異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

月と太陽の生命花

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 クロトとヴィオラは星十二天「牡羊」を倒した後、花畑の木の下で休んでいた。

 太陽と月の生命花が咲く時間まで、まだ数時間ある。


「・・・クロト。黄道の迷宮は、あと幾つ?」

「ん?あとは・・・蠍、山羊、天秤、かな?」


 クロトは少々含みを持たせながら、その三つを告げた。


「・・・もう少し?」

「さて、どうかな?そうかもそれないし、違うかもしれない。」

「・・・何か予想でも?」

「まあ、ね。それについては、その時のお楽しみということで。」

「・・・むぅ。」


 クロトの中途半端な答えに、微妙に頬を膨らませて、小さな唸り声をあげた。

 表情はそのままに、座すクロトを下から覗き込み、上目遣いで見つめた。


「・・・いや。そんな目をされても・・・。」

「・・・クロト。教えてくれないのか・・・?」

「っ・・・。その体勢とその表情は反則じゃないかな・・・?」


 クロトはクラクラする頭を軽く小突いて、理性を強く意識した。



 ヴィオラは完全に天然でやっているのが、また恐ろしいことだ。


 下から覗き込む体勢のため、豊満な胸が強調されている。

 胸が服で隠れているからこその色気がある。


 頬を膨らませて上目遣いをするヴィオラの瞳は潤んでいる。

 それがまた、とても色っぽい。


 理性を保つのに精一杯で、当たり障りのない事しか言えなかった。


 ヴィオラは、クロトの感情を知ってか知らずか、更に顔を近づける。

 唇が触れ合う寸前まで来たところで、ヴィオラは目を瞑った。


 クロトは、迷うことなく、その綺麗な唇を奪った。




 キスはしばらく続いたため、星十二天の話はうやむやになってしまったとさ。








 真夜中になる頃、例の認識誘導が掛かった場所に、花が咲き始める。

 それは良いのだが、妙なことに気づいた。


「・・・あれ?この前と少し違う、かも?」

「・・・花の色が違う?」


 クロトは頷いて肯定を表し、さらに相違点を告げる。


「この前と咲き方が違う。蕾の開いていく角度とか。」

「・・・分かる訳が無い。」


 ヴィオラは呆れたようため息を吐いた。


 やがて花は咲き誇り、解析してみると、やはり別物。


「・・・月と太陽の生命花?この前のは、太陽と月の生命花だったはず・・・。」

「・・・何故、違う花が?」


 同じ時間に同じ場所で咲く花なのに、何故違うのか。

 ヴィオラは頭を捻っているが、原因に思い至ったクロトは、空を見上げて確信。


「ヴィオラ、空を見てごらん?」

「・・・空よりクロトを見たい。」


 首を傾げて、不思議そうに告げたヴィオラ。

 あまりにも天然な反応に、言葉に詰まるクロト。

 再びキスしたくなるのを堪えて、空を指さす。


「・・・そう言ってくれるのは嬉しいけど、疑問の答えが出るから、ね?」

「・・・月。・・・満月?」

「正解。恐らく、月の力が限界まで強まると、月と太陽の生命花になるんだね。」


 詳しいことについては月に言って解析してみない限り分からないだろう。

 クロトとて、何でも知っている訳では無い。

 寧ろ、知らないことの方が多いのだから。


「・・・クロト。満月、綺麗・・・。」

「ああ・・・。ここで見る月も綺麗だし、花も綺麗だ。」


 クロトの言葉で周囲を見回すヴィオラ。

 すると辺り一面、月明かりを吸収したかのように輝く花々が。


「・・・綺麗。」

「ヴィオラ・・・。」


 ヴィオラはクロトに寄り掛かって甘え始めた。

 ヴィオラがそんなことをするのは珍しいが、それだけムードの力は凄いのだろう。


「座ってお月見とお花見でもしようか。」

「・・・したい。」


 ヴィオラも賛成なようで、テーブルとイスを取り出して座る。

 軽い食べ物や、飲み物、お酒も少しだけテーブルに置く。


「ヴィオラ、乾杯。」

「・・・ん、乾杯。」


 グラスを軽く打ち合わせて、乾杯した二人だった。







「・・・ヴィオラ、いつもありがとう。」

「・・・突然。何の感謝?」


 乾杯から数時間経った頃、唐突に感謝を伝えた。

 それは、クロトが日頃から言いたかったこと。


「僕を好きで居てくれて、かな。」

「・・・当然の事。」


 ヴィオラは頬が赤い。


 クロトへの想いは、落ち着くどころか、今なお募り続けている。

 終いには、自分はどれだけクロトを好きになってしまうのか、恐ろしさすらある。

 だがそれは、とても幸せな事で、溺れそうになる自分を好ましく思ってすらいる。


 そこでヴィオラは、頭がクラクラしていくのを感じた。


 自分の中から湧き上がってくる想いを、何故か全く抑えることが出来ない。

 衝動のままに、口を開く。


「・・・クロト、大好き。ずって一緒に居て・・・?」

「ヴィオラ?えっ・・・?」

「・・・クロト。」


 ヴィオラは隣から身を乗り出してクロトにしなだれかかった。

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