スキルシーフで異世界無双

三毛猫

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未開の地へ

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 ーーカイト視点ーー

《ドラゴンフレイムを習得》
《耐圧強化レベル2を習得》
《浮遊術レベル10を習得》
《寒さ耐性を習得》
《強風撃を習得》

ドラゴンに乗っていただけでこれだけのスキルを習得した。

俺達は未開の地の最初の街に着いた。
街はジフォスティス王国の街より小さいが、見たことがない種族がいた。
魚の顔をしたような種族と紫の鱗がある種族。

「ご飯にしよう」

言語読解スキルで立て札の文字を読む。
飯屋を発見した。

椅子に座り注文する。しばらくして魚料理が出てきた。

「これはなんですか?食べ物でしょうか?」

「魚ですよ。これは魚の煮付けという料理です」
飯屋の店主は困惑した表情を浮かべ説明した。

「さかにゃ?リーニャは見たことがないにゃ。でも美味しそうな匂いがするにゃ」

リーニャは獣人の猫族だから、魚が好みなのか。ジフォスティス王国は高い山に囲まれて海に面していない為、ジフォスティス王国で育った2人は海産物を目にしたことがないのか。

リーニャは魚を一口。

「にゃ、にゃんだこの食べ物はウマウマの極みにゃ!」

「ですから魚です」
リーニャは店主と握手しブンブン上下に振り喜びを表現する。

「美味しい料理でよかったな」

「ウマウマにゃ!」

リーニャはぺろりと3皿完食し、膨れたお腹をポンと叩いた。
4皿目が運ばれてきた。

「魚料理が初めてとは珍しいですね」という店主の問いに
「私達はラウスティル山を越えてきました」とエリリカが言った瞬間、店内にいた全員が静まり返る。

これは非常にマズイ雰囲気だ……。
「じょ、冗談でーす」
俺が茶化して誤魔化したら、店内はまた和やかな雰囲気に戻った。

「冗談でも怖がる人はいますから、あまりそのような事は口にしない方がいいですよ」

「店主、少し聞きたい。何故ラウスティル山を越えてきたと言ってはいけないのだ?」

「ラウスティル山脈の向こうには魔物に支配された国があります。この辺では見ないゴブリンやオークと言ったモンスターにアースドラゴンやミリスティまで生息しているとか」

「だいたい当たってます」
エリリカが答えた。

「なぜ知っているのです?もしや本当にラウスティル山脈を越えて?」

「冗談だって」

店主に勘付かれる前に早く店を出た方がよさそうだ。俺達はお代を払い……


「こ、これは!金ではないですか!」

お代を払うと店主がゴールドを見て叫んだ。しまった。ジフォスティス王国の通貨を出してしまった。痛恨のミス。自ら墓穴を掘ってしまう。もう出してしまったのは仕方ない。

「生憎これしか持ち合わせがありません。これは使えますか?」

「はい。もちろんです。何なら晩御飯も、明日からのご飯もご用意出来ますよ。是非またご来店下さい」
豹変した店主の態度を不審に思い店を出た。


「今夜もあの店で食べます?」

「リーニャはさかにゃがいいにゃ」

「どうしたものか……。俺達がラウスティル山脈を越えたのがバレると厄介らしい。違う店で食べよう。このゴールドをこの街の通貨と交換できたら街を散策しよう」


「そこの3名待たれよ!」
後ろから止められた。振り返ると腰に刀のような細く少し反りのある剣を帯刀した男がいた。
男の体は筋肉隆々で身長も2メートル近い。顔は日焼けし小麦色の肌に鋭い目が光る。眉毛が長く、鼻は高い。髪の毛は短髪の青色をしていた。

「私はファルティア帝国親衛隊隊長のオズワルトだ。先程君達がいた店にいて妙な言動をしていたな」

早速バレたか!

「妙とは?」

「魚に驚いたり、ラウスティル山脈を越えてきたと申したり、極めつけは金貨だ。君達が渡した金貨はこの辺りでは流通していない。あの金貨一つで7日間3食食べれる価値がある」

ジフォスティス王国で当たり前のように使われているゴールドってそんな価値があったのか!

「あれは拾ったもので……」

「そうか。ならばこれは命令である!ファルティア帝国帝都の査問会にご同行願おう」

査問……つまり事件について取り調べるということか?
俺達がラウスティル山脈を越えてきた者であれば罪なのか。
ここはオズワルトに従うしかない。街を出て、オズワルトの先導でファルティア帝国の帝都に着いた。帝都というだけあって立派な石造りの建物が建ち並ぶ。ジフォスティス王国は木造の家が多かったがファルティアは石造りの家ばかりだ。ファルティア帝国の方が建築技術の高さと文化の高さが伺える。

城が見えてきた。まるで西洋のお城そのものだ。城の周りは石造りの塀が囲み、塀を通り城内の敷地に入ると広大な庭が広がっていた。


「査問会は城内一階の剣の間で行う」

庭を横目に俺達は城内に入った。

剣の間……中央の台を中心にして沢山の椅子が並べられている。

「台の上の席に座り待たれよ」

しばらくして剣の間にゾロゾロと人が入ってきた。

豪華な衣装を着た30名が俺達を囲むように座る。リーニャは怯え、エリリカは身構えた。

「査問会員の皆様、お集まり頂きありがとうございます。親衛隊隊長及び国防官オズワルトがラウスティル山脈を越えた者達に対し査問会を要求します。賛成の方は挙手を」

全員が手を挙げる。

「では御三方、自己紹介とラウスティル山脈を越えた経緯をお話しください」

俺達は自己紹介とラウスティル山脈を越えた経緯を話した。

「話は分かりました。要約すると第1にカイト殿はラウスティル山脈の向こうに存在するジフォスティス王国という国を脅かす程の力があり、国王に追われる可能性があり逃亡してきた。第2に旅をして更に強くなる為にドラゴンに乗りラウスティル山脈を越えた……という事ですね」

「追放だ!」
「そうだ!1人で一国を脅かす力がある怪物など追放しろ!」
「強き者を取り込むのはどうでしょう?」
意見が飛び交う。

「静粛に。私達は今日、新たな発見をしました!この大陸にはまだ見ぬ国があり、領地が広がっているのです」

「我々ファルティア帝国の後ろに、そのような国が存在するだけで脅威となるだろう!オズワルト殿はどうお考えか!」
査問員が立ち上がり唸る。

「決して脅威ではありません」

オズワルトは大きな地図を広げた。
その地図には一つの大きな大陸が描かれていた。
大陸は逆三角形の形をしている。
その逆三角形の先端の小さな一角に山で囲まれた部分があった。
1番最南端の小さく描かれた山で囲まれた部分こそジフォスティス王国が位置する場所だった。

「小さっ!」
俺は思わず声が漏れた。

「カイト殿は気付いただろう。ここ大大陸からすれば南の小さな、小さな小国が君達がいたジフォスティス王国なのだ。そして我々、ファルティア帝国は大大陸をニ分する勢力が一つ!大帝国だ!」

パチパチパチパチ……オズワルトの熱の入った説明に拍手が起こる。

「カイト殿が小国を脅かす力があるとは過大評価しすぎであろうと私は思う」

「確かにオズワルト殿の仰る通り」

「この者たちを手厚く迎え入れ、一時的に保護するのはどうだろうか?」

「素晴らしいお考えです」
査問員達がオズワルトの考えに賛同する。

オズワルトは俺達を追放したいのかと思っていたが結局のところ真意は分からないままだった。
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