異世界隠密冒険記

リュース

文字の大きさ
334 / 600
第二部「創世神降臨」編

プロローグ19

しおりを挟む
「地底樹の手掛かりを?」

「はい!ついさっき植物探知で僅かな気配を感じました!」

「場所は?」

「そ、それが・・・。」


 ファーナは何故か、とても言い辛そうにしている。

 何となく嫌な予感がしながらも、耳を澄ませる。


「その・・・反応があった場所というのが、王城の中、でして・・・。」

「「「「「えっ?」」」」」


 王城の中という言葉に、みんな一様に驚いた。


(おかしいな・・・?以前調べた時は、何も無かったんだけど・・・。)


 とりあえずは、ファーナとともに王城へ向かってみることにしたのだった。








「・・・それで、なぜわたくしだけ付き合わされてますの?」

「マリアに自宅警備員以外の仕事は無いんだし、暇だよね?」

「自宅警備員については聞きましたわよっ!あんな役職、要りませんわ!」


 自宅警備員の意味をどこからか聞いたらしく、クロトに詰め寄るマリア。


「要らないなら没収するけど、そうしたらマリアは、また無職になるよ?」

「要らないけれど、貰ってあげてもいいですわよ!」

「それは何より。」


 クロトはマリアを言いくるめることに成功した。


「そういえばファーナ、よく王城に近づけたね?」


 探知範囲からして、かなり接近しなくては分からないはずなのだが。

 どうやって見つけたのかが気になるクロト。


「それは、スイレンさんが何とかしてくださいました。」

「なるほど、スイレンか。今度労いに行かないとね・・・。」


 スイレンには色々と苦労を掛けている自覚があるらしい。

 クロトたちは、ファーナの先導で、王城の中へ入って行った。








「よっ、ほっ、それっ!」


 王城の中庭では、リオンが一人で遊んでいた。

 現在は、クロトが広めたサッカーをやっている。


「よっ、と。ボールを落とさないのって、大変だよね・・・。」


 訂正。サッカーでは無く、リフティングをしていた

 相変わらずボッチらしい。


 そしていよいよ、リフティングの回数が100回目に・・・


「えっ?これがそうなの・・・?」


 ・・・なる前に、クロトがボールをかっさらった。


「あああああああっ!?そんなぁぁぁっ!?」


 リオンが、大記録を阻止されたせいで、崩れ落ちてしまった。


「ファーナ、もう一度聞くけど、これがそうなの?」

「はい、間違いなくこれです。」

「そうは見えませんわね・・・。」


 クロトたちが見ていたのは、リオンがボール替わりに使っていた黄色の球体。


「何故こんなところにあるのか、本気で知りたいね。」

「僕はクロト君の頭の中が知りたいよおおおっ!?」






 リオンの話では、以前から一人で玉遊びをしていたそうだ。

 理由は、一人でも楽しめるからで、ボールは王城内にあったものを使用。

 ただ、第一王子が玉遊びというのもアレなので人には見つかりたくない。


 そこで、誰にも見つからない場所へ、ボールを隠していた。


 そしてそのボールから、地底樹の気配が僅かに感じられると。




「リオン、君は何てもので玉遊びをしていたのかな?」

「だだだだって・・・!知らなかったんだよっ・・・!」


 事情を聞かされて怒りは収まり、顔を青ざめさせている。

 そんな貴重なモノを蹴って遊んでいただなんて、大失態も良い所だ。


 ファーナが何か疑問があるような顔をしていたので、クロトは尋ねてみる。


「ファーナ、どうかしたの?」

「それが、私がこれを探知した時、妙な感じがしまして・・・。」

「妙な感じ、ですの?」

「はい。何も無かったはずの場所に、突然地底樹の反応が現れたんです。」


 ファーナの疑問を聞いたクロトは思い至ることがあったのか、玉を解析。

 すると、幾つかの事が新たに分かった。


 黄色い玉・・・地底樹の根源、というアイテムは、長らく非活性状態だった。

 また、この先数百年くらいは、非活性状態のはずであった。


 だが、リオンが絶妙な加減で蹴り続けた結果、偶然にも活性化。

 何をしても無駄だった非活性状態を脱することができ、探知にも反応した。




「リオン!君は最高の親友だよっ!」

「なっ・・・!?」


 感極まったクロトに抱き着かれたリオンは、狼狽している。

 絵としては百合百合しくて悪く無いのだが・・・。


「ク、クロト君っ!分かったから離れてっ!こんなの・・・ダメ、だよっ!」

「・・・っと、ごめんね。つい勢いで。」


 クロトはすぐにリオンから離れた。

 抱き着いたのは、他にも理由があったのだが、今は置いておく。


 クロトは地底樹の根源をどうするべきなのかに、思考を傾けるのだった。








「クロトっ!?何故今度はわたくしに抱き着くんですのっ!?」

「何となく?・・・・・・嫌ならやめるけど?」

「そんなことは一言も言ってませんわっ!」


 何だかんだでクロトにベタ惚れのマリアは、口元が緩んでいる。






「マリア、口元が緩んでるよ?」

「っ!?・・・何故見ていないのに分かったんですのっ!?」


 マリアは耳まで赤くなったのだった。

しおりを挟む
感想 1,172

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。