異世界隠密冒険記

リュース

文字の大きさ
112 / 600
第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

決着と瞳の謎

しおりを挟む
 ゲイザーの残りHPは三割。

 触手も全て失い、大幅に戦闘力を削がれている。


 その上、橙の瞳による限界突破も出来ないだろう。

 この場にはマリアが居るため、緑の瞳と同じく、開くことができない。

 そのため、触手の大量生成は出来ず、再生も自己回復に頼るしかない。

 万が一橙の瞳を発動してきたら、クロトは一度仕切り直すつもりだ。


「エメラ、マリア、一気に決めるよ!」

「ん・・・!」

「了解ですわ!」


 マリアの剣も魔法存在が回収したため、準備は万全。


「「限界突破!」」

「ブレイン・アクセラレーション!」


 マリアとエメラは限界突破を、クロトは天脳加速を、それぞれ発動した。


 ゲイザーにクロトとマリア、エメラ、分身二体が迫る。


 正面で戦うのはクロト。

 残りの四人は、側面と背後に回った。


 クロトとゲイザーの正面からの戦いは、互角。

 いや、クロトが押している。

 全能力値一万越えは伊達ではない。


 ゲイザーは未来視を使用しながら、回避に専念するしかない。

 しかし、クロトの限界まで加速した思考は、未来視に追いついてしまう。

 ゲイザーには、回避しても回避しても、クロトの攻撃が迫る。


 はっきり言って、クロトの相手だけで手一杯だ。

 そこに、エメラたちが追い打ちをかける。


「風神烈剣・雷纏!」

「天魔剣・灰刃!」

「「極天龍連閃・神絶!」」


 ゲイザーは全ての攻撃をまともに喰らったが、気にしてなどいられない。

 少しでも気を抜けば、目の前に居る存在に葬られる。

 それを本能的に察していたのだ。


 クロトからすれば、予想通りの展開だ。

 クロトに警戒を向けるばかりに、エメラたちを気にも留めない。

 彼女たちは、決して舐めてかかっていい存在ではないというのに。


 戦闘開始から三十分。

 ゲイザーの残りHPは一割未満。

 ここまで、クロトはダメージを与えていない。

 二割ほどは、エメラとマリアが削ったのだ。


 分身は二人のサポートをさせている。

 そうした方が、クロト本体の動きが微妙に良くなる。

 割かれる思考能力は少ない方が良い。


 ようやくエメラたちにも警戒を向けたゲイザーだが、ここにきてそれは悪手。

 一瞬とはいえ、正面のクロトから意識を逸らしてしまったのだから。

 天脳加速状態のクロトからすれば、永遠にも匹敵する一瞬の隙。

 
 月影神の龍剣に、炎、氷、雷、地、空間、龍力、超隠蔽を纏わせる。

 隠密者を発動させ・・・


「神天一閃・龍絶!」


 ゲイザーは再生したばかりの触手を切り落とされ、体を大きく切り裂かれた。


 一瞬でも注意を逸らせば、クロトは敵の認識から外れることができる。

 それが、この世界でクロトを支え続けて来た、隠密者の力なのだから。


 クロトは隠密者の更なる可能性に思いを馳せながら、叫んだ。


「マリア、エメラ、合わせて!」


 その叫びの意味を正確に理解した二人は、行動に移る。

 それぞれが、自分の最強技を発動させようとしている。


 ゲイザーは瀕死になりつつも、二人に迫る。

 そこを守るのは、クロトと二体の分身。


 最後の力を振り絞ったゲイザーの攻撃に、分身二体が対応。

 
「「極天龍一閃・神絶!」」


 再生した最後の触手を切り飛ばされ、攻撃手段が無くなったゲイザー。

 無駄だと分かっていながら、レーザーを放つ。

 クロトは鏡面世界を使わない。

 使用回数を消費する必要などないのだ。


 そのまま正面からレーザーを受ける。

 顔に直撃するも、死亡ダメージであるため、神天魔の法衣の効果が発動。

 一日一度の、死亡ダメージ無効化効果だ。


 そして・・・


「風雷神烈剣・風天二連!」

「天魔神剣・黄昏!」

「神天九曜連閃・龍絶!」


 エメラの、風と雷を限界まで纏った二連撃。

 マリアの、光と闇を衝突させて膨大なエネルギーを持った一撃。

 クロトが新たに開発した、九連撃。


 全てを無抵抗に喰らったゲイザーは、呆気なく絶命したのだった。




 戦闘を終えて数分で、マリアとエメラは倒れ伏した。

 限界突破の効果が切れたのだ。


 クロトはあと数十分は平気なので、戦闘を振り返ってみる。


(呆気なく勝てたように思えるけど、意外とギリギリだったかも・・・?)


 クロトが最初に思ったのは、これに尽きる。

 橙と緑の瞳を封印された状態でも、制限時間ギリギリの勝利だ。

 前回戦った時は、よく勝てたものだ。


(先の話だけど、ヴィオラとアクアを連れてくれば、更に有利に戦えるかな?)


 流石にあの二人をゲイザーと戦わせるのは時期尚早。

 最低でも、二人ともレベルが90台に乗るまではお預けだろう。


 瞳が発動できなくなった理由は、現時点では不明だが、要考察事項だ。


 クロトは一通り考察を終えた後、眠りに落ちた。

しおりを挟む
感想 1,172

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。