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三章 水の怪異編
60 若葉の成長
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押し入れに閉じ込められていた幼女は、外が騒がしいのを感じ取った。
自分に暴力を振るっている男とは別の声で別の足音。
「誰かいるのであれば返事をしてくださいっ・・・!」
それは、聞き覚えの無い女性の声だったが、酷く安心する心地の良い声だった。
彼女は、助けを求める為に戸を叩き、声を上げた。
ダンダンダン!
「たす、けてっ・・・!」
小さい手では碌に音を出せず、声はかすれてとても小さいものだった。
だが、その音を聴き逃さなかった女性が直ちに駆けつけ、押入れの鍵を外した。
扉をゆっくりと開き、中に電球の光が入った。
「見つけました・・・! こんなに傷だらけで・・・もう大丈夫だからね?」
「ぅ、あ・・・うあああああんっ!!」
「よしよし・・・今までよく頑張ったね。あなたはとっても強い子だよ・・・」
幼女は年上に見える優しそうな女性に抱き着いて、疲れて眠るまで泣き続けた。
女性、影山若葉は女の子を抱き締めて、安心させるように撫で続けるのだった。
△△△
押し入れに閉じ込められていた女の子を助け出し、抱き締めること十分程。
体と精神が限界になったのか、スヤスヤと眠り始めました。
今日までよく耐えてくれましたね・・・。
まだ小学生も半ばでしょうに、強い子です。
女の子を抱えて玄関まで向かうと、丁度男が駆けつけた応援の警察官に連れていかれるところでした。
「影山さん、見つけたんですね!救急車が来てますのでそちらにお願いします」
「分かりました・・・と言いたいところですが、白石さんが運んでください。私は後始末がありますから」
「へ? ああ、分かりました。僕の部屋と同じですね。では、失礼して・・・」
皆まで言わずとも分かってくれたようで、女の子を受け取ってくれました。
後始末というのは勿論・・・この部屋に居る大量の悪霊のことです。
先程から鬱陶しく、こちらに攻撃してきています。
回避に専念していましたが、中々に大変でした。
数えると、<低位悪霊>が六十九体、<中位悪霊>が五体、<高位悪霊>が一体。
どこの戦場かというほどに多いですね。
墓場とかだと、意外と少ないんですけども。
さて、妖符<鎌鼬>はもう使えませんし、<多尾幻扇>だけで何とかしなくては。
いえ、無理をすれば使えないこともないんですけどね?
ロングコートを羽織り、黄色の<妖符>を人差し指と中指に挟んで、と。
「我求めるはこの世ならざる妖の力。
我が求めに応じ、今現世に現れ出でよ。
汝は扇となりしモノ・・・武装召喚<多尾狐>『フォーン』!」
戦闘開始です。まずは<低位悪霊>から減らしましょう。
「多尾幻扇『参ノ舞・大王扇』っ!」
妖力を流し込んで巨大化した扇で<低位悪霊>を一網打尽に。
<若葉っ、左コンっ!>
「んぐっ、多尾幻扇『伍ノ舞・天地反逆扇』っ!」
「!!!!!」
左側から高速で迫っていた<高位悪霊>をカウンターで弾き飛ばしました。
「多尾幻扇『壱ノ舞・悠扇乱舞』っ!
多尾幻扇『弐ノ舞・硬扇五連』っ!」
続いて方々から迫っていた<中位悪霊>を全力の連撃で撃退。
「<衝破>ッ!!」
懐から取り出した<中位符>を二枚起爆し、<中位悪霊>は全滅。
ついでに残っていた<低位悪霊>も殲滅完了です。
「&&&$&%&%$!!」
「くっ・・・!」
舞い戻ってきた<高位悪霊>の攻撃を扇で受け止め・・・弾き飛ばされました。
行動した直後だった故に、足運びが上手くいかなかったのが原因です。
・・・あ、ドアが開いているせいで外にまで飛ばされてしまいました。
しかも角度が悪く、マンションの壁を飛び越えて落下です。
なんと運の無いことでしょうか・・・。
妖力を足に集中させつつ体勢を整え、衝撃を殺しつつ地面に着地。
二階でしたし、少し衝撃を感じただけで済みました。
・・・改めて人間を外れてきていることを実感しましたね。
「ちょっ、うええっ!? 影山さんが落ちてきたっ・・・!?」
あ、認識阻害を発動し忘れてました。
その場に残っていたのが白石さんだけで良かったですね。
どのみち、偶然誰かに見られても、あまり記憶には残らないと思いますけど。
そんなことを考えている間に、再び<高位悪霊>が接近。
またしても弾き飛ばされましたが、今回はわざとです。
ちゃんと飛ばされる方向まで調整して、電信柱の側面に着地。
飛ばされた勢いを利用して電信柱を蹴り、<高位悪霊>へ急接近。
「多尾幻扇『参ノ舞・大王扇』
多尾幻扇『弐ノ舞・硬扇』
大いなる扇よ、硬き扇と掛け合わさり、その威を示せ!
