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第三部「全能神座争奪戦」編
黒への適性値100%
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聞き覚えのある轟音が響いたが、思いのほか音は小さい。
どうやら、かなり遠くで振るわれた一撃らしい。
「・・・さて、遠くに居ることが分かったのだから、遺品の回収を急ごう。」
「あぁぁ・・・やっぱりこの依頼を受けたのは早まったかもしれないわね・・・。」
「どのみち、遠からず激突する相手だ。腹を括るとしよう。」
微妙に顔を青くしたアヤカをアッシュがフォロー。
クロトたちは全員で顔を見合わせ、アンジェの案内でガーランドが死んだと思われる場所を目指して歩みを再開したのだった。
何度か戦闘をこなした後、ほどなくしてガーランドの死体が発見された。
見るも無残な姿になっていたが、遺品の回収に問題はなさそうである。
「ガーランド・・・ありがとう。あなたのおかげで、私もエアリスも生き残ることが出来たわ。あなたのことは、一生忘れない・・・『火帝魔法・鎮魂の焔』!」
アンジェリカとエアリスが短い別れを済ませ、その死体を燃やして弔った。
恋人や仲間のために命を賭して時間を稼いだ偉大なる強者に、クロトとシロナ、アッシュ、アヤカたちも、各々の方法で冥福を祈った。
それからウィルハイムの死体もすぐに見つけ、同様に弔った。
これで、遺品回収の依頼はおおよそ完了である。
ここからは、本格的に<変異深紅鬼>を探して、これを討伐しにかかる。
「一先ず、<深紅鬼の巣窟>の中心区画へ向かうよ。そこで狩りをしながら対象を捜索する。方向は・・・さっき轟音がした方角で。」
クロトの指針を示す言葉を皮切りに、一同気を引き締め直して捜索を開始した。
▽▽▽
その深紅色をした鬼は、獲物を求めてさまよっていた。
自らが手に入れた<力>を試すために。
昨日、鬼の目の前に落ちてきた赤い欠片を興味本位で呑み込んだところ、その影響は劇的なものになった。
元々は並の<深紅鬼>でしかなかったというのに、みるみるうちに力が湧いてきて、身体能力が永続的に五十%も上昇したのである。
元はAランクであったが、今は全ての能力がS-に届き、筋力に至ってはそれさえも超えている。
Sランクの能力値というのは99999を突破した状態のことであり、神格を持たない存在が辿り着けるはずの無い領域。
しかし、この<深紅鬼>はあろうことか、そこを突破してしまった。
全能神の権能を宿した欠片の影響である。
「―――ゴガアアアアアッ!!!」
分割された権能のうち、<力>と<存在質量>を宿した赤い欠片を取り込んだ鬼は、同種の<深紅鬼>を容易く殴り殺し、次の獲物へ向けて歩き出したのだった。
△△△
「・・・『金剛剣・断割』!」
アッシュが細身の体からは信じられない程の筋力で、大剣を叩きつけた。
敵の<深紅鬼>は、斬られたというより叩き潰されたような状態になって絶命。
「・・・あっ、私のレベルが上がったみたいです。」
「そうなの? おめでとうエアリス。」
どうやらエアリスのレベルが上がったようで、アンジェに嬉しそうに報告した。
このレベル帯になると一つ上げるだけでも大変なので、喜びが大きいのだ。
クロトはそんな二人の声を聞き流しながら、死に体だった鬼に止めを刺した。
<個体『クロト・ミカゲ』が『レベル125』から『レベル126』になりました>
<個体『クロト・ミカゲ』の『黒への適性値』が『100%』になりました>
<条件を満たしました。感情の逆流が発生します>
<スキル「闇魔法」がレアスキル〈黒魔法〉に進化しました>
このようなアナウンスが流れ、クロトに感情の逆流が起こった。
それは、己の自己中心的な行いによって犠牲となり、苦しむこととなった者たちの感情であり、怨嗟の声。超越者といえども発狂しかねない逆流現象。
そんなものに晒されたクロトは・・・
(・・・ん? 今誰か、何か言ったかな? ・・・気のせいだね。)
・・・さらりと受け流して解体を始めたのだった。
黒への適性値というのはすなわち、自己中心主義を表す。
また、自分のしてきたことを客観的に理解させられ、自分の過ちを叩きつけられるのが最後の試練となっている。
普通ならばここでその命を散らすことになるのだが、クロトは違った。
過去にシロナという存在と触れあい、己とは別のアプローチがあるのだと重々承知していたのである。
つまり、自分の行いが必ずしも正しくないのだと、とうの昔に気づいていて、その上で己のやり方を貫いているのだ。
今更、そんな感情を逆流させられても、それは既知の情報でしかない。
「・・・およ? クロト、いま一瞬だけ違和感があったなー、と。」
「ん? じゃあ気のせいじゃなかったのかもね。まあ、些細な問題だけれど。」
クロトは自分が聞いたシステムアナウンスの内容を話した。
クロトからアナウンスの内容を聞いて、何か思い当たる節があったらしいシロナ。
うんうんと唸り始め・・・数秒後。
「むむむ・・・あっ、思い出したっ!『白の適性値』が100%になったときに流れたシステムアナウンスと同じなんだっ! 懐かしいなぁ・・・!」
「へぇ・・・シロナにも、ね。」
シロナもかつて、白天神となる前に似たような現象があったらしい。
こちらは己の助けた者が、その結果不幸になる映像が延々と流れたのだとか。
こちらもクロト同様、軽く流してしまったらしいが。
