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第三部「全能神座争奪戦」編
VS「力」の<深紅鬼> 1
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そこからの展開は早かった。
シロナ曰く、<探究者の魔箱>は開けようとしなければ反応しないとのことなので、クロトがアイテムボックスへ収納。
そして、討伐対象の情報について再度確認し合う。
「敵、<変異深紅鬼>は全体的な強さもさることながら、その力が異常の一言。その一撃は宙さえ駆けて繰り出される。絶対に拳、ないし腕の振られる射線に入らないように。万一の場合は残りの全員でフォローするように。」
「「「「「了解(です)。」」」」」
「ん、じゃあ・・・作戦開始。」
クロトの合図で各々が動き始めた。
共有されていた敵の位置情報を元に、配置に着くのだ。
前衛組四人は接敵し、後衛組二人はクロトの隠蔽効果を受けた状態で離れた位置から魔法で援護することになる。
六人は森の中を駆けて・・・やがて討伐対象を発見した。
<変異深紅鬼>は、丁度<深紅鬼>の集団を壊滅させたところであった。
勝利した瞬間に生じる油断を突き、シロナが先制攻撃を仕掛ける。
「―――今。『白天の百迅』っ!」
「ガ? ・・・ゴアアアアッ!!」
深紅の鬼は勝利の余韻を邪魔した闖入者を、不機嫌になりつつ迎撃。
その拳で<天導主の白剣>を弾いた。
「わわっ!?剣が壊れるっ!!」
神器であるはずの剣が軋む音がして、慌てて跳び退るシロナ。
剣を確認すると、その剣身にダメージが入っているのが窺えた。
これがただのアーティファクトだったら破壊されていただろう。
クロトはシロナの攻防を見つつ、解析を発動。
(・・・ダメだね。表示がバグッていて意味を為してない。<全能神の欠片>は、深紅色に染まっている。この魔物が取り込んだとみて間違いない。)
文字化けしている中で唯一読み取れたのは、魔物の名称。
すなわち・・・「力」の深紅鬼。
「解析は通らない! 予定通りに!」
クロトはそう声を上げて、拳の射線を避けつつ鬼に迫る。
「―――<星天装>発動!『神天一閃・龍絶』!」
腕を狙って<幻龍神の月剣>を一閃。
力の深紅鬼はその攻撃を避けもせず、腕で受け止めた。
筋力A-のクロトでは、全能力がS-を越えた鬼に攻撃が殆ど通らないようだ。
とはいえ、それは予想していたことなのでさしたる問題は無い。
一度引こうとしたクロトをロックオンしていた鬼に、火帝魔法が飛んできた。
鬼は煩わしそうにしつつも、きっちり防御に移り、クロトへの追撃を諦めた。
「私の攻撃だとこれくらいしか通らないわね。『刀帝技・天割』っ!」
「グガアッ!?」
ここで初めて敵にダメージが入った。
深紅鬼はアヤカの技を防御しなかった。
意外と、シロナとクロト、アンジェリカへの対応で一杯一杯だったらしい。
その「力」は脅威であるし、全体的な能力値も高い。
その拳は一撃であらゆる存在を破壊するが、言ってしまえばそれだけ。
判断力や思考速度は、深紅鬼に毛が生えた程度でしかない。
強敵ではあるが・・・倒せない敵ではないのだ。
「回復力・・・深紅鬼と大差なし、だね。予定に変更なし!このまま攻める!」
クロトの合図とほぼ同時に、どこからか風の魔法が飛来した。
エアリスの放った『風帝魔法・嵐天縛』である。
深紅鬼はその異常な「力」ですぐさま振り払ったが、どうしても一瞬の硬直は生まれるものだ。
そしてその隙を逃す超越者たちではない。
前衛組四人が一斉に動き出す。
最初はまだ動いていなかったアッシュ。
「すぅ・・・『金剛剣・断割』っ!」
「ガッ!!」
アッシュの一撃を危険と判断した深紅鬼はその拳を振りかぶり、アッシュ諸共、大剣を粉砕しにかかった。
このままではアッシュが危険なので、残りの三人はその援護に入る。
各々がアッシュの邪魔にならないように技を放ち、深紅鬼の腕の軌道を逸らそうと試みた。
「アッシュっ!!『刀王術・飛天』っ!」
「その攻撃待ったぁっ!!『白天の飛刃』っ!」
「『流星神天龍・参式』っ!」
アヤカとシロナは飛ぶ斬撃。
クロトは生成した三本の<天剣>に〖天神法術〗による属性を纏わせて投擲した。
シロナとアヤカの技で糸口が生まれ、そこに高威力の<天剣>が三本命中。
深紅鬼の腕は大幅に逸らされ、アッシュへの攻撃は不発。
その代わりに後方の森の一部が轟音とともに消失したが、些細な問題だ。
そして、アッシュの全力攻撃が、炸裂する。
「ガアアアアッ!?」
振り抜いた状態だった右腕の肉を大いに破壊され、深紅鬼は絶叫した。
「・・・切断には至らんか。」