・・・・・・変則多尾幻扇『陸ノ舞・大王硬扇』っ!!」
<何をどうやったらそうなるコン!?<陸ノ舞>は『多尾狐扇』だコンっ!?」
ですから、「変則」と付けたんですよ?
自分なりに<多尾幻扇>について研究した結果、できると思ったんです。
簡単に言えば、『弐ノ舞・硬扇』の<硬化>と<サイズ変更なし>といった要素を全て抽出し、前者のみを用いているんです。
同様に、『参ノ舞・大王扇』の<巨大化>と<重量変化>という部分のみを切り取って使っています。
そして、両者をかけ合わせれば、変則舞の完成。
気分はジグソーパズルですね。
引っ付かない組み合わせもあるので要注意です。
巨大かつ硬化した<多尾幻扇>に押しつぶされた<高位悪霊>は瀕死。
直ちに<白符>を飛ばして封印します。
変則舞は威力不足に悩んでいた状況を改善してくれそうです。
あの<肆ノ舞>は威力が高いですが、自爆技なので使い辛いんです。
それにしても、随分とスムーズに倒せましたね。
私の職業<妖符師>は悪霊や妖怪を倒せば倒すほど相手の妖力などを吸収して強くなれるそうですが、当然強い相手を倒した方が強くなれます。
ゲームでいうところの位階やレベルに近いかもしれません。
あの<鎌鼬>を倒して大きく成長したと考えておきましょう。
では、部屋に置き去りとなった<妖符>を回収に行きましょうかね。
自分に暴力を振るっている男とは別の声で別の足音。
「誰かいるのであれば返事をしてくださいっ・・・!」
それは、聞き覚えの無い女性の声だったが、酷く安心する心地の良い声だった。
彼女は、助けを求める為に戸を叩き、声を上げた。
ダンダンダン!
「たす、けてっ・・・!」
小さい手では碌に音を出せず、声はかすれてとても小さいものだった。
だが、その音を聴き逃さなかった女性が直ちに駆けつけ、押入れの鍵を外した。
扉をゆっくりと開き、中に電球の光が入った。
「見つけました・・・! こんなに傷だらけで・・・もう大丈夫だからね?」
「ぅ、あ・・・うあああああんっ!!」
「よしよし・・・今までよく頑張ったね。あなたはとっても強い子だよ・・・」
幼女は年上に見える優しそうな女性に抱き着いて、疲れて眠るまで泣き続けた。
女性、影山若葉は女の子を抱き締めて、安心させるように撫で続けるのだった。
△△△
押し入れに閉じ込められていた女の子を助け出し、抱き締めること十分程。
体と精神が限界になったのか、スヤスヤと眠り始めました。
今日までよく耐えてくれましたね・・・。
まだ小学生も半ばでしょうに、強い子です。
女の子を抱えて玄関まで向かうと、丁度男が駆けつけた応援の警察官に連れていかれるところでした。
「影山さん、見つけたんですね!救急車が来てますのでそちらにお願いします」
「分かりました・・・と言いたいところですが、白石さんが運んでください。私は後始末がありますから」
「へ? ああ、分かりました。僕の部屋と同じですね。では、失礼して・・・」
皆まで言わずとも分かってくれたようで、女の子を受け取ってくれました。
後始末というのは勿論・・・この部屋に居る大量の悪霊のことです。
先程から鬱陶しく、こちらに攻撃してきています。
回避に専念していましたが、中々に大変でした。
数えると、<低位悪霊>が六十九体、<中位悪霊>が五体、<高位悪霊>が一体。
どこの戦場かというほどに多いですね。
墓場とかだと、意外と少ないんですけども。
さて、妖符<鎌鼬>はもう使えませんし、<多尾幻扇>だけで何とかしなくては。
いえ、無理をすれば使えないこともないんですけどね?