(白天神と黒天神・・・この二つも謎だよね。どういうルーツがあるのやら。)
クロトはそんな疑問の答えを探しつつ、解体を終えたのだった。
どうやら、かなり遠くで振るわれた一撃らしい。
「・・・さて、遠くに居ることが分かったのだから、遺品の回収を急ごう。」
「あぁぁ・・・やっぱりこの依頼を受けたのは早まったかもしれないわね・・・。」
「どのみち、遠からず激突する相手だ。腹を括るとしよう。」
微妙に顔を青くしたアヤカをアッシュがフォロー。
クロトたちは全員で顔を見合わせ、アンジェの案内でガーランドが死んだと思われる場所を目指して歩みを再開したのだった。
何度か戦闘をこなした後、ほどなくしてガーランドの死体が発見された。
見るも無残な姿になっていたが、遺品の回収に問題はなさそうである。
「ガーランド・・・ありがとう。あなたのおかげで、私もエアリスも生き残ることが出来たわ。あなたのことは、一生忘れない・・・『火帝魔法・鎮魂の焔』!」
アンジェリカとエアリスが短い別れを済ませ、その死体を燃やして弔った。
恋人や仲間のために命を賭して時間を稼いだ偉大なる強者に、クロトとシロナ、アッシュ、アヤカたちも、各々の方法で冥福を祈った。
それからウィルハイムの死体もすぐに見つけ、同様に弔った。
これで、遺品回収の依頼はおおよそ完了である。
ここからは、本格的に<変異深紅鬼>を探して、これを討伐しにかかる。
「一先ず、<深紅鬼の巣窟>の中心区画へ向かうよ。そこで狩りをしながら対象を捜索する。方向は・・・さっき轟音がした方角で。」
クロトの指針を示す言葉を皮切りに、一同気を引き締め直して捜索を開始した。
▽▽▽
その深紅色をした鬼は、獲物を求めてさまよっていた。
自らが手に入れた<力>を試すために。
昨日、鬼の目の前に落ちてきた赤い欠片を興味本位で呑み込んだところ、その影響は劇的なものになった。
元々は並の<深紅鬼>でしかなかったというのに、みるみるうちに力が湧いてきて、身体能力が永続的に五十%も上昇したのである。
元はAランクであったが、今は全ての能力がS-に届き、筋力に至ってはそれさえも超えている。
Sランクの能力値というのは99999を突破した状態のことであり、神格を持たない存在が辿り着けるはずの無い領域。
しかし、この<深紅鬼>はあろうことか、そこを突破してしまった。
全能神の権能を宿した欠片の影響である。
「―――ゴガアアアアアッ!!!」
分割された権能のうち、<力>と<存在質量>を宿した赤い欠片を取り込んだ鬼は、同種の<深紅鬼>を容易く殴り殺し、次の獲物へ向けて歩き出したのだった。
△△△
「・・・『金剛剣・断割』!」
アッシュが細身の体からは信じられない程の筋力で、大剣を叩きつけた。
敵の<深紅鬼>は、斬られたというより叩き潰されたような状態になって絶命。
「・・・あっ、私のレベルが上がったみたいです。」
「そうなの? おめでとうエアリス。」
どうやらエアリスのレベルが上がったようで、アンジェに嬉しそうに報告した。
このレベル帯になると一つ上げるだけでも大変なので、喜びが大きいのだ。
クロトはそんな二人の声を聞き流しながら、死に体だった鬼に止めを刺した。
<個体『クロト・ミカゲ』が『レベル125』から『レベル126』になりました>
<個体『クロト・ミカゲ』の『黒への適性値』が『100%』になりました>
<条件を満たしました。感情の逆流が発生します>
<スキル「闇魔法」がレアスキル〈黒魔法〉に進化しました>
このようなアナウンスが流れ、クロトに感情の逆流が起こった。
それは、己の自己中心的な行いによって犠牲となり、苦しむこととなった者たちの感情であり、怨嗟の声。超越者といえども発狂しかねない逆流現象。
そんなものに晒されたクロトは・・・
(・・・ん? 今誰か、何か言ったかな? ・・・気のせいだね。)
・・・さらりと受け流して解体を始めたのだった。
黒への適性値というのはすなわち、自己中心主義を表す。
また、自分のしてきたことを客観的に理解させられ、自分の過ちを叩きつけられるのが最後の試練となっている。
普通ならばここでその命を散らすことになるのだが、クロトは違った。
過去にシロナという存在と触れあい、己とは別のアプローチがあるのだと重々承知していたのである。
つまり、自分の行いが必ずしも正しくないのだと、とうの昔に気づいていて、その上で己のやり方を貫いているのだ。
今更、そんな感情を逆流させられても、それは既知の情報でしかない。
「・・・およ? クロト、いま一瞬だけ違和感があったなー、と。」
「ん? じゃあ気のせいじゃなかったのかもね。まあ、些細な問題だけれど。」
クロトは自分が聞いたシステムアナウンスの内容を話した。
クロトからアナウンスの内容を聞いて、何か思い当たる節があったらしいシロナ。
うんうんと唸り始め・・・数秒後。
「むむむ・・・あっ、思い出したっ!『白の適性値』が100%になったときに流れたシステムアナウンスと同じなんだっ! 懐かしいなぁ・・・!」
「へぇ・・・シロナにも、ね。」
シロナもかつて、白天神となる前に似たような現象があったらしい。
こちらは己の助けた者が、その結果不幸になる映像が延々と流れたのだとか。
こちらもクロト同様、軽く流してしまったらしいが。
(白天神と黒天神・・・この二つも謎だよね。どういうルーツがあるのやら。)
クロトはそんな疑問の答えを探しつつ、解体を終えたのだった。
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