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謀略の影
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ーー フィナ視点 ーー
今日はいよいよ集大成とも言える偽ルーベルトとの結婚式が行われる。婚姻後、現国王は退位し偽ルーベルトが国王に即位する手筈になっている。
私は結婚式にルーベルトの元婚約候補者であるレベッカとビビを招待した。
城の王の間に集まったクライス王国に属する領主や貴族、国民が1000人以上に見守られ盛大な式が始まった。
国王と王妃の前に私と偽ルーベルトは片膝立ちで跪く。
国王は玉座から立ち上がり、紙を取り出して読み始めた。
「今日ここに、我が息子ルーベルトとリリア・フィナの・・・」
国王は途中で婚姻の宣言を止めて、足元を見た。
私は国王の足元にいた黒い子猫に気付いた。
間違いなくあれは本物のルーベルト。
国王は黒猫を摘み、腕の中に抱き抱え、紙を再び読み上げた。
「今日ここに、我が偽りの息子ルーベルトとリリア・フィナを断罪に処す。2人を捕えよ」
王の間にいた貴族や国民から騒めきが起きた。
私と偽ルーベルトは衛兵に首を押さえられ
赤い絨毯に顔を押さえ込まれ、手首は縄で縛られる。
「やめろ!私は王子の妻になる者!国王!斬首とはどういうことですか!?」
思わず声を荒げた。
「陛下、私は貴方の息子です」
「いや、息子ならここにおる」
国王は黒猫の首を掴み、ポイと投げた。
宙を舞う黒猫は一瞬でルーベルトの姿に。
ルーベルトが2人。この状況にまたしても参列者らが騒ついた。
「私がクライス王国のルーベルトだ。そしてリリア・フィナの隣にいるのは魔法で私に化けたフィナの従者だ」
「馬鹿馬鹿しい。そちらが偽物では?」
私は反論した。
「フィナよ。私に掛けた変身の魔法を一度でも掛けられた者は、元の姿に戻るとこのような紋章が腕に残る」
ルーベルトは袖を捲り、右腕を皆に見せた。手首と肘の間に黒い龍の紋章が刻まれていた。
「この紋章は変身した後は腕に浮かび上がらない」
衛兵はルーベルトに変身した私の従者の袖を捲る。そして参列者の中から1人の老婆が従者に近づいた。
「私は森の魔女マーブラ。さぁこれを腕に」
突然現れたマーブラは衛兵に白い腕輪を渡した。衛兵は腕輪を従者の腕に通した。
「この腕輪は全ての魔法を無効化する貴重な腕輪」
腕輪を通してすぐ従者の腕にルーベルトと同じ龍の紋章が浮かび上がる。そして偽ルーベルトは従者の姿に戻った。
参列者らは騒めき私と従者に罵声を浴びせる。
「静かに。フィナ、最後に何か言いたいことはあるか」
国王の一言で静まる。
「ルーベルト殿下に掛けた古い魔法は強力です。どうして元の姿に戻れたのです?」
私の質問の直後、王の間の入り口の扉き、1人の女がベルトの隣に歩み寄った。
女は私やレベッカのような貴族の令嬢よりも身分が低く婚約候補者で唯一、平民出身のディオ・リノラだった。
「フィナ。君が魔法を私に掛けたのなら、解き方も知っているはず」
ルーベルトはリノラの肩に手を回し抱き寄せた。
「ではお二人は・・・フッ」
途中まで言いかけて私は鼻で笑った。
可笑しい訳ではなかった。余りにも殿下がその女を見つめる目が真っ直ぐでリノラはまだ初対面かのような初々しく真っ赤になった顔が似合い過ぎて、何もかもどうでもよくなったからだった。
「殿下もう一つ。ここ王の間に入るには動物や魔族、武器の持ち込みは禁止され厳重な持ち物の確認を強いていました。どうやって猫の姿で通れたのですか?」
「フィナ、それはね。」
レベッカが扇を仰ぎながら私の前にきた。
「殿下は小さくなって私のお股に挟まれて潜入しましたのよー」
と言って高笑いしていたが、その頬は赤く染まっていた。
「という訳だ」
ルーベルトはため息をハァと吐いて頭を押さえた。
「陛下!」
リノラが一歩前に出て跪いた。
「私から頼みがあります」
ルーベルトとの結婚の頼みだろう。
「フィナ様に減刑をお願いします」
私は耳を疑った。お人好しにも程がある。
「ならぬ。フィナは国王である儂や息子、国民を欺き国を陥れようとした重罪人」
「猫から人に戻してくれたのはリノラのその優しさや人の良さに私は惚れたのです。父上、お願いします。リノラの願い聞き入れてくれませぬか!」
「ならぬ!」
惚れたという言葉に反応してリノラの耳が
赤くなる。
「猫になった私を疎まず、初めて王都から出た時も追われている時もそして今も片時も離れず側に居てくれました。そしてリノラの心を知ることが出来ました。どうかリノラの願いを」
過去の出来事を思い出したのかリノラの顔は真っ赤になった。
「・・・仕方あるまい。息子の熱い思いとリノラ嬢の願い聞き入れた。フィナと従者は国外追放とする」
減刑を願い出たリノラに参列者から拍手が送られる。
私はルーベルトの惚気を聞いて馬鹿らしくなっていた。
私と従者は去り際にリノラに礼を言って国外に追放された。
国外追放から数ヶ月後。
クライス王国の隣国の街に住む私の耳にルーベルトとリノラが結婚したと伝わってきた。
街の人の噂話ではリノラは牢獄にいた両親は釈放され、リノラと再会して城内に住んでいるようだ。
子猫に自由に変身できるようになったルーベルトは時より子猫になってリノラからブラッシングされるのが好きらしい。
