妖符師少女の封印絵巻

リュース

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三章 水の怪異編

61 金曜四限は体育の授業

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 封印するだけ封印して放置していた<妖符>を回収しました。


「影山さんって、何者なんですか・・・?」

「え・・・私、ですか?」


 戦闘を見られてしまいましたから、その疑問も当然ですね。
 悪霊は見えずとも私の動きは見えていた訳ですし。

 ここで<妖符師>だと答えるわけにはいきませんが・・・。


「私、霊能力者なんです・・・!」

「私の知ってる霊能力者はあんな風に飛び回らないんですけど・・・」

「では、スタントマンということで」

「いやいや ”では” って何ですか・・・。いえ、答えたくないなら答えなくていいんですよ、ええ。興味本位で聞いただけですから」


 それでは、有難く黙秘させて頂きましょう。
 理解が早くて助かります。

 これで、私の正体を知ってしまったら・・・。


「誰だって闇に葬られたくはありませんものね・・・」

「怖っ!?二度と聞かないので勘弁してくださいっ!!」


 いえ、別に命をとる訳ではありませんからね?

 ただ、人には言えないような仕事についてもらうとか、そういう対応はします。
 状況に応じた適当な選択をするので、割と融通は利くんです。


「それでは、私はお暇しますね。今後ともあやかし屋をよろしくお願いします」

「はい、また何かあった時は頼ませてもらいます。お疲れ様でした」


 という訳で一件落着です。
 もう咲良さんも帰っている時間でしょうし、即刻帰宅です。

 助けた女の子には、時間を見て会いにでもいきましょうかね。



 〇〇〇



「はむはむ・・・もぐもぐ・・・」

「わぁぁぁ・・・! 可愛いですっ・・・!!」


 帰宅ついでに巡回をし、帰ってきたらフォーンのお楽しみタイム。

 咲良さんが、フォーンが油揚げを食べる様子を見て、目を輝かせています。
 目に妖力を集中させて、フォーンをちゃんと視認しているんです。

 咲良さんは<妖符師>ではないので本来出来ないことのはずなんですが、彼女が盲目だったせいもあるのか、目に妖力を集めることだけは可能なようです。

 彼女も、契約する妖怪さえ居れば<妖符師>になれなくもないんですけどね。
 危険なのでやらせるつもりはありません。

 ところで、フォーンの尻尾が激しく揺れてブレているせいか、数が多く見えます。
 一瞬とはいえ三本の尾が五本に見えるなど、余程激しく動かしている証拠ですね。


「さて、もう寝ましょうか。咲良さん、明日もよろしくお願いしますね?」

「はい、任せてください、若葉お姉さん!」


 とてもいい返事です。
 咲良さんを部屋に戻して・・・私は妖力操作の練習です。

 明け方まで時間がありますし、少しでも能力向上を目指します。
 技一つ使うにも、妖力操作が甘いと無駄な妖力を垂れ流してしまいますからね。

 凛のように走って、体力をつけることもした方がいいのでしょうか・・・?










 翌日の金曜日、朝のニュースを見ながら朝食を頂きます。

 今日のトピックは・・・


『来週半ばに大型台風が接近か?』
『実の娘に暴行をはたらいていた男を逮捕』
『二人で下校していた市内の中学生が行方不明』
『国際テロリストが犯行声明。次の標的はイギリスか?』


 色々と物騒ですが、私の周りはごく平和です。
 先日死にかけておいて平和というのは変な話ですけども。

 そういえば、<鎌鼬>については何故この町にきたのか分からず仕舞いでしたね。
 そんなことを聞く余裕もありませんでしたし、それは仕方ないのですが・・・。

 私の持つ<鎌鼬>の妖符から情報を引き出すのは・・・現状不可能です。
 これにはある程度の信用関係が無いといけませんから。

 自分を倒して封印した相手を信用・・・まあ、無理ですね。

 ただの野良妖怪だといいんですけど・・・。


 ・・・と、思考に耽っていたら、もう家を出る時間です。


「咲良さん、あとはお願いしますね?」

「ふぁい・・・ん、いってらっしゃい、若葉お姉さん」


 まだ朝食を食べている途中の咲良さんに見送られ、今日も通学です。








 この日は四限に体育の授業がありました。
 何だかんだでオリエンテーション以来初めての参加ですね。

 授業の内容なのですが、四月一杯はマラソンだそうです。
 体力づくりと少し先にある新体力テストに備えて、らしいです。


「それじゃあ、外周を十周した人から終わっていいからね!よーい、スタート!」


 えっと・・・授業の時間は五十分。
 準備体操などを抜くと四十分。

 一周を四分くらいで走れば丁度ですね。
 これなら目立たずに済むでしょう。

 一周は・・・確か一キロメートルに届かないくらいでしたっけ?
 速度は・・・計算が面倒ですね。
 校舎の外壁に備えられている時計を見ながら走れば、何とかなるでしょう。

 丁度、凛がすぐ傍にいることですし、なんとかなります・・・!

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