結局、変化し終えるまで手を出さずに、変化が完了した瞬間を狙って不意打ちでダメージを与えました。
そのおかげで、危うい綱渡りではありますが、ここまでは常に主導権を握ったまま優勢を維持できています。
「はぁ、はぁ・・・っ、ぐっ!」
ここで初めて一撃被弾しましたが、所詮はただの体当たり。
あの時の腕のようなナニカによる一撃に比べれば、随分マシです。
それに、これは予定調和っ・・・!
「捉えたっ!『伍ノ舞・天地反逆扇』ッッ!!」
ドゴッ!!という音とともに、<高位悪霊は>弾き飛ばされました。
この<伍ノ舞・天地反逆扇>は、簡単に言うとカウンター技です。
自分が攻撃を受けることで敢えて敵を懐に引き込み、渾身の力で一撃をお見舞いするための舞。
敵の様子を見るに、その威力はかなり高いです。
仕組みは完全には分かりません。
ですが、自分が受けたダメージを扇に込めていることは何となく分かります。
ダメージを負う必要があるのでかなり使い勝手が悪いですが、今のように状況次第では有効でしょう。
注意点は、次の攻撃に移れない程のダメージを負うと使えないことですかね。
それでは、詰みといきましょう。
「ふぅぅぅ・・・『肆ノ舞・天国昇扇』っっ!!」
「$#%$%$%!?」
残った妖力を一度に全て開放し、隙の出来ていた敵に叩き込みました。
このままノロノロ戦っていては、他の悪霊が寄ってきかねませんから。
この後で再度<高位悪霊>に遭遇する恐れもありますが、そこは確率の問題。
低位や中位が戦い中にやってくる確率の方が高いんです。
と、瀕死の<高位悪霊>に<白符>を飛ばし、封印成功。
妖力も残っていないので、もう帰りましょう。
「フォーン、<高位悪霊>は一年に一度現れれば運が悪いって本に書いてあったんだけれどな・・・」
<うん・・・何かきな臭いものを感じるコン>
フォーンも同意見のようです。
何かしらの意志ある存在が、意図的に悪霊誕生を誘発している恐れさえあります。
ただの偶然、という可能性も普通に高いのですけれど・・・。
でも、そんなことが可能なのは・・・・・・最低でも妖怪クラスでしょうね。
この鳥居町で何が起きているのでしょうか・・・。
今夜は、吹き付ける夜風が、一段と冷たく感じます。
▽▽▽
鳥居町のとある場所にて。
「――――ちっ、悪霊の減りが早い。何者かが手を打ってんのか? はぁ、折角過ごしやすい町を見つけたというのに。見つけたらタダでは済まさねぇぞ・・・! ん?丁度おあつらえ向きに負の感情を出しまくっている奴がいるじゃねぇか。コイツを使うとするか」
怒りを湛えた声が夜闇に響いたが、その声を聞いた者は誰も居なかった。
摘んできた<万年彼岸花>の下処理を済ませ、<白ポプラ>と一緒に加工。
蒸留水も用意して、いざ<白符>作製です。
それにしても、何故この材料で紙ができるのか、本当に不思議です。
その後の作業では<上位符変換>のようなことにはならず、<白符>は無事完成。
儀式のようなものもいらない単純作業ですので、然程難しくはありませんでした。
妖怪用の<白符>となれば話は変わるのですが・・・そちらはまだいいでしょう。
妖怪自体に対処できないのに、そんなに沢山は要りませんから。
時刻は十五時。
そういえば、昼食を食べなくなって久しいですね。
来週から午後授業が始まるのですが、高校では昼食をどうしましょうか。
自分だけ食べないのは明らかにおかしいですよね?
・・・昼食と夜食になりますかね。
お昼の十二時と夜中の巡回後あたりに頂くことにしましょう。
では、残りの時間は扇と妖力操作の練習をしましょうかね。
もうそろそろ<伍ノ舞>が開放される気がします・・・!
