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第二部「創世神降臨」編
クロトと女将さんの交渉
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「女将さん。この宿を・・・・・・買収させてもらいます。」
「・・・本気、みたいだね。」
「ええ、本気ですよ。」
いきなりの買収宣言。
クロトの権力なら、決して不可能ではない。
だがそれは・・・・・・
「私はね、この宿を変えたくないんだよ。大切な思い出のある場所だからね。」
「ええ、理解しているつもりです。その上で、取り上げようとしています。」
・・・今まで培ってきた信用を切り崩すということに他ならない。
「・・・リンカのことなんだね?」
「はい。彼女の望みを最大限叶える方法です。」
今後、こんな強引な手を使ったミカゲ財閥は、やや仕事が大変になる恐れがある。
だがそれでも、最愛以外は手放す覚悟を決めたのだ。
例え、愛すべき社員たちに多大な迷惑を掛けることになってでも。
スイレンあたりは、思うがままに行動すればいいと言っていたのだろうが。
「もし、今回の交渉が決裂したら、買収に動かせてもらいます。」
「・・・それは、脅迫かい?」
「そうとってもらっても構いません。既に方々に手を回して居ますから。」
例えば、国王。
貸しを使って、圧力をかけてもらうことが可能だ。
例えば、不動産屋。
売買記録を強引に書き加えるなど、朝飯前だ。
例えば、闇ギルド。
営業を妨害することも可能だ。
勿論、クロトはそんな手段を使うつもりなど無い。
自分とリンカの為の事なのに、そのリンカに迷惑を掛けては本末転倒だ。
あくまでも、そういうことも出来る、という脅しに過ぎない。
「では、交渉を始めましょう。」
「はぁ、SSランクのクロトさんなら、強引にどうとでも出来るだろうにね。」
「それだと、命よりも大切なものを、失うことになりかねませんから。」
リンカの想いを踏み躙ってまで、自分の想いを成就させるつもりは無いのだろう。
「こちらの提案は、この宿が財閥の傘下に入ることです。」
「・・・条件については?」
「これまでと何も変わりません。ただ、傘下に入ると言う建前のみの変化です。」
女将さんは驚く。
これまでクロトは、自分の帰る場所にするため、多少の条件を出してきた。
それなのに、要求されたのは、建前上、傘下に入ると言う事のみ。
例えば、宿の立ち位置の変化などが、これまでの条件にはあった。
これが、クロトに出来る、最大限の妥協。
「・・・・・・。」
「どうか、お願いします!」
悩んでいる様子の女将さんに、クロトは頭を下げて頼んだ。
女将さんは目を見開いて驚愕している。
「ちょっ、待ちなよ!まだ断った訳では・・・頭を上げておくれ!」
「いえ。自分には、これくらいしか出来ませんので。」
富も権力も思いのままであるSSランク冒険者。
そんなクロトが、頭を下げる機会など、無いに等しいだろうに。
これには流石の女将さんも、動揺を露わにしてしまったようだ。
「お願いします!」
「っ、分かった、分かったよ!だから頭を上げておくれ!」
そのまま土下座でもしそうな勢いだったクロトを見て居られなかったのか。
女将さんはクロトの提案を受け入れた。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「ああ、もう・・・だから頭を下げないでおくれよ・・・!」
SSランクと言えば、伝説に等しい人物。
そんな人にここまで頭を下げられるなど、心臓に悪過ぎるようだ。
「はぁ・・・。元々、次に相談を持ち掛けられたら、受けるつもりだったんだ。」
「・・・それは、どうしてですか?」
クロトは頭を上げて、不思議そうに尋ねた。
なんでも、永遠の眠り亭は、ある老夫婦から譲り受けたものらしい。
お世話になったその老夫婦との思い出の場所を、パーツの一つにしたくない。
そんな思いから、今まで傘下に入ることを断り続けて来た。
普通、望んでもミカゲ財閥の傘下に入るなど、到底不可能。
有難い申し出ではあったが、断らざるを得なかった。
だが、ふとリンカの事を考えると、自分の判断に自信が持てなくなってきた。
子どもの居ない自分からすれば、リンカは既に娘のような存在。
「娘同然の子には、最大限幸せになってもらいたいじゃないかい。」
「・・・なるほど。」
リンカがクロトに惚れているのは、すぐに分かった。
二人の関係性を考えるなら、傘下に入った方が良いのではないか。
そう考えるようになった矢先、今回の件。
「泣きはらしたあの子を見て、決意は固まったよ。」
「それで、ですか。」
「ああ。これ以上ない条件も提示して貰えたし、これからよろしく頼むよ。」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」
こうして、永遠の眠り亭は、ミカゲ財閥の傘下に収まった。
これで、財閥に気を遣うことなく、胸を張って帰る場所だと言える。
財閥傘下の店を差し置いて、そうでない宿を帰る場所とは言い辛かったのだ。
経営者であるからこそ、より一層。
クロトの最愛以外を切り捨てる覚悟は無駄に終わってしまったが・・・。
誰も悲しまない、これ以上ない結果にまとまった。
後は、再びリンカに告白するだけなのだが・・・。