ロングコートを羽織り、黄色の<妖符>を人差し指と中指に挟んで、と。
「我求めるはこの世ならざる妖の力。
我が求めに応じ、今現世に現れ出でよ。
汝は扇となりしモノ・・・武装召喚<多尾狐>『フォーン』!」
戦闘開始です。まずは<低位悪霊>から減らしましょう。
「多尾幻扇『参ノ舞・大王扇』っ!」
妖力を流し込んで巨大化した扇で<低位悪霊>を一網打尽に。
<若葉っ、左コンっ!>
「んぐっ、多尾幻扇『伍ノ舞・天地反逆扇』っ!」
「!!!!!」
左側から高速で迫っていた<高位悪霊>をカウンターで弾き飛ばしました。
「多尾幻扇『壱ノ舞・悠扇乱舞』っ!
多尾幻扇『弐ノ舞・硬扇五連』っ!」
続いて方々から迫っていた<中位悪霊>を全力の連撃で撃退。
「<衝破>ッ!!」
懐から取り出した<中位符>を二枚起爆し、<中位悪霊>は全滅。
ついでに残っていた<低位悪霊>も殲滅完了です。
「&&&$&%&%$!!」
「くっ・・・!」
舞い戻ってきた<高位悪霊>の攻撃を扇で受け止め・・・弾き飛ばされました。
行動した直後だった故に、足運びが上手くいかなかったのが原因です。
・・・あ、ドアが開いているせいで外にまで飛ばされてしまいました。
しかも角度が悪く、マンションの壁を飛び越えて落下です。
なんと運の無いことでしょうか・・・。
妖力を足に集中させつつ体勢を整え、衝撃を殺しつつ地面に着地。
二階でしたし、少し衝撃を感じただけで済みました。
・・・改めて人間を外れてきていることを実感しましたね。
「ちょっ、うええっ!? 影山さんが落ちてきたっ・・・!?」
あ、認識阻害を発動し忘れてました。
その場に残っていたのが白石さんだけで良かったですね。
どのみち、偶然誰かに見られても、あまり記憶には残らないと思いますけど。
そんなことを考えている間に、再び<高位悪霊>が接近。
またしても弾き飛ばされましたが、今回はわざとです。
ちゃんと飛ばされる方向まで調整して、電信柱の側面に着地。
飛ばされた勢いを利用して電信柱を蹴り、<高位悪霊>へ急接近。
「多尾幻扇『参ノ舞・大王扇』
多尾幻扇『弐ノ舞・硬扇』
大いなる扇よ、硬き扇と掛け合わさり、その威を示せ!
・・・・・・変則多尾幻扇『陸ノ舞・大王硬扇』っ!!」
<何をどうやったらそうなるコン!?<陸ノ舞>は『多尾狐扇』だコンっ!?」
ですから、「変則」と付けたんですよ?
自分なりに<多尾幻扇>について研究した結果、できると思ったんです。
簡単に言えば、『弐ノ舞・硬扇』の<硬化>と<サイズ変更なし>といった要素を全て抽出し、前者のみを用いているんです。
同様に、『参ノ舞・大王扇』の<巨大化>と<重量変化>という部分のみを切り取って使っています。
そして、両者をかけ合わせれば、変則舞の完成。
気分はジグソーパズルですね。
引っ付かない組み合わせもあるので要注意です。
巨大かつ硬化した<多尾幻扇>に押しつぶされた<高位悪霊>は瀕死。
直ちに<白符>を飛ばして封印します。
変則舞は威力不足に悩んでいた状況を改善してくれそうです。
あの<肆ノ舞>は威力が高いですが、自爆技なので使い辛いんです。
それにしても、随分とスムーズに倒せましたね。
私の職業<妖符師>は悪霊や妖怪を倒せば倒すほど相手の妖力などを吸収して強くなれるそうですが、当然強い相手を倒した方が強くなれます。
ゲームでいうところの位階やレベルに近いかもしれません。
あの<鎌鼬>を倒して大きく成長したと考えておきましょう。
では、部屋に置き去りとなった<妖符>を回収に行きましょうかね。
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