異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

膝枕と解体

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 クロトは目を覚ました。

 すると、後頭部に、なにやら柔らかい感覚が。

 手を伸ばして確認してみる。


「んあっ・・・!?クロ、ト・・・?起き、た、の・・・?」

「うん・・・?エメラ・・・?」


 クロトはエメラの艶が混じった声で、完全に目を覚ました。

 そして、自分がエメラに膝枕されていることに気づく。


「エメラ、これは一体・・・?」

「ん・・・。膝枕・・・してみた、かった、から・・・。」


 エメラはクロトの顔を覗き込みながら、そう言った。

 少し恥ずかしいのか、頬が赤く染まっている。

 クロトがこの状況に照れ笑いを浮かべると、エメラは不安そうになった。

 
「クロト・・・?いや、だった・・・?」

「まさか。とっても幸せな気分だよ。」


 妙な誤解をされてしまったのっで、慌てて訂正しておく。

 クロトは普段、照れ笑いなどしないので、誤解されてもおかしくは無いのだ。


「よかっ、た・・・。それ、と・・・私、も・・・幸せ、だよ・・・?」


 エメラは美しい微笑みを浮かべて、幸せそうにそう言ったのだった。

 
 クロトは、エメラの天然な誘惑に、必死で耐え続けたのだった。

 あの微笑みと、クロトを撫でる手、太腿の感触は、反則だ。

 クロトは心の底から、そう思わざるを得なかった。



「わたくしは忘れられている訳では無いんですわよね・・・?」


 エメラとの膝枕権争奪戦に負けたマリアは、ポツリと言葉を零したのだった。

 





「そんな訳で。マリアの膝枕は、また今度所望するよ。」

「・・・約束ですわよ?」


 クロトが中々起き上がらない為に拗ねてしまったマリア。

 数時間も起き上がらなかったクロトが悪い。

 起きてから数分で体を起こせるようになっていたというのに。


 数時間の間、ずっとエメラとイチャついていたのを見続けていたマリア。

 色々と我慢ならなくなってしまったのだ。

 断絶空間内とはいえ、そんな行為をするつもりはないため、余計に。


 クロトはそんなマリアの様子を見て揶揄った。

 それは拗ねてしまってもおかしくない。

 お詫びとして、次の機会ではマリアに膝枕をお願いすることにしたのだ。

 マリアは喜んでそれを受諾。

 クロトの予定通りの話運びとなった。


「それじゃあ、解体を始めるね。二人は見学してて?」


 クロトは二人に見学しているよう告げてから、解体を始めた。

 グレンから話を聞いていたので、何とか解体可能だ。


 二人は、クロトが解体に集中している間、解体を学びつつも雑談をしていた。


「エメラ、クロトに膝枕をしてあげた気分はどうですの・・・?」

「ん・・・。とて、も・・・よかった・・・よ・・・?」


 とろけそうな微笑みで幸福具合を表現したエメラ。

 マリアは同性であるにも関わらず、ドキッとさせられた。

 一応言っておくが、マリアに同性愛の趣味は無い。

 クロトが女性だったら・・・どうなっていたかは不明だが。


「羨ましいですわ・・・。」

「ん・・・。マリア、も・・・次、が・・・ある・・・。」

「・・・そうですわね。それまでは、我慢することにしますわ。」


 気持ちを切り替えたマリアは、エメラを揶揄うことにした。


「ところで・・・クロトに触れられて気持ちよかったんですの?」


 マリアは、クロトが目を覚ました時のことを言っているようだ。


「っ・・・!?それ、は・・・。」

「あんな喘ぎ声をあげるくらいですから、さぞ快感だったんですわよね?」

「・・・・・・。」


 真っ赤になって俯いてしまったエメラは、何も答えなかった。


 エメラは、未だに自分があんな声をあげることが信じられないでいる。

 普段はそんな声など出たことが無い。

 だというのに、クロトに触れられると、自然と口から零れてしまうのだ。

 どれだけ抑えようとしても、何の効果も無い。


 そのことだけは、エメラの精神力をもってしても、耐えられない程恥ずかしい。


 そして、自分のその声を聴いて、冷静沈着なクロトが興奮している。

 そう考えると、幸せやら恥ずかしいやら、ムズムズした感覚に襲われる。


 そんな感情を必死に隠そうとする様子がまた、クロトの興奮を誘うのだが。

 エメラは欠片も、そんなことを理解していないのだった。






 クロトが解体を終えて戻ってくると、エメラが真っ赤になって俯いていた。

 そして、マリアがニヤニヤとしながら、それを眺めていた。


 おおよそ何があったのかを察したクロトは、マリアに向けて、こう言った。


「マリア。人を揶揄うなら、自分が揶揄われる覚悟も、出来てるよね?」

「・・・・・・えっ?」


 クロトは、獄界の穴でアザゼルと戦った時のマリアの発言を耳元で囁いた。

 マリアは顔を真っ赤にしてクロトに詰め寄って来た。

 そこで、更にもう一度同じことを囁く。


 十回以上囁かれたマリアは、ノックアウトされたのだった。


 ちなみにクロトは、揶揄われて恥ずかしがるような精神は持ち合わせていない。

 ゆえに、自分はマリアを揶揄っても良いと思っている。

 とんだ暴論である。

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