(何か・・・未練がましい男みたいで情けないね・・・。)
そう思わずには居られないクロトであった。
「・・・本気、みたいだね。」
「ええ、本気ですよ。」
いきなりの買収宣言。
クロトの権力なら、決して不可能ではない。
だがそれは・・・・・・
「私はね、この宿を変えたくないんだよ。大切な思い出のある場所だからね。」
「ええ、理解しているつもりです。その上で、取り上げようとしています。」
・・・今まで培ってきた信用を切り崩すということに他ならない。
「・・・リンカのことなんだね?」
「はい。彼女の望みを最大限叶える方法です。」
今後、こんな強引な手を使ったミカゲ財閥は、やや仕事が大変になる恐れがある。
だがそれでも、最愛以外は手放す覚悟を決めたのだ。
例え、愛すべき社員たちに多大な迷惑を掛けることになってでも。
スイレンあたりは、思うがままに行動すればいいと言っていたのだろうが。
「もし、今回の交渉が決裂したら、買収に動かせてもらいます。」
「・・・それは、脅迫かい?」
「そうとってもらっても構いません。既に方々に手を回して居ますから。」
例えば、国王。
貸しを使って、圧力をかけてもらうことが可能だ。
例えば、不動産屋。
売買記録を強引に書き加えるなど、朝飯前だ。
例えば、闇ギルド。
営業を妨害することも可能だ。
勿論、クロトはそんな手段を使うつもりなど無い。
自分とリンカの為の事なのに、そのリンカに迷惑を掛けては本末転倒だ。
あくまでも、そういうことも出来る、という脅しに過ぎない。
「では、交渉を始めましょう。」
「はぁ、SSランクのクロトさんなら、強引にどうとでも出来るだろうにね。」
「それだと、命よりも大切なものを、失うことになりかねませんから。」
リンカの想いを踏み躙ってまで、自分の想いを成就させるつもりは無いのだろう。
「こちらの提案は、この宿が財閥の傘下に入ることです。」
「・・・条件については?」
「これまでと何も変わりません。ただ、傘下に入ると言う建前のみの変化です。」
女将さんは驚く。
これまでクロトは、自分の帰る場所にするため、多少の条件を出してきた。
それなのに、要求されたのは、建前上、傘下に入ると言う事のみ。
例えば、宿の立ち位置の変化などが、これまでの条件にはあった。
これが、クロトに出来る、最大限の妥協。
「・・・・・・。」
「どうか、お願いします!」
悩んでいる様子の女将さんに、クロトは頭を下げて頼んだ。
女将さんは目を見開いて驚愕している。
「ちょっ、待ちなよ!まだ断った訳では・・・頭を上げておくれ!」
「いえ。自分には、これくらいしか出来ませんので。」
富も権力も思いのままであるSSランク冒険者。
そんなクロトが、頭を下げる機会など、無いに等しいだろうに。
これには流石の女将さんも、動揺を露わにしてしまったようだ。
「お願いします!」
「っ、分かった、分かったよ!だから頭を上げておくれ!」
そのまま土下座でもしそうな勢いだったクロトを見て居られなかったのか。
女将さんはクロトの提案を受け入れた。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「ああ、もう・・・だから頭を下げないでおくれよ・・・!」
SSランクと言えば、伝説に等しい人物。
そんな人にここまで頭を下げられるなど、心臓に悪過ぎるようだ。
「はぁ・・・。元々、次に相談を持ち掛けられたら、受けるつもりだったんだ。」
「・・・それは、どうしてですか?」
クロトは頭を上げて、不思議そうに尋ねた。
なんでも、永遠の眠り亭は、ある老夫婦から譲り受けたものらしい。
お世話になったその老夫婦との思い出の場所を、パーツの一つにしたくない。
そんな思いから、今まで傘下に入ることを断り続けて来た。
普通、望んでもミカゲ財閥の傘下に入るなど、到底不可能。
有難い申し出ではあったが、断らざるを得なかった。
だが、ふとリンカの事を考えると、自分の判断に自信が持てなくなってきた。
子どもの居ない自分からすれば、リンカは既に娘のような存在。
「娘同然の子には、最大限幸せになってもらいたいじゃないかい。」
「・・・なるほど。」
リンカがクロトに惚れているのは、すぐに分かった。
二人の関係性を考えるなら、傘下に入った方が良いのではないか。
そう考えるようになった矢先、今回の件。
「泣きはらしたあの子を見て、決意は固まったよ。」
「それで、ですか。」
「ああ。これ以上ない条件も提示して貰えたし、これからよろしく頼むよ。」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」
こうして、永遠の眠り亭は、ミカゲ財閥の傘下に収まった。
これで、財閥に気を遣うことなく、胸を張って帰る場所だと言える。
財閥傘下の店を差し置いて、そうでない宿を帰る場所とは言い辛かったのだ。
経営者であるからこそ、より一層。
クロトの最愛以外を切り捨てる覚悟は無駄に終わってしまったが・・・。
誰も悲しまない、これ以上ない結果にまとまった。
後は、再びリンカに告白するだけなのだが・・・。
(何か・・・未練がましい男みたいで情けないね・・・。)
そう思わずには居られないクロトであった。
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