妖符師少女の封印絵巻

リュース

文字の大きさ
65 / 91
三章 水の怪異編

65 先生のお宅訪問

しおりを挟む
 丁度明日から土曜日で高校がお休みなので、その時間で調査をしましょう。


「そういう訳ですので、明日は一日留守にしますね?」

「分かりました。お店のことは私に任せてください!」

「では、よろしくお願いします。ですが、ちゃんと適当な時間で店じまいにして、自分の時間もつくること。これは店長命令です」

「ううっ・・・分かりました」


 あやかし屋に帰ってきて、明日からの予定を咲良さんに伝えました。

 ただでさえ平日の午前中にお願いしているのですから、これ以上はオーバーワークになりかねませんので。そこだけはちゃんと言い含めておきます。
 咲良さんはとても真面目で頑張り屋さんですが、休憩も必要ですからね。



 ▽▽▽



 時刻は夜。
 とある川の脇にある道を、帰宅中の男子高生二人が歩いていた。


「それでさ、まーたあいつがミスしてさ」

「またかよ。ほんと懲りねぇよな。今度締めとくか?」

「そうしよぜ。これも教育ってやつだし別にゴボッ!?」

「ん?どうしたゴボッ!?」


 二人の男子生徒は一瞬で、何者かに川に引きずり込まれてしまった。
 当然二人は溺れることになり、そのまま息を引き取った。

 しばらくして川から姿を現したのは・・・<河童>であった。


「・・・負の感情は、まあまあか。やはりこのやり方だと効率が良いな。とはいえ、いつまでも道草食ってると<牛鬼>様にどやされかねない。本格的に探すか」


 この妖怪<河童>は高位妖怪<牛鬼>の命令を受けて、<鎌鼬>を殺した存在を追っている最中である。

 とはいえ、彼らの時間間隔は人間よりルーズなので、こうして負の感情を取り込むために道草を食っているのである。


「さて、次はどこの町に向かうか・・・・・・よし、俺はこの川を南へ下るとして、<泥田坊>の奴は東へ行かせるとしよう」


 妖怪<河童>は部下であり格下の妖怪である<泥田坊>と別行動をとることにして、次の目的地を決定した。


「確かこの川から東の方にある町は・・・鳥居町だったか?焼鳥町とかいう情報に掠ってないこともないが、流石にこんな間違い方はしないよな・・・?」

 妖怪<河童>はそう結論付け、再び川に潜った。

 こうして、ニュースにもあった行方不明事件は加速するのだった。



 △△△



 土曜日の朝早く、調査のために行動開始です。
 笹川先生の悩みを解決してみせましょう。

 とはいえ、最初は先生頼りなんですけどね。


「そういう訳で、そのストーカーが現れたら私が尾行します」

「それはいいんですが、生徒に家を知られるというのも、むず痒いですね・・・」


 只今、笹川先生のお宅前にお邪魔しているのですが、先生の顔が赤いです。
 同性を家に上げるのがそんなに恥ずかしいのでしょうか。


「男子生徒の方が良かったですか?」

「それだと余計に不味いですからっ!!というか、もはや大問題ですっ!!」


 言われてみればもっともですね。
 私、女性でよかったです。

 と、先生が鍵を開けてくださいましたので、家の中にお邪魔します。
 まだお若いのに、小さいとはいえ持ち家とは・・・凄いですね。

 そして、家の中にある私室には・・・。


「先生、どうして可愛いぬいぐるみが置いて無いのでしょうかっ・・・!?」

「影山さんが私にどういうイメージを持っているのか大変良く分かりましたっ!!」

「先生のように可愛らしい人がぬいぐるみを持っていないはずがありませんっ」

「無い物は無いんですから仕方ないでしょう!?」


 いいえ、絶対にあるはずです・・・!
 私の<妖符師>としての勘があると言っています・・・!

 ・・・きっと、私が来る前に隠したのでしょう。

 なんという惨い真似を・・・!


「笹川先生、外道ですっ・・・!鬼畜ですっ・・・!」

「いきなり罵倒!?一体何の話ですかっ!?」


 意地でも認めないようですね。
 こうなったら、奥の手です。

 妖力を使って嗅覚を強化します。
 これでぬいぐるみ独特の匂いを嗅ぎ分けるんです・・・!

 くんくん・・・・・・見つけましたっ!


「笹川先生、あそこの引き出しを開けてもよろしいですか?」

「なっ・・・ど、どうしてですか?」


 この反応は、やはりそこにあるようですね。


「そこにぬいぐるみがあるからですっ・・・!」

「登山家みたいなセリフっ!」

「可愛い可愛いクマさんですねっ・・・!?」

「何故そこまでっ・・・あっ」


 語るに落ちましたね。
 これにて一件落着です。

 ・・・いえ、違います。そんなことをしにきたのではないんです。


「影山さん、違うんですっ!今のは、その・・・言葉の綾でっ!」

「そんなことはどうでもいいですっ・・・!」

「どうでもいい!?」


 どうでもよくはありませんが、今はそれどころではありませんので。


「ターゲットが来ますので、見つからないように気を付けてください」

「えっ・・・!?」


 妖力センサーが反応しています。

 先生の体がビクリトと跳ねました。
 トラウマになりかけてますね、これは。

 ストーカーには少し痛い目に遭ってもらった方がいいかもしれませんね。

しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...