異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

プロローグ19

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「地底樹の手掛かりを?」

「はい!ついさっき植物探知で僅かな気配を感じました!」

「場所は?」

「そ、それが・・・。」


 ファーナは何故か、とても言い辛そうにしている。

 何となく嫌な予感がしながらも、耳を澄ませる。


「その・・・反応があった場所というのが、王城の中、でして・・・。」

「「「「「えっ?」」」」」


 王城の中という言葉に、みんな一様に驚いた。


(おかしいな・・・?以前調べた時は、何も無かったんだけど・・・。)


 とりあえずは、ファーナとともに王城へ向かってみることにしたのだった。








「・・・それで、なぜわたくしだけ付き合わされてますの?」

「マリアに自宅警備員以外の仕事は無いんだし、暇だよね?」

「自宅警備員については聞きましたわよっ!あんな役職、要りませんわ!」


 自宅警備員の意味をどこからか聞いたらしく、クロトに詰め寄るマリア。


「要らないなら没収するけど、そうしたらマリアは、また無職になるよ?」

「要らないけれど、貰ってあげてもいいですわよ!」

「それは何より。」


 クロトはマリアを言いくるめることに成功した。


「そういえばファーナ、よく王城に近づけたね?」


 探知範囲からして、かなり接近しなくては分からないはずなのだが。

 どうやって見つけたのかが気になるクロト。


「それは、スイレンさんが何とかしてくださいました。」

「なるほど、スイレンか。今度労いに行かないとね・・・。」


 スイレンには色々と苦労を掛けている自覚があるらしい。

 クロトたちは、ファーナの先導で、王城の中へ入って行った。








「よっ、ほっ、それっ!」


 王城の中庭では、リオンが一人で遊んでいた。

 現在は、クロトが広めたサッカーをやっている。


「よっ、と。ボールを落とさないのって、大変だよね・・・。」


 訂正。サッカーでは無く、リフティングをしていた

 相変わらずボッチらしい。


 そしていよいよ、リフティングの回数が100回目に・・・


「えっ?これがそうなの・・・?」


 ・・・なる前に、クロトがボールをかっさらった。


「あああああああっ!?そんなぁぁぁっ!?」


 リオンが、大記録を阻止されたせいで、崩れ落ちてしまった。


「ファーナ、もう一度聞くけど、これがそうなの?」

「はい、間違いなくこれです。」

「そうは見えませんわね・・・。」


 クロトたちが見ていたのは、リオンがボール替わりに使っていた黄色の球体。


「何故こんなところにあるのか、本気で知りたいね。」

「僕はクロト君の頭の中が知りたいよおおおっ!?」






 リオンの話では、以前から一人で玉遊びをしていたそうだ。

 理由は、一人でも楽しめるからで、ボールは王城内にあったものを使用。

 ただ、第一王子が玉遊びというのもアレなので人には見つかりたくない。


 そこで、誰にも見つからない場所へ、ボールを隠していた。


 そしてそのボールから、地底樹の気配が僅かに感じられると。




「リオン、君は何てもので玉遊びをしていたのかな?」

「だだだだって・・・!知らなかったんだよっ・・・!」


 事情を聞かされて怒りは収まり、顔を青ざめさせている。

 そんな貴重なモノを蹴って遊んでいただなんて、大失態も良い所だ。


 ファーナが何か疑問があるような顔をしていたので、クロトは尋ねてみる。


「ファーナ、どうかしたの?」

「それが、私がこれを探知した時、妙な感じがしまして・・・。」

「妙な感じ、ですの?」

「はい。何も無かったはずの場所に、突然地底樹の反応が現れたんです。」


 ファーナの疑問を聞いたクロトは思い至ることがあったのか、玉を解析。

 すると、幾つかの事が新たに分かった。


 黄色い玉・・・地底樹の根源、というアイテムは、長らく非活性状態だった。

 また、この先数百年くらいは、非活性状態のはずであった。


 だが、リオンが絶妙な加減で蹴り続けた結果、偶然にも活性化。

 何をしても無駄だった非活性状態を脱することができ、探知にも反応した。




「リオン!君は最高の親友だよっ!」

「なっ・・・!?」


 感極まったクロトに抱き着かれたリオンは、狼狽している。

 絵としては百合百合しくて悪く無いのだが・・・。


「ク、クロト君っ!分かったから離れてっ!こんなの・・・ダメ、だよっ!」

「・・・っと、ごめんね。つい勢いで。」


 クロトはすぐにリオンから離れた。

 抱き着いたのは、他にも理由があったのだが、今は置いておく。


 クロトは地底樹の根源をどうするべきなのかに、思考を傾けるのだった。








「クロトっ!?何故今度はわたくしに抱き着くんですのっ!?」

「何となく?・・・・・・嫌ならやめるけど?」

「そんなことは一言も言ってませんわっ!」


 何だかんだでクロトにベタ惚れのマリアは、口元が緩んでいる。






「マリア、口元が緩んでるよ?」

「っ!?・・・何故見ていないのに分かったんですのっ!?」


 マリアは耳まで赤くなったのだった。

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