異世界隠密冒険記

リュース

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第三部「全能神座争奪戦」編

<探究者の魔箱>

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 クロト一行は<深紅鬼の巣窟>にて度重なる<深紅鬼>の襲撃を受けた。
 そしてその全てを討伐し、屍の山を築いていた。


「もう深紅鬼は飽きたわね・・・。」

「どこにも居ませんね、変異種の深紅鬼・・・。」


 アヤカとエアリスがため息を吐いて、そんな本音を口にした。
 彼女らもクロト同様冒険好きなのだが、同じ相手ばかりというのは飽きるらしい。

 シロナも少々退屈そうではあるが、相変わらず笑みは絶やさない。


「それで、なんだけど・・・コレはどうすればいいのかな?」

「・・・俺も見るのは初めて故に、分からん。」

「右に同じですね。私も分からないわ。」


 クロトとアッシュ、アンジェが見つめる先にあるのは・・・宝箱モドキ。
 ランク〖A+〗評価だったかなり強い<深紅鬼>を討伐したところ、突然出現したのだ。これを見たことがあるのは、この中ではシロナだけ。


「はいはーいっ!私が説明しちゃうよっ! この宝箱は、通称<探究者の魔箱トレジャーボックス>!特定の条件下でのみ出現する謎アイテムなのだっ!」

「特定の条件というと?」

「うーん・・・それは色々だね。今回の場合は、特殊個体の<深紅鬼>を倒したからだと思うよ?ねぇクロト、解析で何か分からなかった?」

「うん?」


 クロトはシロナに問われて、解析結果を思い出してみた。


「・・・特に何も?強いて言うならランクA+だったくらいかな。」

「十分特異点ですよねっ!?」

「それを先に言いなさいよっ!道理で少し苦労した訳だわっ!」

「あははははっ!さっすがクロト、そういうとこ本当に大好きだよっ!」


 エアリスとアヤカが驚愕して、アッシュとアンジェは頭が痛そうだ。
 シロナはクロトに抱き着いて、愛情表現を行っている。

 四人はクロトに文句を言おうとしたが、直ぐに考え直した。
 恐らく、本当に大した違いが無かったのだろうと結論付けたのだ。

 現に、何の問題も無く討伐しているのだから。

 もしこれで、近くに別の魔物が居たのならば、念のため知らせていただろう。
 今回は必要なく、寧ろ邪魔にしかならないから報告しなかったのだ。


「・・・シロナ、鬱陶しいから離れて。」

「そんなこと言いつつ本当は嬉しいくせにっ! うりうりっ!」

「はぁ・・・それで、この宝箱・・・<探究者の魔箱>はどうすればいいの?」

「おっと、そうだった! まあ、銅色だし大したことはないと思うよ?」


 シロナはクロトから引きはがされつつ、トレジャーボックスの説明を始めた。

 宝箱<探究者の魔箱トレジャーボックス>は三種類が発見されている。
 数の多いモノから順に、銅色の宝箱、銀色の宝箱、金色の宝箱。
 一説にはその上もあるとされているが、真偽は不明だ。

 宝箱の中には文字通り宝が入っているが、箱には多種多様な仕掛けが施されていて、開けるのには危険が伴う。

 例えば、開けた瞬間に魔物が飛び出してくるとか。
 例えば、罠が仕掛けられていて、開けると毒やら何やらが飛んでくるとか。
 例えば、開けた瞬間に周囲の地面が崩れ始めるとか。

 多種多様ではあるが、えてして銅色の仕掛けは単純で危険度が低く、上に行くに従って危険度は高くなる。
 もっとも、銅色の危険度でも、レベル100以下だと即死モノだとか。
 

「―――とまあ、こんな感じ!私も金は数える程しか見たことがないけどね?」

「噂話で聞いたことがあったのだけれど、本当だったのね・・・。」

「一説ではダンジョン報酬の代わり、みたいに言われてるよ。真偽は不明!」


 シロナの言うように、<探究者の魔箱>には分からない点が多い。

 だが、クロトはその一説があながち間違っていないかもしれないと考えた。


(確か、ダンジョンはクラリスが用意したシステムだったはず。だとしたら、こちら側にはクラリスの手が届ききらないということかも・・・?)


 そんな思考は、途中で打ち切った。

 そもそも外側の世界自体が謎だらけだ。
 情報が足りないので、ここで答えを出しても確度が低いと判断したのだ。
 クロトは今のところ危険過ぎる魔物たちを隔離しているのだと推測しているが。


(―――いや、人間の方を安全になるよう隔離している、のかな?)


 案外的を射ていそうな考えだが、クロトは思考を目の前にある銅色の箱に戻した。


「それで・・・開けるの?」

「え、開けないの?私、中身が気になるんだけど・・・。」


 クロトの問いに、アヤカが不思議そうな顔をしつつ体をうずうずさせていた。


「いや、だって・・・これから強敵の討伐が控えているのに、消耗するよ?」

「・・・あ。」


 どうやらそこまで頭が回っていなかったらしい。


「それに・・・丁度探知範囲に入ったみたいだからね。例の<深紅鬼>が。」


 クロトはユニークスキル〖神の瞳〗に意識を向けつつ、そう告げたのだった。

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