異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

エルフの里

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 エルフの里の中は、とても優しい空気が漂っていた。

 喧嘩なども無く、とても穏やかだ。


 クロトたちは、心が安らいでいくのを感じた。


 里自体はそれほど大きくは無く、中央にはそこそこ大きな家がある。

 また、里といっても、森の中とそれほど変わらず、自然に溢れている。


 自然の中で居眠りしている女性も居れば、にこやかに談笑する男性も居る。

 小さなエルフの子供たちは、里の自然の中で、追いかけっこをしている。


 女性陣はそれを見て、ほっこりしていた。


 外に出たことが無いエルフは大体こういう感じらしい。

 のんびりしているエルフの中にも戦闘員が居るというのだから、驚きだ。

 大抵の者はAランク並みに戦えるとか。


 里を見回す限り、とても問題が起こっているようには見えない。



 クロトたちはレファイスについて行き、中央の大きな建物へ。



「ここが長老の屋敷であり、私たちの屋敷でもある。入ってくれ。」

「遠慮なくお邪魔させてもらうよ。」

「ん・・・。お邪魔・・・する。」


 他の者も挨拶をして、屋敷の内部へ。

 暫く内部を歩いて、一番奥の部屋へたどり着いた。


「ここが母上、長老の部屋だ。」

「クロトたちを紹介するのです!」


 そう言うと、ノックもせずに中へ入って行く二人。

 かなり緩いようだ。


 クロトたちも続いて中へ。


「・・・・・・。」

「・・・・・・へぇ、中々凄いのが居ますね。」


 部屋の中に居たのは、とても長老と言う程の年には見えないエルフの女性が居た。

 クロトと視線が交錯した結果が、今の発言だ。


(強い・・・。今まで会った中では、カリスと同等かそれ以上、かな。)


 クロトも金髪緑眼の若々しいエルフの強さを感じ取った。


 そしてそのエルフは、全員を見回すと、少し驚いた表情をして話し出した。


「妙な存在も居ますが、全員かなりの逸材ですし、悪いものでは無さそうですね。」

「・・・妙、というのは、わたくしのことですわね。」

「ええ、そうですよ。何者かお聞きしても?」

「構いませんわよ。わたくしは・・・元魔人の天魔人ですわ。」

「・・・!元魔人、ですか。長く生きていますが、初めて聞きましたね。」

「史上初めての種族らしいですよ?」


 クロトがクラリスから聞いたことを補足する。


「・・・そうですか。まあ、悪い者では無さそうですから、構いません。」

「・・・感謝いたしますわ。」


 特に問題は起きなかったようで何よりだ。


「それよりも・・・私はあなたに興味がありますね。」


 エルフの女性がクロトに急接近。


「僕に興味、ですか?」

「ええ。見た感じ、レベル100の大台を超えていると思います。」

「そうですが・・・それがどうかしましたか?」

「見た目通りの年齢か、と言う事です。」

「見た目通り、十九歳ですよ?」

「・・・嘘では無さそうですね。私でも、二百を超えた頃でしたのに。」


 二百、と言うのは年齢だろう。

 そのころに、レベル100を超えた、と。


「・・・と、申し遅れました。私は長老を務めている、セーラと申します。」


 セーラが自己紹介をしたので、クロトたちもそれに続く。


「僕は冒険者のクロトです。どうぞよろしくお願いします。」

「同じ、く・・・エメラフィア、と、申し、ます・・・。」

「同じく、カレンと申します。」

「・・・わたくしは、マリアと申しますわ。」


 自己紹介も終えて、改めて本題へ入る。


「それで、世界樹に問題が起きていると聞きましたが。」

「問題、と言うのも妙な話ですが。一応はそうなります。」

「それについて、僕を呼んだ理由についてお教え頂けますか?」

「人選についてはレファイスに任せましたから、何とも。ただ・・・。」


 そこで一度、言葉を区切ってクロトを見つめた後、再び話し出す。


「一番、頭の良い人をお願いしたところ、あなたが来ました。」

「・・・・・・。」


 クロトは何とも言えない表情だ。

 自分では、そこまで頭がいいとは思っていないので、仕方が無い。


 そんな中、セーラがこんなことをのたまってきた。



「とりあえず、この話し方、もうやめてもいい?」

「母上・・・なぜ話し方を崩してしまうのですか・・・。」

「だってレフィ・・・慣れない話し方をすると疲れるから・・・。」

「もう少し頑張ってください。あと少しですから。」

「うぅ・・・分かったわよ・・・ゴホン。では、続きを話しますね。」


 再び元の話し方に戻ったセーラが、話し始める。


「世界樹に起きた問題についてですが・・・正確には分かっていません。」


 どうやら、話はそこからのようだ。

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