異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

アクアの試練

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 クロトは二本の剣を携えたままで、工房を後にした。


 別れ際、「検証のためにヘキサアイズを狩ってこい。」などと言われた。

 そのヘキサアイズと戦う為に装備強化が必要なので、完全に本末転倒である。


 クロトが向かう先は、ドレファトの町にある自分の家。

 アクアたちを待たせてあるのだ。


 理由は・・・自己超越の試練を見守るため。

 何度も先送りになっていた創世の試練だが、ついに決行の日がきたのだ。





「それじゃあアクア、いってらっしゃい。」

「はい、といっても、こちらではほんの数分の出来事なのでしょうけど。」


 アクアはクロトやエメラたちに見送られ、試練を受ける権利を行使した。










 アクアの前には、プラチナブロンドの長髪を持つ絶世の美女が居た。



「ようこそ自己超越の試練へ。私は創世神を務めております。」

「お久しぶりですクラリスさん。以前はお世話になりました。」

「えっ・・・?あなたは・・・アクアリアさん、でしたか?」

「はい、それであっていますよ。」


 クラリアセレスは厳格な雰囲気のまま、受け答えをしている。

 どこからどう見ても、偉大な創世神だ。


 ・・・服装以外は。


「・・・これは、クロトさんに痴女と言われても仕方がないかと。」

「誰が痴女ですかっ!やはりあの人のお知合いのようですね!」


 クラリスはアクアの言葉でクロトのことを思い出して頬が赤くなる。

 口説かれたときのことを思い出してしまったようだ。

 もっとも、クロトに口説いているつもりなど欠片もなかったのだが。


「・・・・・・。」

「・・・どうかなさいましたか?」


 アクアが沈黙してしまったので、クラリスは心配した。

 アクアはクラリスの体を食い入るように見つめている。


「・・・本当に、この上なく抜群のプロポーションですね。」

「・・・お世辞はいりません。では、試練の説明を致します。」


 クラリスは全く取り合わずに、説明に移ってしまった。


「あなたが受ける試練は、今までに出会った中で最強の敵を倒す、です。」

「またクロトさんと戦うことになりそうですね・・・。」


 アクアは気合を入れてから、クラリスに開始を告げる。


「では、試練を始めます。」

「かしこまりました。ご健闘を祈ります。」


 次の瞬間、アクアを基点に、試練が行われる空間が形成され始めた。


「あ、その前に・・・。」

「・・・?」


 アクアがクラリスの傍へ何かを投げた。

 クラリスは理解が及ばず、首を傾げた。


 そうしている間にも、試練の空間は完成し、アクアはその場から消えた。


「なんでしょうか、これは・・・?」


 クラリスはアクアが投げた物を拾って確認した。

 するとそこには、「押すべからず!」というボタンがあった。


「何ですかこれっ・・・!こんなことを書かれたら押したくなるではないですか!」


 クラリスはボタンを手に取ったまま、もじもじオロオロするのであった。

 この世界の創世神様は、とても可愛らしい。











 試練を受けたアクアは、完成した試練の空間を把握して、眉を顰めた。

 そこは、懐かしき場所、ブルースフィア家。

 その屋敷の中にある、自分の部屋であった。


 そして、目の前に居るのは、やはりというべきか、クロト。

 偽クロトは無表情のまま口を開いた。


「ようこそ、自己超越の試練へ。説明はいるかい?」

「はい。一応聞いておきます。」

「了解。といっても、殆ど説明することはないんだけれどね。」


 偽クロトは苦笑しながら説明を開始した。


 重要な点は二つ。

 偽クロトはクロトそのものではなく、アクアの認識によって変化する。

 アクアが目の前の存在を大したことが無いと思えれば、その分弱くなる。


「・・・あの、クロトさんが随分と好意的なのは・・・?」

「君の認識のせいだよ。・・・軽く引くレベルで愛しあっているんだね。」


 偽クロトは顔を引き攣らせながら、後半部分を呟いた。

 アクアは羞恥からか、真っ赤になってしまった。


「では、試練を始めるよ。」

「はい・・・!」


 アクアと偽クロトはそれぞれ戦闘態勢に入る。

 それから数秒後、戦いは始まった。








「水神魔法・神氷天絶波!」

「なっ・・・!?」


 そして、一瞬で勝敗がついた。

 アクアが試練の空間ごと破壊し、偽クロトを生き埋めにして。


「まあ、であれば、当然、本物の何倍も弱いですよね。」


 アクアは、普通ではないことを、さも普通のことのように呟いた。

 試練を受ける者の認識によるというのは、こういう結果も生み出すようだ。

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