異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

第三の道

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「そ、それは・・・マリア殿の方が美しいでござるよ?」

「なっ・・・!」


 先手を取られて動揺するマリア。


「そ、そんなことはありませんわ!ナ、ナツメの方が美しいですわよ?」

「せ、拙者が美しい・・・!?」


 マリアにそう言われて照れてしまうナツメ。


「拙者などより、大人の魅力があるマリア殿の方が・・・!」

「それをいうなら、天真爛漫なナツメの方が・・・!」

「・・・・・・っ!」


 互いに褒め合う妙な状況が生まれ、クロトは笑いを堪えるのが大変のようだ。


(これは確かに、面白い状況だね・・・!)


 ナツメとマリアを連れてきていなかったら、こうはなっていなかっただろう。

 主に人数の都合上。


(アクアたちの方はどうなっているかな?見られないのは残念だね。)


 心底そう思いながら、マリアとナツメのやり取りを温かく見守る。

 そして、二人とも羞恥と照れで真っ赤になった頃に答えを出す。


 ドカンッ!


「「・・・・・・は?」」


 クロトは二つの道の中央にある壁を破壊した。

 マリアとナツメは間抜けな声を漏らす。

 破壊した壁の向こう側には、正解と書かれた石板が。


「・・・まあ、人の美醜なんて主観が混じるし、答えの出しようもないよね?」

「「・・・・・・ッッ!!」」


 マリアとナツメは、先程までのやりとりを思い出し、耳まで赤くなった。

 自分たちは、なんと恥ずかしいことをしていたのか、と。


「僕は顔の造形だけで好きにはならないし、実に無駄な討論だったね?」

「だったら恥をかく前に言ってくださいましっ!?」

「いらぬ恥をかいたでござるよっ!」


 マリアとナツメはクロトに文句をつけるが、大事なことに気づいていない。


「だって・・・それが目的でわざわざ二人に聞いたんだよ?」

「「クロト(殿)は鬼畜ですわっ(でござるっ)!!」」


 そんな二人の反応を見て、満足気に頷いたクロトであった。









 中央の道を進むと、ボス部屋の前に到着した。

 いつの間にか天の塔33Fに突入していたようだ。


「あ、クロトさん!こっちです!」

「アクア。ここまでお疲れ様。」


 近くにあった安全地帯から、アクアの声が掛かった。

 クロトたちより先に到着していたようだ。


「遅くなってごめん。マリアとナツメが、どちらが美しいかで揉めてね。」

「その言い方だと醜い争いをしていたように聞こえるでござる!」

「言葉が足りてませんわよっ、クロト!」


 まるで、自分の方が美しいと譲らなかったみたいな言い方に、異議を唱えた。


「ああ・・・最終問題ですね?こちらも大変でした・・・。」

「へぇ?それはどういう風に?」

「それはですね・・・。」


 アクアの話では、問題は同じで、選択肢に上がったのはヴィオラとエメラ。

 二人とも迷わず、自分ではない選択肢の方へ進もうとしたのだそうだ。

 アクアは二人を引き留めるのに苦労したのだとか。


 最終的に、アクアが壁を破壊して事なきを得たが・・・。

 ヴィオラとエメラは自己評価が低すぎるようだ。


「マリア、ナツメ、聞いた?」

「「・・・・・・っ!」」


 二人は、自分たちの譲り合いが、酷く醜いものに思えてきてしまった。


「あ、僕はヴィオラとエメラを美しいと思ってるからね?」

「・・・!?私は美しくなど・・・!」

「ん・・・。ありがとう、クロト・・・?」


 ヴィオラは赤くなって否定し、エメラは素直に誉め言葉を受け取った。

 人の性格がよくわかる問題だったようだ。


 ヴィオラは自分を美しいと思った事など無いが、そう思われたい願望はある。

 エメラは美しいかどうかなど些事だが、クロトに褒められれば嬉しい。

 マリアとナツメは、多少は自分の容姿を評価している。

 だが、自信をもってそう言えるほどではない。


 大体こんな感じだ。

 クロトからすれば、思わぬ収穫であった。






「ところで、ナツメさんの可愛らしい服装は、新しいご趣味ですか?」

「違うでござるよ!?そんな趣味は無いでござる!!」

「本当ですか・・・?」

「本当でござる!」

「そうですか・・・。いえ、分かっていた事ですけれどね。」


 アクアがニコニコしながら、ナツメを揶揄った。

 揶揄われたことに気づいたナツメは愕然とした。


「アクア殿がクロト殿に毒されたでござるっ!」

「心外だね。ナツメはもっと恥ずかしい侍服を着せられたいのかな?」

「とっても可愛いでしょうし、私は賛成です!着せてあげましょう・・・!」

「アクア殿!?」


 妖艶に微笑むアクアに、ドキドキさせられてしまうナツメ。

 山羊の試練以来、こういう展開が多くなった。







「賛成多数ということで、今度ミューラに作ってもらうね。」

「どこが多数でござるかっ!?そしてミューラとは誰でござるか!?」


 ナツメがそんなツッコミを入れた十数分後星十二天「天秤」は討伐された。

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