異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

東国観光

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「では、殆ど全ての町を通ることになるんですね・・・?」

「横に長い島国でござるからなぁ・・・。」

「まあ、気ままに旅をするのも悪くないよね?」

「時間があるのでしたら、そうしたいところですわね。」

「観光か・・・楽しみだな・・・!」


 朝食の後、クロトたちは旅館の女子部屋で、今後の計画を練っていた。


 現在クロトたちが居る町は、港町ティルミア。

 ここからナツメの実家がある町、フィレントまでは、かなり遠い。

 途中で、最低3つもの町を経由する必要がある。

 どういう道順でフィレントまで行くのか、相談中だ。

 とはいえ、最初に行く町は決まっている。


「やはり、次のアクリルの町は必須でござろう。」

「そこは必ず通るところだからね。」








 おおよその道順を決めたところで、ティルミアの散策に向かった。

 ナツメとカレンは別行動。

 ナツメも、この町の事は詳しくないので、カレンに付き合って観光だ。


 では、クロトたち三人はというと。


「アクア、こっちの和服が似合うんじゃないかな?」

「そうでしょうか・・・?」

「わたくしには、どれも似合いそうにありませんわね。」


 このように、デートのような感じになっていた。

 
「ん・・・こっちもいいけど、そっちも似合いそうだね・・・。」


 何故かアクアには、和服が似合った。

 所謂、着物というやつだろうか。

 アクアはどう見ても、日本風の容姿ではないのに。


 とってもおしとやかな雰囲気が、クロトを魅了する。

 惚れた贔屓目もあるかもしれない。


「アクア、とっても美しいよ。」

「クロトさん・・・。」


 クロトは我慢できずにアクアを抱き締め、耳元で囁いた。

 アクアはとても幸せそうで、色っぽい表情になっていた。


 ちなみに、本人の申告通り、マリアに和服は似合わない。

 金髪縦ロールに和服は、微妙にミスマッチだ。


 そんなわけで・・・


「やはり、慣れない髪形は落ち着きませんわね・・・。」


 クロトはマリアの髪形を金髪のストレートにしてみた。

 そして、それに合う和服を選ぶ。


 流石に普段使いは出来ないが、たまに町中を歩くくらいなら大丈夫だろう。

 そのままアクアは青色の和服を、マリアは白が目立つ和服を、それぞれ購入。

 マリアは扇も買っており、地味に似合っていた。

 クロトに褒められた時に浮かんでしまうニヤけた顔を隠すためなのだろう。
 
 笑みを浮かべるのを我慢するから、そんな顔になるのだが・・・。



 三人はそのままの格好で町を歩く。

 クロトはいつも通りの服装だ。



 その後、道行く人に声を掛けられたのは一度や二度ではなかった。

 だが、大抵の人が、丁重にお断りすると素直に諦めてくれる。

 そういった風土の国のようだ。


 振られてしまって潔く諦めるのは、美徳と言える。


 そして現在、三人は団子を食べていた。


「この団子というもの、美味しいですわね。」


 マリアは気に入ったようで、次から次に、団子を口にしていく。

 クロトとアクアは、それを微笑ましそうに見守る。


 やがて、団子を食べ終わったころ、ようやく見られていることに気づいた。

 頬が赤く染まり、口元を扇で隠した。


「そんなに気にしなくとも、頬張る姿は可愛かったよ?」

「クロトにはデリカシーというものがないんですのっ!?」

「そうは言っても本当の事だから・・・。アクアもそう思うよね?」

「はい、とても可愛らしかったですよ?」

「うぅ・・・。」


 マリアは照れて俯いてしまったのだった。




 茶屋を出て、買い物をしながら町中を観光していく三人。

 すると、知っている二人組に遭遇した。


「カレンとナツメ、奇遇だね。」

「ん?ああ、クロトか。偶然だな。それより、二人の服は、和服というものか?」

「はい、そうですよ。クロトさんが買ってくださいました。」

「そうか。とても似合っているな。」


 カレンから見ても、やはり似合っているようだ。


「ありがとうございます。カレンさんは着てみないのですか?」

「私は・・・流石に似合わないのでは?黒髪なら似合うのだろうが・・・。」


 カレンは銀の長髪であるため、モノによっては似合わないこともない。

 クロトはそう思ったので、カレン用に買っておいた和服を取り出す。

 紺色を基調としたシンプルな和服だ。


 カレンは渋っていたが全員に説得され、着てみることになった。


「とっても似合っています・・・!」

「これは・・・クロト殿の選択には脱帽でござる。」」

「・・・うらやましいですわね。」


 恥じらうカレンの姿は、可愛らしさと流麗さが同居している。

 何というか、とても人の目を引き付ける。


「ほ、本当に、変ではないか・・・?」


 カレンが不安そうに尋ねるので、クロトはとどめの一言を紡ぐ。


「カレン、とても綺麗で可愛らしいよ?」

「・・・・・・。」


 カレンは真っ赤になって俯いてしまったが、納得はしたみたいだ。

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