「これ・・・悪霊が多すぎるんじゃないかな・・・?」
「うん。どう見ても多いコン。きっとどこかの誰かが強い負の感情をまき散らし続けた結果だコン」
「迷惑な話だけど、文句を言うのもおかしいし、封印していかないと・・・」
随分と悪霊との遭遇が多かった今夜。気になって屋根の上に飛び乗って確認すると、そこかしこに<低位悪霊>がうろついているのでした。
人々に負の感情を抱くな、などとは言えませんし・・・。
元を断つという最終手段も発生元が分からなければ不可能です。
地道にやっていくしかありませんね。
まずは予定通りの巡回を済ませて、その後で残業(?)です。
「っ、<烈破>っ!!」
「%#$%$&%!!」
「はぁぁぁっ!『参ノ舞・大王扇』っ!」
巨大化した扇をギリギリ回避し損ねてダメージを喰らったのは<高位悪霊>。
今回は前回と逆で、高位になりたての個体でした。
目の前で<中位悪霊>が寄り固まって変化するのを見ているしか出来ないというのは、途轍もなく歯がゆかったです。何度も手を出しそうになりました。
結局、変化し終えるまで手を出さずに、変化が完了した瞬間を狙って不意打ちでダメージを与えました。
そのおかげで、危うい綱渡りではありますが、ここまでは常に主導権を握ったまま優勢を維持できています。
「はぁ、はぁ・・・っ、ぐっ!」
ここで初めて一撃被弾しましたが、所詮はただの体当たり。
あの時の腕のようなナニカによる一撃に比べれば、随分マシです。
それに、これは予定調和っ・・・!
「捉えたっ!『伍ノ舞・天地反逆扇』ッッ!!」
ドゴッ!!という音とともに、<高位悪霊は>弾き飛ばされました。
この<伍ノ舞・天地反逆扇>は、簡単に言うとカウンター技です。
自分が攻撃を受けることで敢えて敵を懐に引き込み、渾身の力で一撃をお見舞いするための舞。
敵の様子を見るに、その威力はかなり高いです。
仕組みは完全には分かりません。
ですが、自分が受けたダメージを扇に込めていることは何となく分かります。
ダメージを負う必要があるのでかなり使い勝手が悪いですが、今のように状況次第では有効でしょう。
注意点は、次の攻撃に移れない程のダメージを負うと使えないことですかね。
それでは、詰みといきましょう。
「ふぅぅぅ・・・『肆ノ舞・天国昇扇』っっ!!」
「$#%$%$%!?」
残った妖力を一度に全て開放し、隙の出来ていた敵に叩き込みました。
このままノロノロ戦っていては、他の悪霊が寄ってきかねませんから。
この後で再度<高位悪霊>に遭遇する恐れもありますが、そこは確率の問題。
低位や中位が戦い中にやってくる確率の方が高いんです。
と、瀕死の<高位悪霊>に<白符>を飛ばし、封印成功。
妖力も残っていないので、もう帰りましょう。
「フォーン、<高位悪霊>は一年に一度現れれば運が悪いって本に書いてあったんだけれどな・・・」
<うん・・・何かきな臭いものを感じるコン>
フォーンも同意見のようです。
何かしらの意志ある存在が、意図的に悪霊誕生を誘発している恐れさえあります。
ただの偶然、という可能性も普通に高いのですけれど・・・。
でも、そんなことが可能なのは・・・・・・最低でも妖怪クラスでしょうね。
この鳥居町で何が起きているのでしょうか・・・。
今夜は、吹き付ける夜風が、一段と冷たく感じます。
▽▽▽
鳥居町のとある場所にて。
「――――ちっ、悪霊の減りが早い。何者かが手を打ってんのか? はぁ、折角過ごしやすい町を見つけたというのに。見つけたらタダでは済まさねぇぞ・・・! ん?丁度おあつらえ向きに負の感情を出しまくっている奴がいるじゃねぇか。コイツを使うとするか」
怒りを湛えた声が夜闇に響いたが、その声を聞いた者は誰も居なかった。
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