「グガアアアアアアッ!!」
深紅鬼は怒りの表情でアッシュたちを見据えた。
戦いはまだ、始まったばかりだ。
シロナ曰く、<探究者の魔箱>は開けようとしなければ反応しないとのことなので、クロトがアイテムボックスへ収納。
そして、討伐対象の情報について再度確認し合う。
「敵、<変異深紅鬼>は全体的な強さもさることながら、その力が異常の一言。その一撃は宙さえ駆けて繰り出される。絶対に拳、ないし腕の振られる射線に入らないように。万一の場合は残りの全員でフォローするように。」
「「「「「了解(です)。」」」」」
「ん、じゃあ・・・作戦開始。」
クロトの合図で各々が動き始めた。
共有されていた敵の位置情報を元に、配置に着くのだ。
前衛組四人は接敵し、後衛組二人はクロトの隠蔽効果を受けた状態で離れた位置から魔法で援護することになる。
六人は森の中を駆けて・・・やがて討伐対象を発見した。
<変異深紅鬼>は、丁度<深紅鬼>の集団を壊滅させたところであった。
勝利した瞬間に生じる油断を突き、シロナが先制攻撃を仕掛ける。
「―――今。『白天の百迅』っ!」
「ガ? ・・・ゴアアアアッ!!」
深紅の鬼は勝利の余韻を邪魔した闖入者を、不機嫌になりつつ迎撃。
その拳で<天導主の白剣>を弾いた。
「わわっ!?剣が壊れるっ!!」
神器であるはずの剣が軋む音がして、慌てて跳び退るシロナ。
剣を確認すると、その剣身にダメージが入っているのが窺えた。
これがただのアーティファクトだったら破壊されていただろう。
クロトはシロナの攻防を見つつ、解析を発動。
(・・・ダメだね。表示がバグッていて意味を為してない。<全能神の欠片>は、深紅色に染まっている。この魔物が取り込んだとみて間違いない。)
文字化けしている中で唯一読み取れたのは、魔物の名称。
すなわち・・・「力」の深紅鬼。
「解析は通らない! 予定通りに!」
クロトはそう声を上げて、拳の射線を避けつつ鬼に迫る。
「―――<星天装>発動!『神天一閃・龍絶』!」
腕を狙って<幻龍神の月剣>を一閃。
力の深紅鬼はその攻撃を避けもせず、腕で受け止めた。
筋力A-のクロトでは、全能力がS-を越えた鬼に攻撃が殆ど通らないようだ。
とはいえ、それは予想していたことなのでさしたる問題は無い。
一度引こうとしたクロトをロックオンしていた鬼に、火帝魔法が飛んできた。
鬼は煩わしそうにしつつも、きっちり防御に移り、クロトへの追撃を諦めた。
「私の攻撃だとこれくらいしか通らないわね。『刀帝技・天割』っ!」
「グガアッ!?」
ここで初めて敵にダメージが入った。
深紅鬼はアヤカの技を防御しなかった。
意外と、シロナとクロト、アンジェリカへの対応で一杯一杯だったらしい。
その「力」は脅威であるし、全体的な能力値も高い。
その拳は一撃であらゆる存在を破壊するが、言ってしまえばそれだけ。
判断力や思考速度は、深紅鬼に毛が生えた程度でしかない。
強敵ではあるが・・・倒せない敵ではないのだ。
「回復力・・・深紅鬼と大差なし、だね。予定に変更なし!このまま攻める!」
クロトの合図とほぼ同時に、どこからか風の魔法が飛来した。
エアリスの放った『風帝魔法・嵐天縛』である。
深紅鬼はその異常な「力」ですぐさま振り払ったが、どうしても一瞬の硬直は生まれるものだ。
そしてその隙を逃す超越者たちではない。
前衛組四人が一斉に動き出す。
最初はまだ動いていなかったアッシュ。
「すぅ・・・『金剛剣・断割』っ!」
「ガッ!!」
アッシュの一撃を危険と判断した深紅鬼はその拳を振りかぶり、アッシュ諸共、大剣を粉砕しにかかった。
このままではアッシュが危険なので、残りの三人はその援護に入る。
各々がアッシュの邪魔にならないように技を放ち、深紅鬼の腕の軌道を逸らそうと試みた。
「アッシュっ!!『刀王術・飛天』っ!」
「その攻撃待ったぁっ!!『白天の飛刃』っ!」
「『流星神天龍・参式』っ!」
アヤカとシロナは飛ぶ斬撃。
クロトは生成した三本の<天剣>に〖天神法術〗による属性を纏わせて投擲した。
シロナとアヤカの技で糸口が生まれ、そこに高威力の<天剣>が三本命中。
深紅鬼の腕は大幅に逸らされ、アッシュへの攻撃は不発。
その代わりに後方の森の一部が轟音とともに消失したが、些細な問題だ。
そして、アッシュの全力攻撃が、炸裂する。
「ガアアアアッ!?」
振り抜いた状態だった右腕の肉を大いに破壊され、深紅鬼は絶叫した。
「・・・切断には至らんか。」
「グガアアアアアアッ!!」
深紅鬼は怒りの表情でアッシュたちを見据えた。
戦いはまだ、始まったばかりだ。
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