異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

シロナの軌跡

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 星十二天「天秤」を数の暴力でボコボコにしたクロトたち。

 ダンジョンを出た後、全員バラバラに行動した。


 エメラは実家へ行き、ヴィオラは終末の鐘へ。

 アクアとマリアは買い物で、ナツメは永遠の眠り亭へ。

 そしてクロトは久しぶりにグレンの元へ。




「グレンさん、お久しぶりです。」

「・・・お前さんか。久しぶりと言う程でも無いが。」


 グレンはグレンで長生きなので、久しぶりとも思わない様子だったが。


「それで、今日はどうした?プリズム鉱石でも手に入ったか?」

「いえ、そちらはまだです。今日は・・・シロナについて尋ねに来ました。」

「・・・懐かしい名前だな。」

「やはりご存知でしたか・・・。」


 予想通りではあったが、それでも驚きは隠せないクロト。


「奴について聞くということは、やはり知り合いか?」

「ええ、そうですよ。最高のライバルで、最高の親友です。」

「・・・そうだろうとは思っていたが、本当にそうだったとはな。」


 グレンはクロトとシロナが知人であるということも予想していたらしい。

 また、どうして自分がシロナの事をしっていると思ったのか気になった。


「どうしてシロナを知っていると気づいた?」

「シロナの持つ剣が、グレンさんの作る剣と似ていましたので。」

「なっ!?シロナがこっちに来ているのか!?」


 グレンは目を見開いて、クロトを問いただした。

 ここまで驚いたグレンを見るのは、クロトでも初めてである。


「いえ、そういう訳ではありませんが。知る機会がありまして・・・。」

「知る機会・・・ああ、山羊の試練か。懐かしいものだな・・・。」

「ご存じだったのですか?」

「天の塔だろう?アレはクリアされる度に場所が変わるが、内容は変わらん。」


 実際に攻略したという訳ではなさそうだが、情報は知っているらしい。


「あ、その天の塔なんですが、すぐそこにありますよ?」

「・・・・・・。」


 気づいていなかったらしく、絶句している。


「まさかドレファトに・・・。シロナの時は酷い場所にあったものだが。」

「やはりシロナも攻略済みですか・・・。」


 シロナ人形がシロナに呑み込まれたことと関係がありそうである。

 シロナの残り香のようなものが原因ではないだろうかと推測したクロト。


 そして、一番気になっていたことを尋ねる。


「グレンさんが僕に優しかったのは、シロナのことがあったからですか?」

「・・・そうとも言えるし、違うとも言える。」


 決して否定はしないが、完全な肯定もしないグレン。

 一体どういうことなのか。


「確かにシロナから、お前さんらしき男の話は聞いていた。そういう理由で気にかけていたことも否定しない。」

「では、違うというのは・・・?」

「それは、実際に会って、武具を作ってやりたいと思える男だったに過ぎない。」


 つまり、シロナのことは抜きにしても、大層気に入ったということだろう。


「どこをそんなに気に入ったんでしょうか・・・。?」

「人となりや性格、色々ある。解析を一度も使おうとしなかったこともな。」

「・・・解析されたことに気づけるのですか?」

「当然だ。超越者ともなればそれくらいは可能だ。」


 クロトはそもそも人目にとまらないようにするので、無縁だった。

 その為、解析される感覚については心当たりが無かったのだ。

 なんとも、思わぬ盲点である。



 その後しばらく、グレンとシロナの思い出話をした。

 グレンはシロナとパーティーを組んだこともあるのだとか。


「俺が創世スキル『創造神』を入手したのも、丁度その頃だったか・・・。」

「シロナがご迷惑をおかけしたようで・・・。」

「迷惑という程ではない。散々振り回されはしたがな。」


 しみじみとそう語るグレン。

 創造神のスキルは、素材の完全理解というとんでもない効果がある。

 その代償として、戦闘能力は一切ないのだが。


「それにしても、シロナにそんな時期があったとはな・・・。」

「昔のシロナは、自己中心的な思考を理解できませんでしたからね・・・。」

「あの時々わがままになるシロナが、お前さんの影響だったとは・・・。」

「・・・何か済みません。」


 クロトは何やら申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「いや、寧ろ礼を言わねばならんぞ。あの魅力的なシロナにしてくれた事を。」

「グレンさん、まさか・・・。」


 クロトはグレンが本当に言いたいことに気づいてしまった。


「俺はきれいさっぱり振られてしまったがな・・・。今では良い思い出だ。」

「・・・・・・。」


 クロトは赤裸々な発言に絶句した。

 そして、何とも言えない微妙な気持ちになる。


 クロトもそうだが、日本において、シロナは欠片もモテなかった。

 どちらかというと、二人とも気味悪がられていたのだ。


「ま、昔の話だ。今は何とも思っていない。」


 グレンがそう断言して、話を締めたのだった。

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