今では猫王子と呼ばれて国民から愛されている。
おわり
今日はいよいよ集大成とも言える偽ルーベルトとの結婚式が行われる。婚姻後、現国王は退位し偽ルーベルトが国王に即位する手筈になっている。
私は結婚式にルーベルトの元婚約候補者であるレベッカとビビを招待した。
城の王の間に集まったクライス王国に属する領主や貴族、国民が1000人以上に見守られ盛大な式が始まった。
国王と王妃の前に私と偽ルーベルトは片膝立ちで跪く。
国王は玉座から立ち上がり、紙を取り出して読み始めた。
「今日ここに、我が息子ルーベルトとリリア・フィナの・・・」
国王は途中で婚姻の宣言を止めて、足元を見た。
私は国王の足元にいた黒い子猫に気付いた。
間違いなくあれは本物のルーベルト。
国王は黒猫を摘み、腕の中に抱き抱え、紙を再び読み上げた。
「今日ここに、我が偽りの息子ルーベルトとリリア・フィナを断罪に処す。2人を捕えよ」
王の間にいた貴族や国民から騒めきが起きた。
私と偽ルーベルトは衛兵に首を押さえられ
赤い絨毯に顔を押さえ込まれ、手首は縄で縛られる。
「やめろ!私は王子の妻になる者!国王!斬首とはどういうことですか!?」
思わず声を荒げた。
「陛下、私は貴方の息子です」
「いや、息子ならここにおる」
国王は黒猫の首を掴み、ポイと投げた。
宙を舞う黒猫は一瞬でルーベルトの姿に。
ルーベルトが2人。この状況にまたしても参列者らが騒ついた。
「私がクライス王国のルーベルトだ。そしてリリア・フィナの隣にいるのは魔法で私に化けたフィナの従者だ」
「馬鹿馬鹿しい。そちらが偽物では?」
私は反論した。
「フィナよ。私に掛けた変身の魔法を一度でも掛けられた者は、元の姿に戻るとこのような紋章が腕に残る」
ルーベルトは袖を捲り、右腕を皆に見せた。手首と肘の間に黒い龍の紋章が刻まれていた。
「この紋章は変身した後は腕に浮かび上がらない」
衛兵はルーベルトに変身した私の従者の袖を捲る。そして参列者の中から1人の老婆が従者に近づいた。
「私は森の魔女マーブラ。さぁこれを腕に」
突然現れたマーブラは衛兵に白い腕輪を渡した。衛兵は腕輪を従者の腕に通した。
「この腕輪は全ての魔法を無効化する貴重な腕輪」
腕輪を通してすぐ従者の腕にルーベルトと同じ龍の紋章が浮かび上がる。そして偽ルーベルトは従者の姿に戻った。
参列者らは騒めき私と従者に罵声を浴びせる。
「静かに。フィナ、最後に何か言いたいことはあるか」
国王の一言で静まる。
「ルーベルト殿下に掛けた古い魔法は強力です。どうして元の姿に戻れたのです?」
私の質問の直後、王の間の入り口の扉き、1人の女がベルトの隣に歩み寄った。
女は私やレベッカのような貴族の令嬢よりも身分が低く婚約候補者で唯一、平民出身のディオ・リノラだった。
「フィナ。君が魔法を私に掛けたのなら、解き方も知っているはず」
ルーベルトはリノラの肩に手を回し抱き寄せた。
「ではお二人は・・・フッ」
途中まで言いかけて私は鼻で笑った。
可笑しい訳ではなかった。余りにも殿下がその女を見つめる目が真っ直ぐでリノラはまだ初対面かのような初々しく真っ赤になった顔が似合い過ぎて、何もかもどうでもよくなったからだった。
「殿下もう一つ。ここ王の間に入るには動物や魔族、武器の持ち込みは禁止され厳重な持ち物の確認を強いていました。どうやって猫の姿で通れたのですか?」
「フィナ、それはね。」
レベッカが扇を仰ぎながら私の前にきた。
「殿下は小さくなって私のお股に挟まれて潜入しましたのよー」
と言って高笑いしていたが、その頬は赤く染まっていた。
「という訳だ」
ルーベルトはため息をハァと吐いて頭を押さえた。
「陛下!」
リノラが一歩前に出て跪いた。
「私から頼みがあります」
ルーベルトとの結婚の頼みだろう。
「フィナ様に減刑をお願いします」
私は耳を疑った。お人好しにも程がある。
「ならぬ。フィナは国王である儂や息子、国民を欺き国を陥れようとした重罪人」
「猫から人に戻してくれたのはリノラのその優しさや人の良さに私は惚れたのです。父上、お願いします。リノラの願い聞き入れてくれませぬか!」
「ならぬ!」
惚れたという言葉に反応してリノラの耳が
赤くなる。
「猫になった私を疎まず、初めて王都から出た時も追われている時もそして今も片時も離れず側に居てくれました。そしてリノラの心を知ることが出来ました。どうかリノラの願いを」
過去の出来事を思い出したのかリノラの顔は真っ赤になった。
「・・・仕方あるまい。息子の熱い思いとリノラ嬢の願い聞き入れた。フィナと従者は国外追放とする」
減刑を願い出たリノラに参列者から拍手が送られる。
私はルーベルトの惚気を聞いて馬鹿らしくなっていた。
私と従者は去り際にリノラに礼を言って国外に追放された。
国外追放から数ヶ月後。
クライス王国の隣国の街に住む私の耳にルーベルトとリノラが結婚したと伝わってきた。
街の人の噂話ではリノラは牢獄にいた両親は釈放され、リノラと再会して城内に住んでいるようだ。
子猫に自由に変身できるようになったルーベルトは時より子猫になってリノラからブラッシングされるのが好きらしい。
今では猫王子と呼ばれて国民から愛されている。
おわり
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