異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

ディアナの嫉妬

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 クロトはアイシアの頭を撫で続ける。

 アイシアも満更ではなさそうだ。


 すると、ディアナが表情を歪めながら発言する。


「ちょっとクロト、いつまで撫でてるのよ?」

「ん?・・・ああ、なるほどね。」


 クロトはディアナの表情から言いたいことを理解して、アイシアに教えた。


「アイシア、君が僕に撫でられ続ける事、ディアナは気に入らないみたいだよ?」

「なっ・・・!?」

「えっ・・・それって・・・。」


 つまり、少々ではあるが嫉妬しているということだろう。

 失って初めて気づくこともあるのが人間というもの。

 今まで自分以外にアイシアが懐かなかった為に、初めての感情なのであろう。

 ディアナも困惑しているのがその表情から窺える。


「ディアナ先輩っ!」

「ちょっ、アイシア・・・!?」


 アイシアは満面の笑みでディアナに抱き着いた。

 ディアナは恥ずかしがりながらも、嫌には思っていない様子。


「安心してください!私はディアナ先輩一筋ですっ!」

「なっ!?待って!私はそういう趣味じゃないわよ!?」

「私も違いますから大丈夫です!それより、先輩も抱き締めてください!」

「っ!?」


 そんな発言を聞いて、本当に同性愛の気がないのかと疑問に思うディアナ。

 普段なら抱き締め返すなど決してしなかっただろう。

 だが今は状況が悪く、嫉妬心を煽られたばかりなのだ。

 ついつい、アイシアの要求通りに抱き締め返してしまった。


 気づいたときには遅く、周囲に居るクロトたちに温かい目で見守られていた。


「ッ!?アイシア、そろそろ離れなさい!」

「あ、はい・・・。」


 アイシアも周囲の状況を理解して、素直に離れた。

 二人とも羞恥のせいで顔が赤い。

 ディアナに至っては八つ当たりと分かりながらも、クロトに文句をつける。


「クロト!あんたが余計な事言ったせいで恥をかいたじゃない!」

「ん?それは悪かったね。でも、本当のことだよね?」

「っ・・・それは・・・!」


 クロトは腹も立てずに、微笑みながらそう返した。

 ディアナは思わず言葉に詰まってしまった。


 クロトがアイシアを撫で続けている時に湧いた暗い感情は、恐らく嫉妬。

 得体のしれない感覚に突き動かされての発言だったが、あれで理解させられた。

 アイシアがどんな苦行を積んでいるのかを。


 頑張っているアイシアをガッカリさせるような嘘は吐きたくなかったようだ。


 結果として、黙ったままクロトを軽く睨むしかできなくなった。

 そして、その沈黙を破ったのはアイシア。


「クロトさん、ディアナ先輩も撫でてあげてください!」

「えっ?」

「アイシア!?何言ってるのよ!?」


 ディアナは訳が分からず、クロトは意味不明といった表情だ。


「ディアナ先輩も気持ちよくしてあげてください!」

「アイシア、その言い方だと卑猥に聞こえるからね?」

「えっ・・・?あっ・・・!」


 クロトが言わんとするところを理解して、真っ赤になった。


「・・・それで、ディアナは撫でてほしいの?」

「そんなわけないでしょ!」

「本当に?」

「・・・・・・。」


 ディアナは先程撫でられていたアイシアの気持ちよさそうな顔を思い出した。

 すると、ムクムクと興味が湧いてきた。

 基本、好奇心旺盛な性格なのだ。


「別に、妙な意図があって言ってるわけではないからね?」

「それくらい分かってるわよ。クロトはそんな奴じゃないわ。」


 死者の迷宮やフルーリエの町の一件を思い出しながら断言した。

 クロトがその気なら、とっくに手籠めにされているという自信があるらしい。

 ちっとも自慢できることではないが。


「それで、どうするの?」

「・・・・・・じゃあ、少しだけお願いするわ。」

「了解。嫌になったらすぐに言ってね?」


 ディアナは好奇心を優先した。

 アイシアの気持ちよさそうな顔が頭をちらついて離れないのだ。


 クロトは満を持して、ディアナの頭を撫でた。

 その手つきは性的なものを一切感じさせない、優しいものだった。

 ディアナは、かつて祖父や両親に撫でられたことを思いだした。


(・・・悪くないわね。とても安心する・・・。)


 知らず知らずのうちに表情が緩んでゆき、とても気持ちよさそうな顔になった。


 アイシアは特に嫉妬しなかった。

 お世話になり過ぎているせいか、信頼しているせいか。

 相手がクロトだと嫉妬心が湧いてこないのだ。

 寧ろ、ディアナに相応しいのはクロトしか居ないとすら思っている。


 結局、少しだけのはずが、長々と撫でることになった。

 ディアナがいつまで経ってもやめてもらおうとしなかったのだ。


「ディアナ、そろそろ・・・。」

「えっ?もう?」

「もう、と言っても、そろそろ五分だけど・・・?」

「・・・・・・えっ?」


 ディアナは言葉の意味を理解して、一瞬で真っ赤になった。

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